幼馴染みの彼と彼

綾月百花   

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 篤志は夜遅くに戻って来た。

 篤志の父親は逮捕されたそうだ。

 窓は至急直してもらえるように、手配をしたと言っていた。

 お嬢さんと社長は、警察に捕まり、今は牢屋にそれぞれ入れられているそうだ。

 弁護士の円城寺さんがわざわざ来てくれて、警察に不法侵入している事を告げて、二人も逮捕されたそうだ。

 会社の中で何を探していたのか聞いたが、社長はだんまりを貫いているようだ。

 お嬢さんは「父に付いていっただけです」と告げたようだ。

 朝霧さんにも電話をして、休日をもらったと言った。


「ガラスを直すまで、ここにいないといけないから、真と菜都美は街にあるホテルで待つか?」

「あっちゃんは?」

「俺が留守番している」

「却下」


 俺は篤志の言葉を聞いて、怒った。


「俺達は家族だ。いつも一緒にいればいい」


 篤志は嬉しそうに笑った。

 その笑顔が、とっても格好よくて、俺は篤志に抱きついた。


「あっちゃん、叔父さん捕まったけど、悲しくない?」

「ちょっとは反省した方が本人の為だよ」

「悲しくないなら、安心した。大好きなあっちゃんが悲しむことは避けたい」

「ありがとう」


 俺は篤志にキスをした。

 見つめ合って、今度は篤志がキスをくれる。


「菜都美の離乳食あと三つだけど足りるかな?」

「ガラス屋さんは明日来てくれるって」

「それなら足りるね」

「灯油が切れそうだけど」

「マジで?」

「あと一回、給油したら、買ってこないと凍死しちゃうかも」


 篤志は、一度、ストーブを消して、給油をしてくれた。

 そうして、またストーブを点ける。


「明日、買ってくるよ。俺達の食事も足りない」

 篤志はコンビニで、おにぎりとお茶を買ってきてくれた。

 食事を終えると、布団をもう一枚広げて、三人で眠った。

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