49 / 67
49
しおりを挟む
離れていた方がいいと思うが、どうしても月一で実家に戻り、経理の仕事と出勤簿の確認に行かなくてはならない。
家に入ると、俺はまず部屋に掃除機を掛ける。
事務所のシャッターは危険だから開けない。
今日は篤志が菜都美を抱っこしてくれていた。動きやすいので、いつもより早く掃除を終えた。
篤志は菜都美を畳に下ろした。
今日は篤志に子守を任せて、一気に仕事を片付ける予定だ。
「まんま」
「もう食べるのか?」
「ぽんぽん」
菜都美はお腹を押さえる。
この家に来ると、いつも始めに離乳食を食べていたので、食べたくなったのだろう。
篤志が菜都美のベビーフードを準備している。
俺は出勤簿を確認するために、工場に入って確認していく。
パソコンに入力して、工場の鍵を掛けて、家の方に戻って、溜まった経理の仕事を片付けていく。
「んぱんぱんぱんぱ」
「パパはお仕事だよ」
「んぱ」
「あっちゃんと遊ぼう」
「あー、あー、あー」
「ちゃん」
「ちゅん」
「あっちゃん」
「あっちゅん」
「菜都美、ちょっと違うけど、似てきたぞ」
俺は篤志と菜都美をチラッと見て、顔がほころぶ。
撫で撫でされまくって、菜都美が楽しそうに笑っている。
篤志も元気が出てきて、良かった。
早く片付けよう。
会社のパソコンは遅いので、情報をノートパソコンに写して、素早く片付けていく。
会社のパソコンと俺のパソコンを繋げれば、家でもできるが、どうしても出勤簿の確認はここに来てしなければならない。
もっと効率的にできたらいいのに。
今月はボーナスの計算もある。
一般事務員を雇って、毎日一ヶ月勤めてもらってする仕事は、かなり溜まっている。
それを一日で終わらせるのは、簡単ではないが、無理でもない。
俺は事務員を雇うつもりは微塵もない。
母ちゃんが据わっていた席に座って、菜々美さんの席にあるパソコンと繋げて、俺は全力で集中する。
事務員も従業員も増やす予定はない。
辞めたい者は引き留めるつもりもない。
今ある者だけで、仕事を回して、慎ましく小さな工場を維持していく予定でいる。
いつかこの会社は畳むつもりでいる。
それは今ではない。
人が減って、仕事が入らなくなったらであって、今のようにまだ力があるならば、存分に仕事をしていく。
俺もこの会社のために力を全力で出す。
菜都美がもっと成長したら、俺だけここにおいて、遊びに連れて行ってくれてもいい。
俺はこの一日、工場の人間としてやるべきことをやる。
仕事が一つ増えた。
カメラの確認。これは同時にできない。
篤志に頼めることだが、篤志は菜都美を見てもらっている。
菜都美は歩く事ができるようになった。
まだ一歳前だが、短時間の散歩ができる。まだよく転ぶから、外では手を繋がないと、頭を打ってしまう。
篤志は家の部屋を全て使って、菜都美を遊ばせている。
何もないけれど、菜都美の小さなわんこを持参している。
早朝に家を出て、かなり早い時間から仕事を始める。今日はベビーフードは多めに持ってきている。万が一、時間が遅くなって時の事を考えている。
昼食は篤志がおにぎりを作ってくれた。
「手伝おうか?菜都美は昼寝だ」と篤志が来てくれた。
「そうしたら、防犯カメラのチェックしてくれる?工場の入り口と家の玄関の方ね。工場に侵入していたら、工場の中も」
「了解」
篤志もノートパソコンを持参してくれている。
二人で並んで仕事をする。
確定申告もあるから、時間があるときに纏めておいた方が良さそうだ。
俺にも給料が出ている。
それは、何かのために貯金をしている。
いつかこの家も工場も手放すときが来るかもしれない。
その時まで、俺が守る。
家に入ると、俺はまず部屋に掃除機を掛ける。
事務所のシャッターは危険だから開けない。
今日は篤志が菜都美を抱っこしてくれていた。動きやすいので、いつもより早く掃除を終えた。
篤志は菜都美を畳に下ろした。
今日は篤志に子守を任せて、一気に仕事を片付ける予定だ。
「まんま」
「もう食べるのか?」
「ぽんぽん」
菜都美はお腹を押さえる。
この家に来ると、いつも始めに離乳食を食べていたので、食べたくなったのだろう。
篤志が菜都美のベビーフードを準備している。
俺は出勤簿を確認するために、工場に入って確認していく。
パソコンに入力して、工場の鍵を掛けて、家の方に戻って、溜まった経理の仕事を片付けていく。
「んぱんぱんぱんぱ」
「パパはお仕事だよ」
「んぱ」
「あっちゃんと遊ぼう」
「あー、あー、あー」
「ちゃん」
「ちゅん」
「あっちゃん」
「あっちゅん」
「菜都美、ちょっと違うけど、似てきたぞ」
俺は篤志と菜都美をチラッと見て、顔がほころぶ。
撫で撫でされまくって、菜都美が楽しそうに笑っている。
篤志も元気が出てきて、良かった。
早く片付けよう。
会社のパソコンは遅いので、情報をノートパソコンに写して、素早く片付けていく。
会社のパソコンと俺のパソコンを繋げれば、家でもできるが、どうしても出勤簿の確認はここに来てしなければならない。
もっと効率的にできたらいいのに。
今月はボーナスの計算もある。
一般事務員を雇って、毎日一ヶ月勤めてもらってする仕事は、かなり溜まっている。
それを一日で終わらせるのは、簡単ではないが、無理でもない。
俺は事務員を雇うつもりは微塵もない。
母ちゃんが据わっていた席に座って、菜々美さんの席にあるパソコンと繋げて、俺は全力で集中する。
事務員も従業員も増やす予定はない。
辞めたい者は引き留めるつもりもない。
今ある者だけで、仕事を回して、慎ましく小さな工場を維持していく予定でいる。
いつかこの会社は畳むつもりでいる。
それは今ではない。
人が減って、仕事が入らなくなったらであって、今のようにまだ力があるならば、存分に仕事をしていく。
俺もこの会社のために力を全力で出す。
菜都美がもっと成長したら、俺だけここにおいて、遊びに連れて行ってくれてもいい。
俺はこの一日、工場の人間としてやるべきことをやる。
仕事が一つ増えた。
カメラの確認。これは同時にできない。
篤志に頼めることだが、篤志は菜都美を見てもらっている。
菜都美は歩く事ができるようになった。
まだ一歳前だが、短時間の散歩ができる。まだよく転ぶから、外では手を繋がないと、頭を打ってしまう。
篤志は家の部屋を全て使って、菜都美を遊ばせている。
何もないけれど、菜都美の小さなわんこを持参している。
早朝に家を出て、かなり早い時間から仕事を始める。今日はベビーフードは多めに持ってきている。万が一、時間が遅くなって時の事を考えている。
昼食は篤志がおにぎりを作ってくれた。
「手伝おうか?菜都美は昼寝だ」と篤志が来てくれた。
「そうしたら、防犯カメラのチェックしてくれる?工場の入り口と家の玄関の方ね。工場に侵入していたら、工場の中も」
「了解」
篤志もノートパソコンを持参してくれている。
二人で並んで仕事をする。
確定申告もあるから、時間があるときに纏めておいた方が良さそうだ。
俺にも給料が出ている。
それは、何かのために貯金をしている。
いつかこの家も工場も手放すときが来るかもしれない。
その時まで、俺が守る。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。


好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。

黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる