幼馴染みの彼と彼

綾月百花   

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 菜都美のわんこを新しいわんこのボディーができる前に完成させたい。

 菜都美のわんこのボディー色は、ピンクだ。

 そのボディーにモフモフを付けてみたが、どうもしっくりこない。

 金属と布だから、ボンドで貼ると、いずれモフモフを取るときが来たら、元のボディーが汚くなってしまう。

 動きの整備はできているが、この毛皮は厄介だった。

 寧ろない方がスッキリとしている。

 毛皮は、犬でも熊でも作ってもらうか?

 安井さんに相談すると、おもちゃ会社の御曹司を紹介してもらった。

 そろそろクリスマスなのでプレゼントを準備してもいいだろう。

「良いお品を大量に」と紹介された石川さんは、モフモフの量の多さと、手触りの良さを褒めてくれた。

「もともと、犬を作るつもりだったので」

「では、その犬に付けてみますか?」

「犬は金属製なので、将来、外すつもりでいるので、ボディーを傷つけたくないのです」

「なるほど」


 今日は安井さんがベビーシッターをしてくれている。


「でしたら、大きなぬいぐるみは如何ですか?人気があるんですよ」


 パンフレットを見せてもらって、俺は篤志を見上げる。


「喜ぶかな?」

「菜都美のベッドになりそうだな」


「うん」

「安井の紹介なので、社員割引でお作りします」

「それなら、大きい熊で。残りの毛皮で手持ちサイズの熊もお願いします。残った毛皮は持ち帰ります」


 俺は篤志の顔を見て決めた。


「あっちゃん、これでいいかな?」

「真が決めた物なら、喜ぶだろう」

「できましたら、連絡します。既に12月に入っているので、クリスマスまでに間に合わないかもしれませんが、今年中に必ず仕上げます」

「お願いします」


 俺は菜都美が気に入って手放さなくなった犬のぬいぐるみのスペアーに、ファスナーを付けてもらうように預けてきた。

 電池交換ごとに縫い直しているので、ボロボロになってしまった。

 薄くて、金具にロックがかかる物があるというので、それにした。

「菜都美が泣いてるかもしれないから戻ろう」

「安井さんにお礼の品、今度買ってきて。今日は俺も心配だから」

 急いでマンションに戻ると、菜都美はお昼寝をしていた。安井さんは、絵本を読んでいた。

「安井さん、神に見えるよ。菜都美が泣いていると思っていた」

「実家が保育園をやってるから、休みの時は俺も手伝っていたから手慣れているんだよ。また出かける事があったら、いつでも言っていいよ」

「ありがとうございます」

「それじゃ、俺は帰るよ。またな」

「ありがとう」

 安井さんは、同じマンションに住んでるらしい。

 心強いベビーシッターで、助かった。

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