幼馴染みの彼と彼

綾月百花   

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「よかったな」

「うん」


 何より、篤志によかったと言われるのが嬉しい。

 努力が報われた気がする。

 次の子は、作動が面倒だ。

 AIにプログラムを打ってしまえば、後は学習させていけばいいのだけれど、ランニングのわんこの使用法を作る前に、AIにプログラムを入れてしまいたい。

 実家で使うという名目で買ったノートパソコンは、スペックも高く、かなり優秀だ。

 そのパソコンで、痴呆症の見張りわんこの学習をさせていく。

 メインパソコンで、次の子のプログラムを入れて学習させていく。

 空いた時間に使用法を書けばいい。

 俺は篤志が仕事に出かけて菜都美も寝ているうちに、プログラムを打ち込んでいく。

 菜都美が一人で遊んでいる時間も仕事ができる。


「んぱんぱんぱんぱ、ふえん、んぱんぱんぱんぱ」

「菜都美、どうした」


 見てみると、片手を高く上げている。

 俺のところに、来ようとしている?

 寝返りを、もうすぐしそうだ。

 俺は今まで書いたところまで記憶させて、菜都美を抱っこする。



「少し散歩に行くか?」

「あい」


 鍵とスマホを持つと、菜都美を抱っこする。

 玄関で、ベビーカーを組み立てて、菜都美をお座りさせる。

 菜都美が、頭をポンポンと叩いている。

 嬉しいのか?


「可愛いね」


 頭を撫で撫でして、帽子を被っていないことに気づいた。


「菜都美は偉いね」


 帽子を被して、外に出る。

 週末は、また実家に行かなくてはならない。

 寺だから、茶菓子がいるのか?

 ついでに買うかと迷うが、篤志が既に買っていそうな気がする。

 まずは公園に行こう。


「菜都美、パパと公園に行くか?」

「あい、んぱ」

「パパだよパパ」

「んぱ」


 パパはやっぱり難しいかな。

 公園に行くと、赤ちゃん連れて散歩している人がけっこういた。

 菜都美が成長していくと、俺はママ友を作らないといけないのかな?

 ママはどうしていないのって聞かれたら、俺はどんな返事をしたらいいのかな。

 篤志と同性婚だと言ったら、みんな引くだろうな。

 俺が性別偽ることもできなくないけれど、バレたときに友達全員なくす可能性が高い。

 菜都美を傷つけないストーリーを考えておかないと、菜都美も友達できない子になりそうだと思った。

 篤志と嘘のストーリー考えておかないと。

 今はベビーカーですれ違いに、頭を下げる程度だけれど、一歳後に訪れる公園デビューに困るだろうな。

 俺は一つ結びのゴムを取った。

 朝霧さんのお陰で、バサバサだった髪はしっとりして、綺麗になった。

 そのままなら、女に見える姿で散歩する。

 誰も声を掛けてこないでくれと心の中で願う。

 女の人と話したことが、凄く少ないから、緊張する。


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