幼馴染みの彼と彼

綾月百花   

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 新しいマンションは、会社の近くに借りた。

 広いリビングルームがあって、主寝室が一つとあと三部屋ある以前と同じタイプだ。

 部屋は以前より広くした。

 賃貸料は少し高めだけれど、家でロボットを作るためにある程度、広い場所が欲しい。

 朝霧さんの紹介で、一般的な値段よりは安くなっている。

 朝霧さんは綺麗だけれど、見た目に女性に見えるだけで、中身は完全に男だ。

 一番威張っていて、時々、口調が怖くなる。

 俺には優しくしてくれる。

 菜都美には、とても優しい。

『お姉ちゃん』と呼ばせようと、構っている。

 俺は自作のパソコンを作った。ロボットを作れるスペックの高い物だ。会社の経費で作ってもいいと言われたので、本当にいいのかなと思いながら、遠慮なく使えるパソコンを作らせてもらった。

 試しに実費で菜都美の子守ロボットを作っている。

 AIに教え込んでいく。

 プログラミングを書いたら、後は暇なので菜都美と遊んでいられる。

 菜都美も3ヶ月になって、一人でおしゃべりしている。

「んぱんぱ」はパパのことのようだ。

 篤志があっちゃんと呼んでくれないと嘆いた。

 完成したら、わんこがおしゃべりをするし、歌も歌う。ボールコロコロして取りに行ってくれる。5才くらいまで背中に乗ることもできる。『GO!』『STOP !』が言えるようになることが前提だ。何かがあれば、俺のスマホに連絡が来るように設定している。

 外装は、菜都美のオモチャなので、怪我をしないように、モフモフの毛皮を着けてみた。これは試しなので、よければ他でも使える。

「ワンワン作ってるの。菜都美のワンワンだよ」

「わあわあわあ」

「わんわん」

「わあわあわあ」


 首も据わってきたので、抱っこもしやすい。

 ミルクもずいぶんいっぺんに飲んでくれるようになって、機嫌がいいときは楽になった。

 その反対に、機嫌が悪いときは、何をしても泣いている。

 機嫌のいいときにGO!とSTOP!を教えようとしているが、普通に考えて、三ヶ月ではお話もできない。これは、一歳半頃から自分で遊べるかもしれない。

 身体の落下などを考えると、年齢はもう少し上になるかもしれない。

 身体を支える支柱をもっと安定させて、落ちないようにすれば年齢幅も広がるかもしれない。俺のくたびれたノートパソコンで、重さと大きさの計算をさせてみる。

 菜都美は俺の横で、足の指を吸っている。

 俺の姿が見られれば、機嫌はいいようだ。

 オモチャの作成に、時間を掛けすぎているので、そろそろ売り物の設計図も作り出す。

 パソコンが計算をしてくれるので、その時間に他の作業ができるのが、この仕事のいいところだ。

 一つ納品したら、ノートパソコンを買ってもらおう。

 滑らかなボディーは、実家の工場で作れないかなと思った。

 近いうちに、実家に戻って小野田さんに聞いてみよう。

 そろそろ経理の仕事もある。

 お給料の準備もある。

 パソコンが足りない。

 実家の経理の経費で、一つ買おうか?

 俺は一応、社長で従業員のお給料の準備もある。

 使える媒体はスマホだけになってしまった。

 これは、さすがに不味い。

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