10 / 38
1 二度目の家族
★
しおりを挟む
★
「亜里砂、おかえり」
「ただいま、今日はごめんなさい」
「いいのよ。そんなことは。怪我はどうなの?」
「痣があるだけよ」
「見せてご覧なさい」
「見ない方がいいわ。お風呂に入ってくるね」
鞄を部屋に置くと、亜里砂は着替えを持ってお風呂に入る。ついでに、洗濯機で制服と体操服を洗う。
(煙草より痛くないけど、石も痛いわ)
濡らされた髪は、特に丁寧に洗った。
体も綺麗に洗っていく。トイレの水は水道から出ていたけど、ホースは汚れている。
『汚い、醜い、くさい』
呪いのような言葉が、頭を過ぎる。
「亜里砂、怪我をしたんだって?」
突然お風呂が開いて、驚く。
「お兄ちゃん、お帰り」
「ちょっと背中を見せて」
友麻がシャワーを出して、泡だらけの体の背中を流す。
「誰だよ、やったのは」
「ねえ、お兄ちゃん、背中、綺麗に洗って。ゴシゴシ擦れなくて、洗った気がしないの」
「汚水でもかけられたのか?」
「汚水ってほど汚水じゃないかもしれないけど、汚水。くさいでしょう?」
「別に匂わないけど」
友麻はスーツの上下を脱いでしまった。
Tシャツと下着になってお風呂場に入ってきた。
「ごめんね」
「痛かったら言えよ」
「うん」
撫でるように隅々まで洗ってもらうと、やっとホッとできた。
「痛いだろう?」
「うん。痛いけど。煙草の痛みに比べたら全然だよ」
「亜里砂」
「お兄ちゃん、少し外で待っていて、全身見られるのはさすがに恥ずかしい」
「ああ、すまない」
シャワーで手足を流すと、友麻は浴室から出て行った。
亜里砂はシャワーで流すと、もう一度洗った。どんなに洗っても少しも綺麗になったように思えなくて、肌を擦りすぎて血が出てきた。
「亜里砂。まだ洗っているのか?」
扉を開けた友麻は、亜里砂の手からタオルを取り上げると、シャワーで全身を流した。
「見ないで」
胸を隠している姿を見て、「母さん、代わって」と友麻は声をかけた。
「亜里砂、おかえり」
「ただいま、今日はごめんなさい」
「いいのよ。そんなことは。怪我はどうなの?」
「痣があるだけよ」
「見せてご覧なさい」
「見ない方がいいわ。お風呂に入ってくるね」
鞄を部屋に置くと、亜里砂は着替えを持ってお風呂に入る。ついでに、洗濯機で制服と体操服を洗う。
(煙草より痛くないけど、石も痛いわ)
濡らされた髪は、特に丁寧に洗った。
体も綺麗に洗っていく。トイレの水は水道から出ていたけど、ホースは汚れている。
『汚い、醜い、くさい』
呪いのような言葉が、頭を過ぎる。
「亜里砂、怪我をしたんだって?」
突然お風呂が開いて、驚く。
「お兄ちゃん、お帰り」
「ちょっと背中を見せて」
友麻がシャワーを出して、泡だらけの体の背中を流す。
「誰だよ、やったのは」
「ねえ、お兄ちゃん、背中、綺麗に洗って。ゴシゴシ擦れなくて、洗った気がしないの」
「汚水でもかけられたのか?」
「汚水ってほど汚水じゃないかもしれないけど、汚水。くさいでしょう?」
「別に匂わないけど」
友麻はスーツの上下を脱いでしまった。
Tシャツと下着になってお風呂場に入ってきた。
「ごめんね」
「痛かったら言えよ」
「うん」
撫でるように隅々まで洗ってもらうと、やっとホッとできた。
「痛いだろう?」
「うん。痛いけど。煙草の痛みに比べたら全然だよ」
「亜里砂」
「お兄ちゃん、少し外で待っていて、全身見られるのはさすがに恥ずかしい」
「ああ、すまない」
シャワーで手足を流すと、友麻は浴室から出て行った。
亜里砂はシャワーで流すと、もう一度洗った。どんなに洗っても少しも綺麗になったように思えなくて、肌を擦りすぎて血が出てきた。
「亜里砂。まだ洗っているのか?」
扉を開けた友麻は、亜里砂の手からタオルを取り上げると、シャワーで全身を流した。
「見ないで」
胸を隠している姿を見て、「母さん、代わって」と友麻は声をかけた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
23
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる