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10   結婚について

14   王太子殿下をなくした王国

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「国王様、マスコミがリリー様の行方を捜しています。婚約者のビエント殿下に会いたいと、日々、何度も訪ねてきます。ダンジョンの攻略が終わり、英雄に勲章を渡さないのかと国民が不満を抱いています」

「勲章は贈ろう。勲章を作成してくれ」

「どのような勲章を作りますか?デザインと一つ当たりの費用など、決めていただけなければ作れません。魔法学校の生徒と騎士団は同じ勲章を贈るのでしょうか?騎士団は魔物の森での討伐を長年続けております。魔法学園の生徒は、大多数が怪我をして、本格的に倒したのは騎士団の者だと聞いていますが」

「ビエントにさせろ」

「ビエント殿下はこの国にはいません」



 国王の側近のリュートは、国王にきつく言い放った。


 王妃がビエント殿下とリリー嬢の婚約破棄をさせる作戦を考えていたのは知っている。
 
 あまりにも酷い仕打ちに、リュートは近くで聞いていて、王妃の意地悪さに背筋が冷たくなったものだ。

 騎士団が解散した直後、リリー嬢の部屋の空調を壊し、ビエント殿下のスケジュールを変更し、リリー嬢と出会えないように仕組み、食事も自分たちが食べた後に一人で食べさせていた。

 厨房で働く者に厨房で言葉を発することを禁じ、リリーに話しかけることも禁止した。

 リリー嬢が孤独に陥り実家に帰ったのを見て、すぐにパーティーを開催した。

 次の婚約者は、よりにもよって、シオン殿下の元婚約者で、リリー嬢の親友と言ってもいいほど仲の良いアトミス嬢……。



 隣国のリリー嬢は13歳で騎士団に入ったという。

 それ以来、大人と混ざり魔物の森で魔物を倒し、ダンジョンでは大活躍をしたという。

 我が子が可愛いのは分かるが、シオン殿下が無茶をしたときも、リリー嬢を責め立てる様子。

 ダンジョン攻略の功績も称えず、リリー嬢は落胆した顔をしていた。国王も王妃の言いなりで、情けがない。

 国王とは魔法学校からの付き合いだが、王妃と結婚してから王妃の尻に敷かれ、我が儘な王妃の言いなりだ。

「嫁と姑の確執は深いのだ」と言葉にして、ビエント殿下の婚約者をアトミス嬢にしてもいいと許可を出された。




 我が主であるが、情けない。

 その結果、陛下は跡取りに育てたビエント王子をなくしてしまった。

 ビエント殿下が宮殿を出てからは、気力もなくし議会も欠席している。

 国王が議会に出席しないので、議会は開かれてはいない。

 国の何もかもが進まない。

 ビエント殿下が続けてきた、国の道路の舗装工事も途切れたままで、企業が指示を待っている。

 このままでは、アストラべー王国は潰れてしまうだろう。

 国王は既にビエント殿下に国政を任せていたのだ。

 ビエント殿下がいなければ、事が進んでいかない。

 なんとしても、ビエント殿下を宥め、帰国していただけますようにお願いしなくては、今の国王は飾りの国王と変わりない。



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