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5   ダンジョンへの攻撃

4   飛行訓練

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 両手に持って飛べるようになったが、本番はここに人が乗る。

「リリー嬢、そろそろ人を乗せて練習してみたいが、どうだろう?」
「死んでも知りませんよ」
「今の状態なら、飛べるだろう」
「右に副団長を乗せて、左に団長を乗せている」

 手を繋いでもらうことで、リリーは安心できる。
 毎日、何度も洞窟のある山まで何度も飛んでいる。
 昼間は洞窟の周辺にも魔物は現れない。攻めるのなら夜明けから夕方までだろう。撤退に手間取っては命の危険がある。
 リリーは「両手に持つと攻撃ができないから不安なんです」と心情を打ち明けた。
 
 攻撃は載せた仲間が行うと何度も説明された。

「乗り物に何人乗れるかは確かめた。25名が最高だった。両方合わせたら、50名だ」
「50名の命を預かるのですか?怖いです」
「乗った者に手を繋いでもらうのはどうだろうか?」
「少しは安心できるかもしれませんが、怖い物は怖いです」
「少しずつ人を増やしてみようか?まずは低い場所で」
「はい、それなら」

 リリーはやらなければならないなら、責任持って運びたい。

「今朝の食事の時に、練習のために力になりたい者を募集したら、ほぼ全員が手伝いたいと申し出た。抽選で5名ずつグループを作った。私を入れて6人で乗ってみるか?」
「はい。6人ならできそうな気がします」
「では早速」

 団長は既に5名を用意していた。見知らぬ人だが、同じ寄宿舎に住んでいる戦士だ。

「暴れないでくださいね」

 3人ずつ乗り物に乗り込んで、団長が「誰か手を繋いでやってくれ」と言ったら、3人とも手を掴んできた。リリーは微笑んだ。

「では飛びます」 

 リリーは上空にゆっくり上がって、森の中に入っていく。

「すごい」「高い」「鳥になったようだ」と様々、感想を口にしている。山まで行って洞窟を見てから戻ってくる。バランスはそんなに崩さなかった。

 なんとか無事に着陸できて、リリーはホッとした。

「休憩が必要か?」
「大丈夫です」

 最初に乗った5人は「ありがとうございます」と声をかけて寄宿舎の中に戻って行った。

「次は10人だ。私を入れると11人だが。どうだ?」
「やらなくてはならないならします。今日もチョコレートくださいね」
「任せておけ」
「寄宿舎の扉を開けて、次に10人が出てきた」
「みんな睡眠不足になりますわ」
「興味の方が上回っているようでな」

 5人と6人に別れて、団長が乗っていない方は競い合うようにリリーの手を繋ぐ。
 少しずつ上昇して、同じルートを飛んで戻っていった。

「大丈夫そうだな」
 
 10人と11人も大丈夫だった。団長は一気に25名と25名を乗せた。
 さすがのリリーも緊張する。
 慎重に上昇して、バランスを崩さないように飛んで行く。

「あの、動かないでください」

 興奮した戦士が同じ方向に集まり、バランスを崩しそうになって止まった。

「おまえたち、死にたくなかったら、おとなしく乗っていなさい」
「すみませんでした」と皆が謝った。リリーは気を集中させて、また飛行を続けた。

 ゆっくり着陸して、リリーは座り込んだ。

「ありがとうございました」と言って戦士達は降りていった。

「休憩したいです」
「予定の50名を送ることができた。今日はチョコレートとアイスクリームがいいか?」
「はい。チョコレートとバニラのアイスクリームがいいです」
「皆には動かないように注意をしなくてはいけないな?」
「バランスが急に崩れて危ないです」
「さて、運搬はできるようになった。後は戦士の選出だな」
「私もダンジョンに入れますか?」
「リリー嬢は運搬係だ」
「嫌です。ダンジョンの中に入ってみたいです」
「リリーが負傷したら、誰が皆を送る?」

 リリーはムスッとして俯いた。
 不満だ!
 リリーも魔物と戦いたい!

「私は乗り物のところに一人で取り残されるのですか?それも危険だと思うんですけど」
「……そうだな、それなら後方支援でなら入ってもいいだろう」
「はい」

 リリーは取り敢えず納得した。
 魔物が生まれるところは見られそうだ。


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