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3 魔物の森
3 パーティーメンバー
しおりを挟む朝日が昇り、四人の姿がはっきり見えてきた。
「リリー、とても綺麗な髪と瞳をしているんだね」と言ったのは、パーティーリーダーのアハトだった。アハトは赤い髪と瞳をしていた。こんなに赤い髪を見たのは初めてだ。彼は18歳と言った。
「もしかして家柄がいいのかな?」と聞いてきたのは、ワポルだ。ワポルは青い髪をしていた。瞳の色も緑がかった青だった。彼も18歳と言った。
「そんな重そうな鞄を持って旅をしてきたの?」と聞いてきたのは、フィジだった。フィジはブラウンの髪と瞳をしていた。彼も18歳だと言った。この三人は幼なじみだと教えてくれた。
アトミスは金色の髪と瞳をしていた。とても美しい容姿をしている。
「アトミスさんはお嬢様みたいね」
「そうですわ、伯爵令嬢なのよ。本名はアトミス・エレーロ・アルテイスト伯爵令嬢よ」
「私も伯爵令嬢なの。フラーグルム王国のリリー・ホワイト・アコラサード伯爵令嬢ですわ」
「まあ、そうなのね」
「伯爵令嬢なのに、こんな危険な場所で戦っていらっしゃるの?」
「不思議よね。婚約破棄されて、少し自棄になっていたのよ。光魔術が使えると知ったのは15歳の時だったわ。私にも師匠がいて、魔法を教わっていたのだけど、婚約者がとても浮気者で、嫌気が差してきたんですの。婚約破棄されて清々したのですけど、なんだか居心地が悪くて学園を辞めたの。やることもなくて魔術の練習ばかりしていたら、師匠にここで魔術を使ってはどうかと勧められたのよ。両親は反対したんですけれど、この国ではここの戦士は英雄ですの。だったら英雄になりたいと思ったのよ」と言ったアトミスは17歳だと教えてくれた。
「私も王子と婚約破棄されて、でも、私には好きな人がいて。その人に相応しい人になりたくて魔術を練習をしてきたのですわ」
「その好きな人に会いに行くつもりだったのかしら?」
「ええ、そうよ。でも、気が変わったわ。もっと強くなりたいの。彼はずっと私より年上で、相応しくはないと思うけれど……」
アトミスはリリーのワンピースの中に入れられたネックレスを表に出した。
「リリーは想われているわ。その笛を吹けば会えるのでしょう」
「ええ、そうよ。でも、彼に相応しい人になりたいの」
リリーはネックレスをワンピースの中にしまった。
「その笛は婚約者に渡す物なのよ。アストラべーのしきたりよ。リリーの好きな人はアストラべーにいるのね」
「そうですわ」
「リリーは幾つですの?」
「13歳ですわ」
パーティーメンバーは、全員微笑んだ。
「可愛い妹ができたみたいよ」
アトミスは嬉しそうに微笑んだ。
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