上 下
20 / 117
3   魔物の森

3   パーティーメンバー

しおりを挟む

 朝日が昇り、四人の姿がはっきり見えてきた。

「リリー、とても綺麗な髪と瞳をしているんだね」と言ったのは、パーティーリーダーのアハトだった。アハトは赤い髪と瞳をしていた。こんなに赤い髪を見たのは初めてだ。彼は18歳と言った。

「もしかして家柄がいいのかな?」と聞いてきたのは、ワポルだ。ワポルは青い髪をしていた。瞳の色も緑がかった青だった。彼も18歳と言った。

「そんな重そうな鞄を持って旅をしてきたの?」と聞いてきたのは、フィジだった。フィジはブラウンの髪と瞳をしていた。彼も18歳だと言った。この三人は幼なじみだと教えてくれた。

 アトミスは金色の髪と瞳をしていた。とても美しい容姿をしている。

「アトミスさんはお嬢様みたいね」
「そうですわ、伯爵令嬢なのよ。本名はアトミス・エレーロ・アルテイスト伯爵令嬢よ」
「私も伯爵令嬢なの。フラーグルム王国のリリー・ホワイト・アコラサード伯爵令嬢ですわ」
「まあ、そうなのね」
「伯爵令嬢なのに、こんな危険な場所で戦っていらっしゃるの?」
「不思議よね。婚約破棄されて、少し自棄になっていたのよ。光魔術が使えると知ったのは15歳の時だったわ。私にも師匠がいて、魔法を教わっていたのだけど、婚約者がとても浮気者で、嫌気が差してきたんですの。婚約破棄されて清々したのですけど、なんだか居心地が悪くて学園を辞めたの。やることもなくて魔術の練習ばかりしていたら、師匠にここで魔術を使ってはどうかと勧められたのよ。両親は反対したんですけれど、この国ではここの戦士は英雄ですの。だったら英雄になりたいと思ったのよ」と言ったアトミスは17歳だと教えてくれた。

「私も王子と婚約破棄されて、でも、私には好きな人がいて。その人に相応しい人になりたくて魔術を練習をしてきたのですわ」
「その好きな人に会いに行くつもりだったのかしら?」
「ええ、そうよ。でも、気が変わったわ。もっと強くなりたいの。彼はずっと私より年上で、相応しくはないと思うけれど……」

 アトミスはリリーのワンピースの中に入れられたネックレスを表に出した。

「リリーは想われているわ。その笛を吹けば会えるのでしょう」
「ええ、そうよ。でも、彼に相応しい人になりたいの」

 リリーはネックレスをワンピースの中にしまった。

「その笛は婚約者に渡す物なのよ。アストラべーのしきたりよ。リリーの好きな人はアストラべーにいるのね」
「そうですわ」
「リリーは幾つですの?」
「13歳ですわ」

 パーティーメンバーは、全員微笑んだ。

「可愛い妹ができたみたいよ」

 アトミスは嬉しそうに微笑んだ。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

推活♡指南〜秘密持ちVtuberはスパダリ社長の溺愛にほだされる〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:55

社畜転生~令嬢に転生した私が魔剣使いになって世界を救うまで~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:10

しのぶ想いは夏夜にさざめく

BL / 完結 24h.ポイント:347pt お気に入り:7

婚約破棄をした相手方は知らぬところで没落して行きました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:85pt お気に入り:2,935

冷徹弁護士は甘い罠を張る

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:65

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:4,870pt お気に入り:1,447

花冠の聖女は王子に愛を歌う

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:647pt お気に入り:33

処理中です...