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3   魔物の森

2   魔物の森(2)

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 朝日が昇り始めると、魔物が少なくなってきた。
 ようやく最後の一体を片付けると五人は安堵のため息をつく。

「お疲れー」
「お疲れさん」
「今日もお疲れだったね」
「お疲れ様ですわ」
「お疲れ様ですわ……」
「それじゃ、寄宿舎に戻ろうか」

 アハトが声を上げた。
 獣道も無い、まだ陽も射さず薄暗い森の中を、何の迷いも無くアハトは先にたって進んで行く。

「……あの、迷わないんですか?」

 リリーはアハトに聞いた。
 まだ薄暗くて、他の皆さんの姿がまだよく見えない。

「毎日、この森で狩りをしているからね、慣れちゃったよ」
「そうそう、毎日、毎日」
「いい稼ぎになるんだぜ」
「私はなんとなくみんなに誘われて」
「毎日ですか?」

 リリーは風魔法で軽くした鞄を持って付いていく。

「ここのエリアは国王陛下が募集し、認められた魔術師達が魔物を倒しているんだ。だから宿泊費もタダだし、食事代もタダ。騎士団の制服代もタダだ。必要な武器、防具、医薬品等の備品代もタダで支給される。戦士として雇われているから給料も出るし、いいこと尽くしだ」
「私はまだ契約しておりませんわ」
「泥と血で汚れた僕たちを見たら、既に戦ってきたと思うだろう。後で名前を登録しておくといい」
「よかったら、私たちと一緒にパーティーを組みませんか?新しく風魔術の方がいらっしゃればパーティーの危険も減りますし。私も今まで男だらけの中で、肩身が狭く、念願だった女の子の友達ができますわ」
「アトミスさん」
「アトミスで構いません」
「私は……」

 本当はすぐにでもビエント様に会いに行きたいけれど、今のままの私では駄目かもしれない。自立できる力があったら、ビエント様に会って、もしフラれてしまっても生きて行くことができるわ。

「私のことも、リリーと呼んでくださいな」
「僕たちのパーティーに入ってくれるのか?」
「はい。よろしくお願いします」

 他の男性メンバーたちも喜んでくれているみたい。

「明るくなったら、自己紹介し直すぞ」
「おー!」
「実は宿に着いたら、他のパーティーに誘われるんじゃないかと不安だったんだよ。だから、僕たちのパーティー参加を今決めてくれて助かったよ」

 アハトも浮かれるように喜んでいる。


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