18 / 117
3 魔物の森
1 魔物の森(1)
しおりを挟む
グンと足を引っかけられた。魔物の爪が足を引っ掻く。
「クっ!」
バランスを崩して、鞄を掴んだまま落下していく。パンの袋はどこかに飛んで行き、背中に背負った水のバックは枝で穴が開いた。このまま落ちたら死んでしまう。どうにか止めないと。
リリーはすごいスピードで落ちていく自分の身体を止めようと必死に考えた。
「ロッチャーウイング」
片手を伸ばして、地面に向かって魔術をかける。
風を遮るための魔術だ。
覚え始めたばかりで、まだ経験値が足りない。
落下速度が緩やかになったが、まだスピードがある。
「ウインドウシュートス」
地面に向けて風攻撃をしてみると、体が少し浮かび上がった。
リリーは落ち着いて、鞄に跨がる。
既に森の中まで落ちている。魔物が爪を突き出してくる。
「ライトニング・ウインド」
稲妻のような風攻撃で、魔物を引き裂いた。
足が痛くて、いったん着陸する。
魔物の群れが跋扈するそこでは、様々な魔術攻撃をしている者達がいた。
渦巻く炎『ファイヤー・トルネード』で焼き払う者、水の槍『ウォーター・ジャベリン』で攻撃している者、目映い光線で攻撃している者、周りの地面の土を自由自在に操って攻撃と防御をしている者の四人の姿が見えた。
リリーは鞄をその場に置くと、風魔術で魔物を攻撃し始めた。
新たな魔術攻撃の参戦で、四人がリリーの存在を認識する。
しかし、魔物は次から次へと湧いてくる。
「悪いがトドメを刺してくれ」
このパーティーリーダーなのか、中の一人から声をかけられ、リリーは「わかったわ」と答えた。
大きな魔物には大技をかけて、確実にとどめを刺していく。
風魔術の練習にはちょうどいい。
どんどん身体から魔力が湧いてきて、その攻撃力も増していく。
リリーは無我夢中で攻撃して、我に返るといつの間にか生きている魔物の姿が消えていた。
先ほどの四人がリリーの側に寄ってきた。
「君、すごいね。風魔術かい?」
「ええ、そうよ」
「空から落ちてきたみたいだったけど?」
「魔術で飛行していたところを下から攻撃をされて、バランスを崩してしまったの。足を怪我してしまったわ」
「怪我をされたの?見せてみてちょうだい」
「恥ずかしいわ」
「ダメダメ。魔物には毒を持ったのがいるんだ。アトミスは女の子だし、癒やしの光魔法で傷を治せるんだ」
「改めて紹介するよ。俺は火魔術師のアハト。俺の隣にいるのが、水魔術師のワポル。その隣にいるのが土魔術師のフィジ、今、光を灯しているのは光魔術師の紅一点のアトミスだよ。光魔術師は攻撃も治癒もできる。パーティーには必ず一人は欲しい人材なんだけど、光魔術師はとても少ないんだ」
「私はリリーといいます。アストラべー王国にいる師匠に会いに行く途中でした」
「リリーさん、治療するから怪我した足を見せてくださいな。・・・・・・彼女を治療している間、貴方達には、新たな魔物が攻撃してこないか付近の見張りを御願いします」
「わかってるって。任しとけ」
「助けた恩人には感謝してるんだ、そんなに警戒するな」
「痕が残らないように、綺麗に治してやってね」
光魔術師のアトミスさん以外は男の子なんだ。
「リリーさん、横になれます?毒の回りが早いと発熱してしまいますの」
「わかりました。アトミスさん、よろしくお願いします」
リリーは、平らな場所に横になりスカートをめくる。
「これは酷いですね。かなり痛いのでしょう?」
「ええ、とても」
「ではまず、プリエール」
アトミスさんは両手を広げて虹色の光の輪を作りだした。
「今、リリーさんの身体の毒や穢れなどを浄化しています」
「はい」
虹色の光が消えてくると、アトミスさんは次に「サルバシオン」と唱え、両手を私の足の傷に翳していく。
「少し暖かく感じるかもしれませんが、大丈夫ですよ。傷を塞いでおりますの」
「ありがとう、アトミスさん」
「いえいえ、私達が助けていただいたのでお礼には及びませんわ」
身体がぽかぽかとして気持ち良くなり、眠くなってくる。
リリーはそのまま少し眠ってしまった。
「終わりましたわ、リリーさん」
そっと肩を揺すられ、リリーは目を覚ます。
「あらごめんなさい。少し眠ってしまったみたい」
「癒やしの効果ですから、眠くなる人が多いのよ。それよりも足は痛くはないですか?」
アトミスさんが傷のあった場所を照らしてくれる。
「まあ、綺麗に治っているわ」
「これが私の役目ですから、自信をもって綺麗に治しました。うら若き乙女の足に傷跡など残しては。光魔術師の恥ですわ」
「足に傷跡が残ったら困るなって思っていたの。アトミスさん、本当にありがとうございます」
「でも光魔術では、スカートについた血までは取れないのですけれど」
「スカートも破けているわね」
「綺麗なワンピースをお召しになっていますね。ここで着替えることはお勧めしませんが、お着替えなさいますか?」
「日が明けたら、戦闘服をもらうといい」
アハトが言った。
「ほら、次の獲物が湧いてきた」
リリーは急いで立ち上がった。
「今夜は俺たちのパーティーに参加してくれ、リリー嬢」
「お供させていただくわ」
「やったぜ!」とアハトが笑った。
「頼むぜ」とワポルとフィジが言った。
灯っていた灯が消されて、五人で背中を合わせ、攻撃していく。
リリーは自分の風魔術の攻撃力が上がっていく感じがわかった。
「クっ!」
バランスを崩して、鞄を掴んだまま落下していく。パンの袋はどこかに飛んで行き、背中に背負った水のバックは枝で穴が開いた。このまま落ちたら死んでしまう。どうにか止めないと。
リリーはすごいスピードで落ちていく自分の身体を止めようと必死に考えた。
「ロッチャーウイング」
片手を伸ばして、地面に向かって魔術をかける。
風を遮るための魔術だ。
覚え始めたばかりで、まだ経験値が足りない。
落下速度が緩やかになったが、まだスピードがある。
「ウインドウシュートス」
地面に向けて風攻撃をしてみると、体が少し浮かび上がった。
リリーは落ち着いて、鞄に跨がる。
既に森の中まで落ちている。魔物が爪を突き出してくる。
「ライトニング・ウインド」
稲妻のような風攻撃で、魔物を引き裂いた。
足が痛くて、いったん着陸する。
魔物の群れが跋扈するそこでは、様々な魔術攻撃をしている者達がいた。
渦巻く炎『ファイヤー・トルネード』で焼き払う者、水の槍『ウォーター・ジャベリン』で攻撃している者、目映い光線で攻撃している者、周りの地面の土を自由自在に操って攻撃と防御をしている者の四人の姿が見えた。
リリーは鞄をその場に置くと、風魔術で魔物を攻撃し始めた。
新たな魔術攻撃の参戦で、四人がリリーの存在を認識する。
しかし、魔物は次から次へと湧いてくる。
「悪いがトドメを刺してくれ」
このパーティーリーダーなのか、中の一人から声をかけられ、リリーは「わかったわ」と答えた。
大きな魔物には大技をかけて、確実にとどめを刺していく。
風魔術の練習にはちょうどいい。
どんどん身体から魔力が湧いてきて、その攻撃力も増していく。
リリーは無我夢中で攻撃して、我に返るといつの間にか生きている魔物の姿が消えていた。
先ほどの四人がリリーの側に寄ってきた。
「君、すごいね。風魔術かい?」
「ええ、そうよ」
「空から落ちてきたみたいだったけど?」
「魔術で飛行していたところを下から攻撃をされて、バランスを崩してしまったの。足を怪我してしまったわ」
「怪我をされたの?見せてみてちょうだい」
「恥ずかしいわ」
「ダメダメ。魔物には毒を持ったのがいるんだ。アトミスは女の子だし、癒やしの光魔法で傷を治せるんだ」
「改めて紹介するよ。俺は火魔術師のアハト。俺の隣にいるのが、水魔術師のワポル。その隣にいるのが土魔術師のフィジ、今、光を灯しているのは光魔術師の紅一点のアトミスだよ。光魔術師は攻撃も治癒もできる。パーティーには必ず一人は欲しい人材なんだけど、光魔術師はとても少ないんだ」
「私はリリーといいます。アストラべー王国にいる師匠に会いに行く途中でした」
「リリーさん、治療するから怪我した足を見せてくださいな。・・・・・・彼女を治療している間、貴方達には、新たな魔物が攻撃してこないか付近の見張りを御願いします」
「わかってるって。任しとけ」
「助けた恩人には感謝してるんだ、そんなに警戒するな」
「痕が残らないように、綺麗に治してやってね」
光魔術師のアトミスさん以外は男の子なんだ。
「リリーさん、横になれます?毒の回りが早いと発熱してしまいますの」
「わかりました。アトミスさん、よろしくお願いします」
リリーは、平らな場所に横になりスカートをめくる。
「これは酷いですね。かなり痛いのでしょう?」
「ええ、とても」
「ではまず、プリエール」
アトミスさんは両手を広げて虹色の光の輪を作りだした。
「今、リリーさんの身体の毒や穢れなどを浄化しています」
「はい」
虹色の光が消えてくると、アトミスさんは次に「サルバシオン」と唱え、両手を私の足の傷に翳していく。
「少し暖かく感じるかもしれませんが、大丈夫ですよ。傷を塞いでおりますの」
「ありがとう、アトミスさん」
「いえいえ、私達が助けていただいたのでお礼には及びませんわ」
身体がぽかぽかとして気持ち良くなり、眠くなってくる。
リリーはそのまま少し眠ってしまった。
「終わりましたわ、リリーさん」
そっと肩を揺すられ、リリーは目を覚ます。
「あらごめんなさい。少し眠ってしまったみたい」
「癒やしの効果ですから、眠くなる人が多いのよ。それよりも足は痛くはないですか?」
アトミスさんが傷のあった場所を照らしてくれる。
「まあ、綺麗に治っているわ」
「これが私の役目ですから、自信をもって綺麗に治しました。うら若き乙女の足に傷跡など残しては。光魔術師の恥ですわ」
「足に傷跡が残ったら困るなって思っていたの。アトミスさん、本当にありがとうございます」
「でも光魔術では、スカートについた血までは取れないのですけれど」
「スカートも破けているわね」
「綺麗なワンピースをお召しになっていますね。ここで着替えることはお勧めしませんが、お着替えなさいますか?」
「日が明けたら、戦闘服をもらうといい」
アハトが言った。
「ほら、次の獲物が湧いてきた」
リリーは急いで立ち上がった。
「今夜は俺たちのパーティーに参加してくれ、リリー嬢」
「お供させていただくわ」
「やったぜ!」とアハトが笑った。
「頼むぜ」とワポルとフィジが言った。
灯っていた灯が消されて、五人で背中を合わせ、攻撃していく。
リリーは自分の風魔術の攻撃力が上がっていく感じがわかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,289
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる