12 / 117
2 冒険に出ます
2 森の中
しおりを挟む隣の国まで、かなりの距離がある。ビエント様に会いたかった。
自分で魔術の練習をして飛べるようになれたし、簡単な攻撃魔法も使えるようになった。
暗くなってきて、リリーは森の中に降りていく。鳥が飛び立ち、リリーはバランスを崩して落下した。
「いてて」
旅行鞄が壊れてはいなくて、ホッとする。
森の中を歩いて、鞄は重さを感じない程度に浮かせていく。
木こりの山小屋だろうか、小さな山小屋を見つけて、リリーは一応ノックするが誰も出てこない。扉には鍵がかけられてはいなかった。
小屋の中に入ると、鞄を床に降ろした。
扉を閉めて小屋の中を見回す。
誰もいなく、やはり木こり小屋のようだ。
部屋の扉を開けていく。
「あら、ベッドがあるわ」
小さなキッチンもあり、なかなか住み心地が良さそうだ。
リリーはそこを第一の拠点にした。
鞄を小屋に残し、森の中の探索に入る。少し離れた場所に川があり飲み物も手に入れられそうだ。
「ウインドウシュートス」
手から勢いよく風が出て、木の葉がハラハラと落ちる。
両手を前に出すだけで、魔術が出るようになった。
軽い風なら、心の中で呟くだけで魔術を発動させられる。
「もうちょっと早く飛べたらいいのにな」
暗くなるまでに小屋に戻り、内鍵をかけて、バケットを千切って、ジャムをつけて食べる。
「お風呂に入れないのは辛いわね。明日は町に出てみようかな」
リリーはベッドに横になり、体を丸める。掛け布団はなかった。少し肌寒く、風邪を引きそうだ。
外では雨が降り出している。
本降りで風も強い。明日は外に出られないかな?
取り敢えず雨宿りができる小屋があって良かった。
自宅から持ってきたバケットは少しずつ食べているが、雨が止まないと出られない。
一週間雨が続き、やっと外に出られた頃には、バケットはなくなっていた。
お腹も空いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,289
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる