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2 高校に行けるんですか?
6 美少年は青龍様でした
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唯はまた高校へ通えるようになった。
長く借りっぱなしだったコミックを美保に返せる。
怒ってはいないかと心配して登校したら、五人は唯を心配していた。
「怪我をして療養していたの」
「もう体は大丈夫なの?」
「青龍様のお陰で、助けていただきました」
五人は「素敵」と言いながら、胸の前で手を合わせた。
桜花高校のある花咲町は、町全体で青龍様を祀っている。
花姫の存在も知っていて、我が子を花姫にして欲しいと願掛けをする人もいるそうだ。
友人になってくれた五人は、花姫の友人として、学校からも地域からも一目置かれているようだった。
「2巻のコミック、今日は持ってきてないから、明日持ってくるね」
「ありがとう」
唯は微笑む。
「休んでいた間のノートは、購買でコピーすればいいよ」
香奈の申し出に、唯は焦る。
「私、お金持っていないから払えない。だから、少しずつ写させて」
「花姫様はお小遣いないの?」
「うん。高校に通わせてもらえるのもイレギュラーなことみたいなの。今までは花姫になったら御嵩家からは出られないしきたりなの」
五人は頷く。
「窮屈なのね」
唯は微笑むことで本音を隠す。
(もっと自由に生きたい。みんなが羨ましいよ)
「綺麗な池があるのね」
唯は話題を変える。
「花咲町は池が多いの。高校の敷地にも池が入り組んでいて、散歩ができるようになっているのよ」
香奈が窓辺に唯を連れて行く。
「綺麗な景色」
町全体に花が咲いている。
「花姫様が転入されてから、町の花が満開に咲き始めたの。花姫様って、すごい力があるのね」
「花を咲かせることしかできないのよ。花咲かじいさんみたいでしょ?」
「唯って、本当に花姫様らしくないわ。他の花姫様は威張っているのに」
「私はまだ花姫になったばかりだから、自覚もないし、しきたりにも詳しくないの。香奈たちと同じ高校生だったんだもん」
クルッと回転すると、プリーツスカートが広がる。
懐かしい感覚。
ブラジャーやパンティーも着けられて、普通の高校生になったような気持ちよさを感じる。
「今日のお昼、池の畔にある東屋に行ってみる?」
「いいね、人気の場所だから空いているかわからないけど、そこでお弁当食べましょう」
由香里と明里の提案に、唯は頷いた。
「いろんな事、教えて」
「いいわよ」
香奈が唯の手を握った。
「唯の手って暖かいわ。なんだか気持ちがよくなる」
「どれどれ」
他の四人も唯の手に触れる。
「本当だ。なんだかいい香りもする」
「みんな止めてよ」
体に悪寒が走った。
本能でいけないことだとわかった。
体に触れる手を拒むと、五人は急に我に返ったように唯から離れた。
「花姫様の力なのね」
「分からないけど。あまり触らない方がいいと思う。みんなに何かあったら私、悲しいし」
五人は頷いた。
「でも、甘美な感覚よね」
「うんうん」と他の四人も頷き、唯の体に触れてくる。
「みんなやめて」
「……食べたい」
「唯を食べたい」
「ああ、美味しそう」
「食べたい」
「美味しそう」
五人の様子がおかしい。
食べたいと言いながら、顔つきが変わっていく。
唇が大きく耳まで裂けていく。
「いや、どうしたの。みんな」
周りの生徒が五人の言葉を聞いて、唯の周りに寄ってくる。
「いい香りだ」
「食べたい」
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
生徒たちの口が大きく裂けていく。
「助けて!」
唯が声を上げると、誰かが唯の肩に触れた。
「落ち着きなさい」
肩に触れたのは、白銀の髪をもつ綺麗な男子生徒だった。
綺麗な髪の長さは腰より長い。
瞳の色は透き通った青色だ。
「助けて」
「大丈夫だ。落ち着いて、唯。時間を止めた」
いつの間にか、「食べたい」と集まっていた生徒が動きを止めていた。
「なんで?」
目の前の男子生徒を見上げる。
背丈は唯よりずっと高い。身長は180㎝以上あるかもしれない。
見上げなければ顔は見えない。
「御嵩龍之介といいます」
「御嵩家の方なんですか?」
「唯の護衛のつもり」
龍之介はクスリと笑う。
声は少し低く、それでも聞きやすい声だ。
唯は何度も頷く。
「護衛ですか?」
龍之介は微笑むと、唯の手を取り、「こちらへ」と唯を引っ張っていく。
「でも、香奈たちが」
振り向くと、長い黒髪の背が高い生徒が、固まったように動かない香奈たちや周りの生徒の額に順に触れていた。
「唯の力は、人には強すぎる。触れられてはいけない。だから、今まで花姫は御嵩の家からは出られなかった」
「私が高校に行きたいと願ってしまったから?」
「そうだね。理を変えた」
龍之介は何でもないように静かに言葉を続ける。
「辰巳が今、彼女たちの記憶を消している。唯の甘美な味を知ってしまったら、人ではなくなり鬼になり唯に襲いかかってくる」
「私を襲うんですか?」
「唯の花姫の力は強い。御嵩家の屋敷や領地を花盛りにできるほど。唯がこの学園に通うようになってから、この花咲町もずっと花が咲いている」
唯は静かに頷く。
「その甘美な香りに人間は、鬼になり自我が壊れて、唯を食べたくなる」
「そんな。私を食べるなんて」
唯は身震いする。
今、教室の中は人が変わったように「食べたい」と口々に言いながら、唯に襲いかかってきていた。
教室のすべての人の動きが止まっていた。
他の花姫たちまで、動きを止めている。
「あの、龍之介様の、このお力は?」
「少し、時間を止めているだけだ。今は俺と辰巳と唯だけがこの世界で動いている」
「時間を止めるお力ですか?神様みたい」
そう言った後、唯は改めて、龍之介の顔をじっと見つめた。
青い瞳に白銀の長い髪。聞き覚えのある優しい声。今は学校の制服を身につけているが、その姿は威厳に満ちている。
「青龍様ですか?」
龍之介はにっこりと微笑む。
唯は急いで跪く。深く頭を下げた。
「唯、俺は唯にそんなことは求めてはいない」
龍之介の手が、唯の手を掴み、引き上げるように立たせる。
「でも、青龍様ですよね?」
「龍之介と呼んでくれていい」
「勿体ないお言葉です」
今度は立ったまま頭を下げる。
「唯、顔を見せてくれ」
顎を持ちあげられ、目と目が合う。
「俺の妃になってくれるね?」
「私なんて、まだたったの16歳で、まだまだ子供です」
唯は慌てて、言葉を紡ぐ。
「もう決めている。その体に俺の鱗を飲ませた」
「いつですか?」
「唯が川に流され、湖の底に沈んだとき。人の体では死んでしまうほどの傷を負った。事後承諾で申し訳ないが、唯の命を助けるために、先に俺の妃になるための秘薬を飲ませた」
「緑色の薬ですか?」
「そうだ。俺の鱗を煎じた」
「そんな急に言われたって」
唯は混乱していた。
青波に毎食薬を飲まされた。
傷も癒えるのが早かった。
1週間で骨折が治った。
「嫌か?」
「戸惑っています」
「そうか」
唇に龍之介の唇が触れる。
膝が震えるような澄んだ霊気が送り込まれてくる。
唯の瞳がとろりと甘くなる。
唇が薄く開き、赤く染まっていく。
触れているだけなのに、気持ちよく、体が作り替えられていくように感じる。
ゆっくり唇が離れて、唯は倒れそうになって龍之介に抱きしめられる。
「まだ完全に体は癒えていない。俺の霊気を受け入れられる体になったに過ぎない。これからは、薬の代わりに俺の霊気で、死にかけた体を治す。回復も早くなるだろう」
「龍之介様。私を妃にというのは本気ですか?」
「唯が花を付けた日から待ち望んでいた」
「花ですか?」
「そうだな、そのうち、いろんな理を教えてやろう。いろんな場所にも案内してやろう」
辰巳が近くに寄ってきて、片膝をつけ唯を見上げた。
「千鶴が危険なときに助けてくださってありがとうございます」
「黒龍様?」
「辰巳と申します。龍之介様の護衛をしております」
「千鶴さんはお元気ですか?」
「ええ、元気にしております。今は私の霊気を受け入れるための体質改善をしております」
「よかった」
唯は微笑む。
「時間を戻す。いいか、唯。体に触れさせてはならぬ。忘れるな」
「はい、龍之介様」
龍之介の指先が、唯の指先に触れて離れていく。
皆が動き出した。
始業を知らせるチャイムが鳴る。
皆が席に着く。
「唯、これ、休んでいたときの授業のコピーよ。先生に言ったら使ってもいいって言ってくれて、コピーしたの。よかったら使って」
「……ありがとう」
時間が戻っている。
コピーもしてもらえた。
(龍之介様、ありがとうございます)
大量のコピー用紙をもらって、唯はそれを鞄にしまった。
教師が入ってきて、授業が始まる。
唯は背後を振り向いた。
教室の後ろの席に、龍之介と辰巳が座っている。
龍之介が微笑んだ。
唯も微笑みを返した。
長く借りっぱなしだったコミックを美保に返せる。
怒ってはいないかと心配して登校したら、五人は唯を心配していた。
「怪我をして療養していたの」
「もう体は大丈夫なの?」
「青龍様のお陰で、助けていただきました」
五人は「素敵」と言いながら、胸の前で手を合わせた。
桜花高校のある花咲町は、町全体で青龍様を祀っている。
花姫の存在も知っていて、我が子を花姫にして欲しいと願掛けをする人もいるそうだ。
友人になってくれた五人は、花姫の友人として、学校からも地域からも一目置かれているようだった。
「2巻のコミック、今日は持ってきてないから、明日持ってくるね」
「ありがとう」
唯は微笑む。
「休んでいた間のノートは、購買でコピーすればいいよ」
香奈の申し出に、唯は焦る。
「私、お金持っていないから払えない。だから、少しずつ写させて」
「花姫様はお小遣いないの?」
「うん。高校に通わせてもらえるのもイレギュラーなことみたいなの。今までは花姫になったら御嵩家からは出られないしきたりなの」
五人は頷く。
「窮屈なのね」
唯は微笑むことで本音を隠す。
(もっと自由に生きたい。みんなが羨ましいよ)
「綺麗な池があるのね」
唯は話題を変える。
「花咲町は池が多いの。高校の敷地にも池が入り組んでいて、散歩ができるようになっているのよ」
香奈が窓辺に唯を連れて行く。
「綺麗な景色」
町全体に花が咲いている。
「花姫様が転入されてから、町の花が満開に咲き始めたの。花姫様って、すごい力があるのね」
「花を咲かせることしかできないのよ。花咲かじいさんみたいでしょ?」
「唯って、本当に花姫様らしくないわ。他の花姫様は威張っているのに」
「私はまだ花姫になったばかりだから、自覚もないし、しきたりにも詳しくないの。香奈たちと同じ高校生だったんだもん」
クルッと回転すると、プリーツスカートが広がる。
懐かしい感覚。
ブラジャーやパンティーも着けられて、普通の高校生になったような気持ちよさを感じる。
「今日のお昼、池の畔にある東屋に行ってみる?」
「いいね、人気の場所だから空いているかわからないけど、そこでお弁当食べましょう」
由香里と明里の提案に、唯は頷いた。
「いろんな事、教えて」
「いいわよ」
香奈が唯の手を握った。
「唯の手って暖かいわ。なんだか気持ちがよくなる」
「どれどれ」
他の四人も唯の手に触れる。
「本当だ。なんだかいい香りもする」
「みんな止めてよ」
体に悪寒が走った。
本能でいけないことだとわかった。
体に触れる手を拒むと、五人は急に我に返ったように唯から離れた。
「花姫様の力なのね」
「分からないけど。あまり触らない方がいいと思う。みんなに何かあったら私、悲しいし」
五人は頷いた。
「でも、甘美な感覚よね」
「うんうん」と他の四人も頷き、唯の体に触れてくる。
「みんなやめて」
「……食べたい」
「唯を食べたい」
「ああ、美味しそう」
「食べたい」
「美味しそう」
五人の様子がおかしい。
食べたいと言いながら、顔つきが変わっていく。
唇が大きく耳まで裂けていく。
「いや、どうしたの。みんな」
周りの生徒が五人の言葉を聞いて、唯の周りに寄ってくる。
「いい香りだ」
「食べたい」
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
生徒たちの口が大きく裂けていく。
「助けて!」
唯が声を上げると、誰かが唯の肩に触れた。
「落ち着きなさい」
肩に触れたのは、白銀の髪をもつ綺麗な男子生徒だった。
綺麗な髪の長さは腰より長い。
瞳の色は透き通った青色だ。
「助けて」
「大丈夫だ。落ち着いて、唯。時間を止めた」
いつの間にか、「食べたい」と集まっていた生徒が動きを止めていた。
「なんで?」
目の前の男子生徒を見上げる。
背丈は唯よりずっと高い。身長は180㎝以上あるかもしれない。
見上げなければ顔は見えない。
「御嵩龍之介といいます」
「御嵩家の方なんですか?」
「唯の護衛のつもり」
龍之介はクスリと笑う。
声は少し低く、それでも聞きやすい声だ。
唯は何度も頷く。
「護衛ですか?」
龍之介は微笑むと、唯の手を取り、「こちらへ」と唯を引っ張っていく。
「でも、香奈たちが」
振り向くと、長い黒髪の背が高い生徒が、固まったように動かない香奈たちや周りの生徒の額に順に触れていた。
「唯の力は、人には強すぎる。触れられてはいけない。だから、今まで花姫は御嵩の家からは出られなかった」
「私が高校に行きたいと願ってしまったから?」
「そうだね。理を変えた」
龍之介は何でもないように静かに言葉を続ける。
「辰巳が今、彼女たちの記憶を消している。唯の甘美な味を知ってしまったら、人ではなくなり鬼になり唯に襲いかかってくる」
「私を襲うんですか?」
「唯の花姫の力は強い。御嵩家の屋敷や領地を花盛りにできるほど。唯がこの学園に通うようになってから、この花咲町もずっと花が咲いている」
唯は静かに頷く。
「その甘美な香りに人間は、鬼になり自我が壊れて、唯を食べたくなる」
「そんな。私を食べるなんて」
唯は身震いする。
今、教室の中は人が変わったように「食べたい」と口々に言いながら、唯に襲いかかってきていた。
教室のすべての人の動きが止まっていた。
他の花姫たちまで、動きを止めている。
「あの、龍之介様の、このお力は?」
「少し、時間を止めているだけだ。今は俺と辰巳と唯だけがこの世界で動いている」
「時間を止めるお力ですか?神様みたい」
そう言った後、唯は改めて、龍之介の顔をじっと見つめた。
青い瞳に白銀の長い髪。聞き覚えのある優しい声。今は学校の制服を身につけているが、その姿は威厳に満ちている。
「青龍様ですか?」
龍之介はにっこりと微笑む。
唯は急いで跪く。深く頭を下げた。
「唯、俺は唯にそんなことは求めてはいない」
龍之介の手が、唯の手を掴み、引き上げるように立たせる。
「でも、青龍様ですよね?」
「龍之介と呼んでくれていい」
「勿体ないお言葉です」
今度は立ったまま頭を下げる。
「唯、顔を見せてくれ」
顎を持ちあげられ、目と目が合う。
「俺の妃になってくれるね?」
「私なんて、まだたったの16歳で、まだまだ子供です」
唯は慌てて、言葉を紡ぐ。
「もう決めている。その体に俺の鱗を飲ませた」
「いつですか?」
「唯が川に流され、湖の底に沈んだとき。人の体では死んでしまうほどの傷を負った。事後承諾で申し訳ないが、唯の命を助けるために、先に俺の妃になるための秘薬を飲ませた」
「緑色の薬ですか?」
「そうだ。俺の鱗を煎じた」
「そんな急に言われたって」
唯は混乱していた。
青波に毎食薬を飲まされた。
傷も癒えるのが早かった。
1週間で骨折が治った。
「嫌か?」
「戸惑っています」
「そうか」
唇に龍之介の唇が触れる。
膝が震えるような澄んだ霊気が送り込まれてくる。
唯の瞳がとろりと甘くなる。
唇が薄く開き、赤く染まっていく。
触れているだけなのに、気持ちよく、体が作り替えられていくように感じる。
ゆっくり唇が離れて、唯は倒れそうになって龍之介に抱きしめられる。
「まだ完全に体は癒えていない。俺の霊気を受け入れられる体になったに過ぎない。これからは、薬の代わりに俺の霊気で、死にかけた体を治す。回復も早くなるだろう」
「龍之介様。私を妃にというのは本気ですか?」
「唯が花を付けた日から待ち望んでいた」
「花ですか?」
「そうだな、そのうち、いろんな理を教えてやろう。いろんな場所にも案内してやろう」
辰巳が近くに寄ってきて、片膝をつけ唯を見上げた。
「千鶴が危険なときに助けてくださってありがとうございます」
「黒龍様?」
「辰巳と申します。龍之介様の護衛をしております」
「千鶴さんはお元気ですか?」
「ええ、元気にしております。今は私の霊気を受け入れるための体質改善をしております」
「よかった」
唯は微笑む。
「時間を戻す。いいか、唯。体に触れさせてはならぬ。忘れるな」
「はい、龍之介様」
龍之介の指先が、唯の指先に触れて離れていく。
皆が動き出した。
始業を知らせるチャイムが鳴る。
皆が席に着く。
「唯、これ、休んでいたときの授業のコピーよ。先生に言ったら使ってもいいって言ってくれて、コピーしたの。よかったら使って」
「……ありがとう」
時間が戻っている。
コピーもしてもらえた。
(龍之介様、ありがとうございます)
大量のコピー用紙をもらって、唯はそれを鞄にしまった。
教師が入ってきて、授業が始まる。
唯は背後を振り向いた。
教室の後ろの席に、龍之介と辰巳が座っている。
龍之介が微笑んだ。
唯も微笑みを返した。
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