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第4章

93 学校

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 月日は流れ、ウェントゥスは13才となり、学校に入学できる歳になった。

 ルーナは、先に入学して、二年生になる。

「ウェン、新入生代表は、こちらよ」と美しく成長したルーナが、ウェントゥスの手を取る。

 ウェントゥスとルーナは、結局、許嫁になっている。

 二人は幼い頃から、仲良く遊び、一緒に学んでいった。

 ブルーリングス王国の正式な容姿を持った者は、我が子以外に現れなかったので、内緒の出自が確かなルーナを、早いうちにウェントゥスの許嫁にして、二人でいずれブルーリングス王国を継いでいく事を教えて、二人は幼い頃から、自覚して勉学を学んでいった。

 ルーナは、本当の親ではないと知った時に、心を乱したが、ウェントゥスが寄り添い慰めた。

 今まで通りで過ごして欲しいと願った通りに、ルーナは私をお母様と呼び、レインの事をお父様と呼んでくれた。

 私には、ウェントゥス以外にも、王子も姫も授かった。

 王子も姫も三人産んで、今もお腹の中に赤ちゃんがいる。

 全て、レインの子だ。

 王家の血を残すために、子作りに励んだ。

 辺境区は病院も予約待ちが出るほど、人気な療養所となった。

 薬草を育てる土地があるので、薬学の研究所は他国からの入学者もいるほどだ。

 医師の育成も、慢性期の実習は辺境区で行い、急性期の自習はニクス王国の中央都市の病院で自習を行い、こちらも他国からの入学者もいるほどだ。

 建築科、家政科も人気があり、レベルの高い子供達が集まっている。

 騎士科もかなり、強い子が育っている。

 13才から16才までは、一般教養を教えて、それから2年は上級クラスとしている。

 資格によっては、2年で学べない物は4年コースもある。

 学科別の学部に人気が出て、専門の資格を取ることができる。

 ルーナは家政科に進みたいと言っていた。

 美味しいケーキを自分で作りたいと言っている。

 ウェントゥスは騎士科に進むと言っている。

 入学試験で成績一番の者が、入学式の代表として、名を呼ばれて、宣誓をすることになっている。

 私は、他の子供達を子守役に頼んで見学に来た。

 勿論、レインも隣にいる。


「いい子に育った。将来が楽しみだ」
「そうね」


 辺境区の子供達は全て、学校に入れるように、小学校に通わせて、知識を付けさせている。

 辺境区の子供達は、皆、知識が豊かな子に育ち、自分の意見はきちんと言える子に育てている。

 小学校から中学校に通うには、お金がかかってくるので、奨学金を受ける者、成績上位者は推薦で、入学する事もできる。

 平民から上位クラスまで出た子がいる。

 家政科に進み、辺境区にお菓子の専門店を作って、毎月、奨学金を返済している子もいる。

 辺境区には、いろんなお店ができた。

 お菓子専門店、洋服仕立て屋、木材屋、電気の知識を付けて、現在の発電所に入る子もいる。

 騎士科は、騎士団長が手取り足取り教えているので、腕の立つ者も増えた。

 戦略科も含まれているから、かなり優秀な者が育っている。


「僕は将来、騎士科に入れるように、勉学を頑張りたい。一生の友人も作りたいと思っています。楽しい学校生活を送りたいと思います。ウェントゥス・ブルーリングス」

 ウェントゥスは校長先生の前に立ち宣誓をして、綺麗なお辞儀をした。

 何と立派に育ったのだろう。

 私はウェントゥスが生まれた時の事を思い出す。

 お腹の上にアルフォード王子が尻餅をついた時は、ウェントゥスは死んでしまったと思って、泣いていた。

 あの時の子が、今、立派に宣誓をしたのです。

 自分は次期国王陛下になる自覚をしっかり持っています。

 なんと凜々しいことでしょう。

 来年は、エイドリック王子のお子が入学してきます。

 私達が辺境区に戻った後に行われたパーティーで、見初めた令嬢がいたそうです。

 エイドリック王子は、直ぐにお手紙を書き、お茶会に誘ったそうです。

 公爵家の令嬢で、18才になる乙女に求婚して、花を毎日送り、お気持ちを伝えて、心が通じたお相手だとか。

 すぐに結婚式を挙げたいと申し込んだそうです。

 誰にも反対されずに、結婚式までこぎ着けたとか。

 結婚式には、レインだけが出席しました。

 新婚旅行は辺境区となり、私もマリアナ妃と仲良くできそうなほど、礼儀正しいく、お淑やかな姫でした。

 そんな二人は、すぐにお子に恵まれました。

 立派な男の子だとか。

 来年、入学してくるのが楽しみです。

 姫達は、順に縁談話があり、貴族の殿方と結ばれたそうです。

 ゴードン王子もこちらの学校に入学されております。

 ルーナと同じクラスだと聞いております。

 ゴードン王子は、医学部に進みたいと勉学に励んでおります。

 ゴードン王子は、警備の関係上、宮殿でお預かりしております。

 学校から帰っても、勉学をしており、家庭教師を付けて欲しいと要望があり、中央都市から専属の家庭教師も宮殿に住んでおります。

 最初は少なかった宮殿の中は、人が増えました。

 最初はニクス王国から使用人の派遣もありましたが、今では今では自国の教養を付けた子供達も要塞で働いています。

 ブルーリングス王国は、新たな地図に名を載せられておりました。

 何と栄誉なことか。

 国も豊かになり、人も増えて、店も増えて、戦争のない平和な国になりました。

 式典が終わると、私はレインと手を繋ぎ馬車に乗りました。

 私の好物のマフィンを売っている店により、子供達の分も買って宮殿に戻りました。

 まだ小さい子供達は、私達の姿を見ると、駆けてきます。

 レインは一人ずつ抱き上げております。

 末の子だけは、「ママ」と言って、私を見上げております。

 私も子を抱くと、皆、「ずるい」と言っております。

 レインは、「文句を言う子にはおやつはなしだ」と言います。

「レイン、子を脅迫してはいけないわ」

「どの子もニナがいいと言う」

 これは母の特権です。

「私のお腹の中から産まれて、乳を与えたのは私ですもの」

「みんなママがいいのか?」

「ママがいい。でも、パパの腕はブランコになるから、パパも好きだよ」

 幼くても、父親を喜ばす言葉は知っているようです。

 レインは、嬉しそうに、身体に子供をぶら下げて、遊んでおります。

「さあ、おやつにしよう」と言うと、私が抱っこしている末娘を抱き上げて歩いて行きます。

 私は、とても幸せです。

 レインが望むまで子を産み、お婆様の望みを叶えております。

 リリーが守ってくれたように、リリーの分の子も産んでいます。

 お兄様は、サーシャと結婚して、サーシャも直ぐに子に恵まれたようです。

 再来年、子供の入学と共に、お兄様は辺境区に移住してきて、学校の先生になることが、既に決まっております。

 お兄様の邸は、今、作っておりますが、ニクス王国の議長の代わりがいないと困っているようです。

 レアルタは、上位クラスを卒業して、医師になっております。

 自分の足で、きちんと歩いております。

 虐待のない世の中を作りたいと言っておりました。

 子供の頃の傷は、心に残っておりますが、きちんと自分の糧にできているようで、安心しました。

 ブルーリングス王国は、ニクス王国の姉妹王国として、共に協力して国を成り立たせております。

 両国の将来に栄光あれですわ。



 終



…………………………*…………………………


読んでくださりありがとうございます。
運営様、途中で躓いたとき、投稿の仕方を教えてくださり感謝します。
ショートカットはしっかり記録しておきました。
応援お願いしますm(_ _)m
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感想 95

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みんなの感想(95件)

えすく
2024.03.05 えすく
ネタバレ含む
綾月百花   
2024.03.05 綾月百花   

えすく様

読破、コメントありがとうございます。

ニナは逞しくなりましたね。
悲しいことを乗り越えて、王妃の自覚も出てきて、私はこのストーリー好きです。
面白いと言ってくださり、嬉しく思います。
ありがとうございます。

解除
うろこmax
2024.02.23 うろこmax
ネタバレ含む
綾月百花   
2024.02.24 綾月百花   

うろこmax様へ

コメントありがとうございます。
完読お疲れ様でした。
とても嬉しいお褒めの言葉、嬉しく思います。
マイペースなので、自分の思った物を書きたい頑固者です。
最近の流行り物も書いてみたいとは思いますが、どうしても私流になってしまいます。
一作ずつ、心をこめて書いた物ですので、どうぞ過去の物も目を通して欲しいです。
ありがとうございます。

解除
セイ
2024.02.22 セイ
ネタバレ含む
綾月百花   
2024.02.22 綾月百花   

セイ様へ

コメントありがとうございます。
完読してくださりありがとうございます。
書くときも感情移入して書いているので、私も泣きながら、怒りながら書いています。
とても嬉しい感想、嬉しいです。
二人の絆は大丈夫です。
ブルーリング王国は、世界で一番小さな国ですけれど、学力の高い学校ができて、医療面でも発達して、この国で研究などもされていくのだと思います。

解除

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