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第2章
52 調査
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ニクス王国の国王陛下はブルーリングス王国の血族の調査を既にしていた。
ただ、これが全てかは分からないと言っている。
ブルーリングス王国が崩壊したのは、三世代前になる。避難した王家の者は、貴族の家に保護されたが、民も逃げ出した者がいる。その者達の行方は、ニクス王国に溶けていき、時々ブルーリングス王国の色を持つ子が生まれるそうだ。
その者達は口が硬く、ブルーリングス王国について話をする者は多くはないそうだ。
私がお婆様に学んだ合い言葉は、民は知らない。王家の者しか知らない言葉だ。
民の中からブルーリングス王国の者を探すことは無理だろうと、国王陛下に言われた。
今回は貴族の子であったが、民の中にも、今回の様なことが起きても不思議ではない。
最近、ニクス王国で、違法な賭博が流行っているそうだ。
アジトは頻繁に代わり、犯人も場所も突き止めることができないらしい。
賭博と同時に、人身売買も起きているらしく、子供の誘拐や年頃の娘の誘拐が起きているという。
サーシャが誘拐されてなくてよかったが、謝金を取り立てに来た者達に、子供を連れて行かれた可能性もある。
エイドリック王子は、そちらの調査にかかりっきりになり、なかなか許嫁と会えずに苛々している。
それほど会いたいなら、写真でも持っていればいいだろうとレインが言うと、どうやらもう既に持って歩いているという。
夜間の外出は禁止になり、毎晩、騎士達が巡回しているという。
捕らえたサーシャの父親に聞いても、賭博があるときは、邸の郵便ポストに赤い紙が入って、日時と場所が書かれていたという。
会社の金にまで手を付け、会社は気づいた時には、火の車になり、立ち行かなくなっていたという。
酒が抜けたサーシャの父親は、ボロ雑巾のように汚れて、金のなる物は全て持って行かれたという。
奥様の宝石やドレス等も持って行かれて、奥様は怒り狂い、子供達に手を挙げていたようだ。
使用人は、取り立て屋が来るようになって、逃げ出すように出て行ったそうだ。
保護が一日遅ければ、サーシャとレアルタは、母親に殺されていたか、誘拐されていた可能性が高い。
そもそもお見合いの席に、子供の親が来ないことが異常であった。
お兄様は、そんな家庭にサーシャを置いておきたくはなかったので、保護をすることに決めていたという。
もれなく弟のレアルタの後見人になったが、お兄様は、この頃楽しそうです。
子供達に侍女をつけて、家庭教師も手配し、学校に行かなくても伯爵夫人として胸を張って生きていける教育も始めて、お兄様は仕事の帰りには、お土産を買っているとか。
エイドリック王子が、子供の誘拐が頻発していると忠告しに行くと、とろけそうになった顔のお兄様が、両手に子供を抱えていたという。
とても想像できない。
誰かを囮にして、アジトを見つけだす案も出ているが、誰を囮にするかで、この話は立ち消えとなりそうだ。
年頃の乙女に傷など付けたら、責任も持てない。
私は勉強になるので、会議があるときは、末席に座り、話し合いを聞く。
私の隣には、興味津々なシュロが座っている。
今にでも自分が囮になりますと、手を挙げそうで、心配である。
本気の男の力を知っている身としては、こんな危険な案はよくない。
私は盗賊に囲まれたときのことを思い出して、怖くなる。
ナイフがあっても、男の力の方が強い。一発殴られただけで、死にかけた身だ。
幸運はそれほど振っては来ない。
エイドリック王子は婚礼を控えた身だが、この事件が落ち着かなければ、結婚式も延期になりかねない。
一緒に結婚式を挙げると言われていたので、私とレインの結婚式も遅れそうだ。
レインも、この事件の手伝いをしている。
「ニナは珍しい白銀とブルーアイを持っているから、誘拐されかねない」と外出は禁止されている。
お兄様の邸に行き、サーシャと遊びたいけれど、それも禁止だと言われている。
私に着けた護衛騎士は何のためにいるのかしら?
結局、話し合いの末、街の見回りと、無人の邸を見て歩くことになった。
進展は見られない。
そういえば、国王陛下のお姿がないです。
この案件は、エイドリック王子に任せているのでしょうか。
会議が終わると、次々と騎士達が出て行く。
この会議に出ている騎士は、上位貴族だろう。皆さん、厳ついお顔をなさっています。
アルクのように、お顔に刀傷を受けている殿方もいます。
「ニナ、こんなところで、何をしている?」
「王妃ですもの。時勢を知りませんといけないと思い。お話を聞いておりました」
「興味を示して、出歩くなよ」
「はい、そうだ。中央通りにあるマフィンのお店に行きたいのですけれど、行ってきてもいいですか?護衛もいますし」
「出歩くなと言っておるのに、何処に耳が着いておるのだ?」
「レイン、耳を引っ張らないでください」
私は自分の耳を押さえた。
「買ってきてやろうか?」
「自分で行きたいのです。学生時代によく行っていたので、懐かしいのです」
「護衛は連れて行きなさい。念のために、その美しい髪を隠して行きなさい」
「分かりました。あと、サーシャに会いに行ってもいいですか?」
「早めに戻りなさい」
「はい」
レインは、私のおでこにキスをすると、私の長い髪を撫でた。
ただ、これが全てかは分からないと言っている。
ブルーリングス王国が崩壊したのは、三世代前になる。避難した王家の者は、貴族の家に保護されたが、民も逃げ出した者がいる。その者達の行方は、ニクス王国に溶けていき、時々ブルーリングス王国の色を持つ子が生まれるそうだ。
その者達は口が硬く、ブルーリングス王国について話をする者は多くはないそうだ。
私がお婆様に学んだ合い言葉は、民は知らない。王家の者しか知らない言葉だ。
民の中からブルーリングス王国の者を探すことは無理だろうと、国王陛下に言われた。
今回は貴族の子であったが、民の中にも、今回の様なことが起きても不思議ではない。
最近、ニクス王国で、違法な賭博が流行っているそうだ。
アジトは頻繁に代わり、犯人も場所も突き止めることができないらしい。
賭博と同時に、人身売買も起きているらしく、子供の誘拐や年頃の娘の誘拐が起きているという。
サーシャが誘拐されてなくてよかったが、謝金を取り立てに来た者達に、子供を連れて行かれた可能性もある。
エイドリック王子は、そちらの調査にかかりっきりになり、なかなか許嫁と会えずに苛々している。
それほど会いたいなら、写真でも持っていればいいだろうとレインが言うと、どうやらもう既に持って歩いているという。
夜間の外出は禁止になり、毎晩、騎士達が巡回しているという。
捕らえたサーシャの父親に聞いても、賭博があるときは、邸の郵便ポストに赤い紙が入って、日時と場所が書かれていたという。
会社の金にまで手を付け、会社は気づいた時には、火の車になり、立ち行かなくなっていたという。
酒が抜けたサーシャの父親は、ボロ雑巾のように汚れて、金のなる物は全て持って行かれたという。
奥様の宝石やドレス等も持って行かれて、奥様は怒り狂い、子供達に手を挙げていたようだ。
使用人は、取り立て屋が来るようになって、逃げ出すように出て行ったそうだ。
保護が一日遅ければ、サーシャとレアルタは、母親に殺されていたか、誘拐されていた可能性が高い。
そもそもお見合いの席に、子供の親が来ないことが異常であった。
お兄様は、そんな家庭にサーシャを置いておきたくはなかったので、保護をすることに決めていたという。
もれなく弟のレアルタの後見人になったが、お兄様は、この頃楽しそうです。
子供達に侍女をつけて、家庭教師も手配し、学校に行かなくても伯爵夫人として胸を張って生きていける教育も始めて、お兄様は仕事の帰りには、お土産を買っているとか。
エイドリック王子が、子供の誘拐が頻発していると忠告しに行くと、とろけそうになった顔のお兄様が、両手に子供を抱えていたという。
とても想像できない。
誰かを囮にして、アジトを見つけだす案も出ているが、誰を囮にするかで、この話は立ち消えとなりそうだ。
年頃の乙女に傷など付けたら、責任も持てない。
私は勉強になるので、会議があるときは、末席に座り、話し合いを聞く。
私の隣には、興味津々なシュロが座っている。
今にでも自分が囮になりますと、手を挙げそうで、心配である。
本気の男の力を知っている身としては、こんな危険な案はよくない。
私は盗賊に囲まれたときのことを思い出して、怖くなる。
ナイフがあっても、男の力の方が強い。一発殴られただけで、死にかけた身だ。
幸運はそれほど振っては来ない。
エイドリック王子は婚礼を控えた身だが、この事件が落ち着かなければ、結婚式も延期になりかねない。
一緒に結婚式を挙げると言われていたので、私とレインの結婚式も遅れそうだ。
レインも、この事件の手伝いをしている。
「ニナは珍しい白銀とブルーアイを持っているから、誘拐されかねない」と外出は禁止されている。
お兄様の邸に行き、サーシャと遊びたいけれど、それも禁止だと言われている。
私に着けた護衛騎士は何のためにいるのかしら?
結局、話し合いの末、街の見回りと、無人の邸を見て歩くことになった。
進展は見られない。
そういえば、国王陛下のお姿がないです。
この案件は、エイドリック王子に任せているのでしょうか。
会議が終わると、次々と騎士達が出て行く。
この会議に出ている騎士は、上位貴族だろう。皆さん、厳ついお顔をなさっています。
アルクのように、お顔に刀傷を受けている殿方もいます。
「ニナ、こんなところで、何をしている?」
「王妃ですもの。時勢を知りませんといけないと思い。お話を聞いておりました」
「興味を示して、出歩くなよ」
「はい、そうだ。中央通りにあるマフィンのお店に行きたいのですけれど、行ってきてもいいですか?護衛もいますし」
「出歩くなと言っておるのに、何処に耳が着いておるのだ?」
「レイン、耳を引っ張らないでください」
私は自分の耳を押さえた。
「買ってきてやろうか?」
「自分で行きたいのです。学生時代によく行っていたので、懐かしいのです」
「護衛は連れて行きなさい。念のために、その美しい髪を隠して行きなさい」
「分かりました。あと、サーシャに会いに行ってもいいですか?」
「早めに戻りなさい」
「はい」
レインは、私のおでこにキスをすると、私の長い髪を撫でた。
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