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第1章

13 初夜(2)   ♡

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 私はキスだけで、頭がぼんやりして、レインに倒れかかった。

 こんなに気持ちのいいキスは、初めてだった。

 レインの掌が、背中をさする。


「キスだけで、イってしまったか?」

「イって?なにかしら?」

「身体が快感で染まってしまう事をイクというのだ」

「私は今、イったのね?」

「こうなったのは、初めてなのか?」

「ええ、キスが気持ちがいいなんて、初めて知ったわ」

「フェルトとキスはしなかったのか?」

「婚約時代に、触れるだけのキスはしたことはあったけれど、結婚してからはないわね」

「フェルトはリリー嬢と浮気をしていたのだったな?」

「そうよ」

「もしかしたら、抱かれてもいないのではないか?」

「そんな事はないと思うのだけれど」


 レインは、私をベッドに倒すと、ネグリジェを脱がし始めた。


「ニナ、念のために、一度、結ばれる場所に触れるぞ」

「痛かったら、直ぐに止めてくださいね」

「その為に、確かめたい」

 私は頷いた。

 レインは、私にまたキスをした。

 気持ちのいいキスをしてくれる。

 手が、足と足の間に触れて、そっと撫でてくる。

 レインが触れるところは、どこもかしこも気持ちがいい。

 指が一本、陰部に触れて、そっと合間に入ってきた?

 入ってはいない。

 入り口に触れている。

 指はゆっくり、結ばれる入り口の輪郭をなぞっている。

 身体の奥から蜜が溢れてくる。

 こんな事は初めてで、戸惑う。


「濡れてしまう」

「濡れなければ、できないであろう?」

「え?」


 濡れなければ、できないの?

 そんなこと、知らないわ。


「濡れた事がなかったのだな?」

 私は頷いた。

「ニナ、信じられないだろうが、ニナはまだ清い身だ」

「え?でも、フェルトは私を抱いていたわ」

「体内に入れられたことはあるのか?」

「痛くて、できなかったの。だから、半年もかかったの」


 レインは、私の足を揃えた。

 太股と太股の間に、レインは手を入れた。


「ここを使っていたのではないか?」

「よく分からない」

「では、試してみるか?」

「え?」


 レインは自分の陰部を出した。

 しっかり勃起したペニスは、フェルトの物より立派で腰が引ける。

 レインの物が、合間に入ってきて、行き来する。

 私は目を見開いて、レインを見つめた。

 私は今、レインに抱かれているの?

 レインは、フェルトと同じ抱き方で私を抱いている。

 達したのか、レインは私にキスをした。

「どうだ?同じではなかったか?」

「同じだったわ」

「これでは、ニナは濡れないであろう」

「私、騙されていたの?」

「そのお陰で、清い身だ。痛かったのなら、痛くないように、慣らさなくてはならないよ?」

 レインは、私の足を開くと、指を一本、入り口に触れて、ゆっくり挿入していった。体内にレインの指の感覚がす
 る。

 私はそれだけで、緊張していた。

 怖さと嬉しさが混雑している。

 片手は、私の太股を撫でている。

 まるで宥めているような、優しい動きだ。

 初めての感覚に戸惑うけれど、レインの手は優しい。

 静止していたその指が、ゆっくり動き始めた。指が奥に行き、膣口まで戻って行く。何度も指を行き来させる。それだけで、お腹の中がキュンキュンとしてくる。

 こんな事は初めてで、戸惑う。

 顔を上げたレインは、優しく微笑む。


「レイン、変よ?」


 レインは、またキスをしてきた。

 指を抽挿しながら、

 私は初めての快感で身体を震わせた。

 心地よい快感で、身体から力がけていく。

 身体を動かすのも億劫で、レインに身を任す。

 レインはぐったりとしている私を抱き寄せて、裸の身体を触れあわせてきた。

 その肌の触れあいも心地よく、私は目を閉じた。

 翌朝、目を開けると、レインが私を見ていた。


「おはよう」

「おはようございます」


 私は裸体のまま、レインに抱きしめられていた。


「恥ずかしいわ」

「裸体も美しい。ずっと見ていたいほど、綺麗だ」


 私は羞恥で赤くなってくるのが分かる。

 レインが私の胸に触れた。

 レインの掌にすっぽり包まれる大きさで、その小ささに恥ずかしくなる。

「丁度いい大きさだ」と指を動かす。

 私、今、胸を揉まれているのね。

 フェルトに胸を揉まれたことは、なかったわね。


「弾力も柔らかさも、極上だ」


 褒められたが、恥ずかしい。

 レインは、揉んでいた私の胸の尖りを口に含み、吸い付きながら舐めている。

 身体の中から蜜が溢れてくる。

 胸を揉まれるのは、気持ちがいいのね。

 左右の胸の尖りを丁寧に口に含まれて、吸われた。

 突然、カリッと噛まれて、ゾクッと腰が震えて、たくさん蜜が濡れてきた。

 濡れるという感覚は初めてで、戸惑ってしまう。

 ベッドが濡れて汚れてしまう。

 戸惑う私を見ていたレインは、私のそこに指を入れる。

「レイン、いや、怖いわ」

「信じて」


 私の胸を揉みながら、先端を吸い、甘く噛む。

 その間、下肢の指は、奥へと入って行った。

 痛くはない。

 痛くはないことで、肩に入っていた力が抜けていく。

 ゆっくり、指が抽挿する。

 指の動きが、徐々に速くなる。

「ああっ!」

 身体に電流が走った様な感覚がして、身体が震えた。

「イったか?」

「イった?」

「イクと言うのだ」

「この感覚がイクというの?」

「ああ、まだ指は一本だ。徐々に増やしていこう」


 私はレインにしがみついた。


「なんと可愛らしい」

 私は首を左右に振って、ギュッとしがみつく。

 その私を抱きしめてくれるレインを、私はもっと好きになっていた。

 目覚めから、快感に包まれ、身体が気怠い。

 気怠いけれど、心は満たされていた。

 清い身でよかった。

 フェルトがリリーに夢中でよかった。

 初めてリリーに感謝した。
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