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4 色欲は命を削る斧
・・・
しおりを挟む「大丈夫?」
とんとんと肩を叩かれ、うっすらと目を開けると、薫はすでに、カジュアルでスマートな余所行き着に着替えていた。
オレはバスタオルを腰に巻きつけているだけの、だらしのない格好だ。
薫と激しいエッチをして、失神しているうちに、シャワールームに運ばれ、恥ずかしい場所を洗ってもらっている最中に、目をさまし、さんざん泣かされて、ベッドに埋没中だ。
「大丈夫じゃなーい」
声だって掠れちゃって、目も泣きすぎて腫れぼったい気がする。腰はがくがくするし、恥ずかしい場所は、甘く痺れてまだ薫がいるみたいだ。
「そろそろ起きないと遅刻だよ」
ブランド物の腕時計を目の前に見せ、薫はくすっと笑う。
時計の針は七時半。
すぐに支度を始めなければ、八時半までに学校にたどり着けない。
「うーっ」
三日も放っておいたのだから、この際、あと一日放っておいてくれてもよかったのに。
明日からのゴールデンウィークに、おもいっきり甘やかせてくれればさ。
恨みがましく見上げると、ふくれっ面のオレにチュとキスをする。
「どうするんだよ?オレ、動けない」
涼しく笑う薫のサラサラな髪を、ひと房指に絡めて引っ張ってやった。
おもいっきりオレを愛してるっていう薫の、甘い瞳が近くでみたくて。
「甘えん坊だな」
甘い吐息が、再び唇をくすぐる。
ぞくっとするほどの掠れた低い声だった。
オレの体を掬い上げる薫の力強さや、綺麗な蜜色の瞳にドキッとして、色白で頼りないオレの肌が、朱色に染まっていく。
それに、さんざん薫にかわいがられて、もう出るものがないくらい搾り取られた下半身のオレもビクンと震えてしまう。
意識しているのが、もろわかりだ。
くすっと耳元で笑う薫も呆れている?
でも、仕方ない。オレは薫が大好きだから。
「今日は特別、学校まで乗せて行ってあげるよ」
「わーい、ほんと?」
「可愛い恋人が、通学バスの中で、罪のない男たちを惑わすといけないから」
薫の部屋と続きになっている扉をくぐり、クローゼットの前までオレを運ぶと、薫はそっとオレを床に下ろした。
「なにそれ?」
「またキスを誘っていけない子だな」
言いながら、体をかがめた薫は、口を尖らせたオレの唇を唇で挟んだ。
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