34 / 61
34 ウエディングドレス
しおりを挟む
わたくしの二度目のウエディングドレスは、王妃様が一緒に選んでくれました。
『もう三度目はないのだから、いい物を着なさい』と言って、清楚で美しいドレスを選んでくださいました。
『イグレッシアがエスコートするから』と、言って、裾の長いものになりました。
最初の結婚の時は、重いウエディングドレスで歩くのは大変だったことを思い出しました。
あの時は、旦那様がエスコートしてくだらなかったので、歩くのも大変でした。
結婚式の場所は、王都にある立派な教会です。
次々にいろんなことが決まっていき、なんだか夢を見ているようです。
『マリアーノ、普段着のドレスも作っておきなさい』と父が言った。
「ベルが生きていたら、質素なドレスばかり着せることはなかったと思うが、あまりに地味すぎる。王妃様、似合いそうな物を見繕ってくださいませんか?」
お父様は、王妃様にわたくしの普段着も頼んでくださった。
「そうね、マリアのドレスはいつも地味で、修道女が着るような質素な物ばかりだから、もっと派手にしてもいいのよ」
「わたくしは化粧品のモデルをしているつもりでいたのよ。ドレスより、肌を見て欲しくて」
「ドレスで人の目を引くことも、宣伝効果になると思いますよ」
「それでは、王妃様、わたくしを化粧品のモデルのようにしていただけますか?」
「勿論ですよ」
デザイナーと王妃様は、色見本から、肌映りのいい物を選んでいく。
最初の一着は、肌映りから、白を基調として、差し色を入れることで派手やかさを出して、夏用の五分丈の袖にフリルを付けた物を選んでくださった。
デザイナーはいろんなデザイン画を描いていく。
わたくしは飾り気のない地味なドレスしか着ていなかったので、似合うのかしらと心配になった。けれど、王妃様
が楽しそうに選んでくださるので、ここは流されようと思った。
イグが、わたくしの肩に手を置いた。
「気に入らなかったら、言ってもいいのだよ」
「いいえ、楽しみにしているわ」
一度目の結婚の時は、母が選んでくれた。
まだ成長期だったので、それほどたくさんドレスは作らなかった。
直ぐに身長が伸びて、体型も変わっていった。
あの時のドレスは袖も通さずに、バザーに出した物もあった。
その後作ったドレスは、自分の稼ぎで、地味な物を選んだ。
もう結婚などすることもないと思い、色白な肌が目立つことだけを思いドレスを買っていた。
お父様も兄夫婦も、わたくしのドレスについて何も言わなかった。
白い結婚詐欺事件の時、わたくしの人生は終わったと思ったのだ。
人生を諦めていたのに、今、イグと結婚できると思うと、まだ夢の中を彷徨っているような気がする。
イグの手がわたくしを包む。
背中を抱かれて、一緒にドレスを選んでいく。
幸せすぎて、怖く感じる。
ウエディングドレスのできあがりは、まだ少し先になる。
結婚式まで、あと4ヶ月くらいだ。
普段着は夏が来る前にできあがるそうだ。
陛下と王妃様は、招待状を出さなくてはと忙しそうにしているけれど、わたくしは、今は自由にさせていただいている。今は手伝える物がないようです。
招待状は王妃様が書くとおっしゃっていたので、わたくしはイグにプレゼントをするハンカチに刺繍をしています。
この国の国旗とイグをイメージして、鷹を刺繍しているの。
難しいけれど、遣り甲斐はあるのよ。
イグは精悍で、でも、心根の優しい人だ。
鷹の目は青で刺繍をするつもりなの。
『もう三度目はないのだから、いい物を着なさい』と言って、清楚で美しいドレスを選んでくださいました。
『イグレッシアがエスコートするから』と、言って、裾の長いものになりました。
最初の結婚の時は、重いウエディングドレスで歩くのは大変だったことを思い出しました。
あの時は、旦那様がエスコートしてくだらなかったので、歩くのも大変でした。
結婚式の場所は、王都にある立派な教会です。
次々にいろんなことが決まっていき、なんだか夢を見ているようです。
『マリアーノ、普段着のドレスも作っておきなさい』と父が言った。
「ベルが生きていたら、質素なドレスばかり着せることはなかったと思うが、あまりに地味すぎる。王妃様、似合いそうな物を見繕ってくださいませんか?」
お父様は、王妃様にわたくしの普段着も頼んでくださった。
「そうね、マリアのドレスはいつも地味で、修道女が着るような質素な物ばかりだから、もっと派手にしてもいいのよ」
「わたくしは化粧品のモデルをしているつもりでいたのよ。ドレスより、肌を見て欲しくて」
「ドレスで人の目を引くことも、宣伝効果になると思いますよ」
「それでは、王妃様、わたくしを化粧品のモデルのようにしていただけますか?」
「勿論ですよ」
デザイナーと王妃様は、色見本から、肌映りのいい物を選んでいく。
最初の一着は、肌映りから、白を基調として、差し色を入れることで派手やかさを出して、夏用の五分丈の袖にフリルを付けた物を選んでくださった。
デザイナーはいろんなデザイン画を描いていく。
わたくしは飾り気のない地味なドレスしか着ていなかったので、似合うのかしらと心配になった。けれど、王妃様
が楽しそうに選んでくださるので、ここは流されようと思った。
イグが、わたくしの肩に手を置いた。
「気に入らなかったら、言ってもいいのだよ」
「いいえ、楽しみにしているわ」
一度目の結婚の時は、母が選んでくれた。
まだ成長期だったので、それほどたくさんドレスは作らなかった。
直ぐに身長が伸びて、体型も変わっていった。
あの時のドレスは袖も通さずに、バザーに出した物もあった。
その後作ったドレスは、自分の稼ぎで、地味な物を選んだ。
もう結婚などすることもないと思い、色白な肌が目立つことだけを思いドレスを買っていた。
お父様も兄夫婦も、わたくしのドレスについて何も言わなかった。
白い結婚詐欺事件の時、わたくしの人生は終わったと思ったのだ。
人生を諦めていたのに、今、イグと結婚できると思うと、まだ夢の中を彷徨っているような気がする。
イグの手がわたくしを包む。
背中を抱かれて、一緒にドレスを選んでいく。
幸せすぎて、怖く感じる。
ウエディングドレスのできあがりは、まだ少し先になる。
結婚式まで、あと4ヶ月くらいだ。
普段着は夏が来る前にできあがるそうだ。
陛下と王妃様は、招待状を出さなくてはと忙しそうにしているけれど、わたくしは、今は自由にさせていただいている。今は手伝える物がないようです。
招待状は王妃様が書くとおっしゃっていたので、わたくしはイグにプレゼントをするハンカチに刺繍をしています。
この国の国旗とイグをイメージして、鷹を刺繍しているの。
難しいけれど、遣り甲斐はあるのよ。
イグは精悍で、でも、心根の優しい人だ。
鷹の目は青で刺繍をするつもりなの。
1
お気に入りに追加
3,439
あなたにおすすめの小説
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
嫌われ者の側妃はのんびり暮らしたい
風見ゆうみ
恋愛
「オレのタイプじゃないんだよ。地味過ぎて顔も見たくない。だから、お前は側妃だ」
顔だけは良い皇帝陛下は、自らが正妃にしたいと希望した私を側妃にして別宮に送り、正妃は私の妹にすると言う。
裏表のあるの妹のお世話はもううんざり!
側妃は私以外にもいるし、面倒なことは任せて、私はのんびり自由に暮らすわ!
そう思っていたのに、別宮には皇帝陛下の腹違いの弟や、他の側妃とのトラブルはあるし、それだけでなく皇帝陛下は私を妹の毒見役に指定してきて――
それって側妃がやることじゃないでしょう!?
※のんびり暮らしたかった側妃がなんだかんだあって、のんびりできなかったけれど幸せにはなるお話です。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる