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43 戦場へ
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『アクセレラシオン様の所へ』
ダークホールを作り、目を開けたら、わたしを抱きしめているアクセレラシオン様がいた。
「来るなと言ったであろう」
「来るなとは言ってないわ。それに、すごく会いたかったのよ」
「俺も会いたかった」
「ほらね、わたしとアクセレラシオン様は、繋がっているんですもの」
「そうだったな」
わたしは極上の笑みを向けて、アクセレラシオン様を抱きしめた。
「仕方がない。危険がないように、俺の近くにいてくれ」
「もちろん、離れるつもりはないわ」
わたしは地面に下ろされた。
国王陛下と側近達が、苦笑を浮かべていた。
ちょっと恥ずかしかったかしら?
でも、これくらい強引にならないと、アクセレラシオン様の元には来られなかった。
現状を把握するために、辺りを見回す。
ここは、どうやら大広間のようだ。
舞踏会は、いつも壁側に立っていたけれど、今も壁側に立っているようだ。
目の前には、闇の魔術で攻撃している者達が大勢並んでいる。
そっと隙間から前方を見ると、真ん中辺りに、ホワイトゾーンができているが、ずいぶん闇に染まっている。
あのホワイトゾーンはアルテアお姉様が作っているのかしら?
わたしが目覚めたのは朝だと、マローが言っていたのに、この部屋は闇に染まっている。
かろうじて、ホワイトゾーンの灯りで、光を放っている状態だ。
何時間、アルテアお姉様は、ホワイトゾーンを作っているのかしら?
闇の術者はかなりいる。
その術者は、妖獣召喚して、オンより大きな獣を出して、攻撃している。
妖獣が攻撃している間にも、術者は術を発動させている。ヘルティアーマ王国の術者は、殆ど倒れているように見える。
圧倒的に、テスティス王国の方に利がある。
よく見ると、やはりアルテアお姉様がいた。
その隣に立つのは、第二王子の婚約者と言われていたジュリアン様だ。
二人で、ホワイトゾーンを維持しているようだ。
公爵令嬢のジュリアン様は、控え目で、アルテアお姉様と魔力の戦いをしたことがなかったのに、それほど光の魔術師が足りないのだろうか?
マクシモム王太子や第二王子の姿が見えない。
戦うなら、王子達だと思っていたけれど、何かあったのだろうか?
お父様の姿も見られない。
そう思っていると、ジュリアン様が倒れられた。
「あっ」
「闇の魔術を吸い込み過ぎたのだろう」
「死んでしまうの?」
「運が悪ければ、死ぬこともある」
「そう」
わたしは悲しんではいけないと思った。
ヘルティアーマ王国は、たくさんの国を滅ぼしてきた国だ。
非難されることがあっても、同情されることはないだろう。
「ジュリアン」
ジュリアン様に駆けつけたのは、シャルマン第二王子だと思う。
二人は、仲がいいと有名だった。
シャルマン王子は、ジュリアンを抱き上げると、壁際に寝かせて救命措置をしているようだ。
この戦いは、ヘルティアーマ王国が降参するまで続けられるのだろう。
もう戦える者も少ないのに、まだ勝てると思っているのだろうか?
なんと愚かな国だろう。
まだ国王陛下は存命なのだろうか?
「アクセレラシオン様、ヘルティアーマ王国の国王陛下だけを倒したら、この戦いは終わるのではありませんか?」
人数的にも力的でも、ヘルティアーマ王国は負けている。
これ以上の戦いは不毛に思えて、アクセレラシオン様に聞いてみた。
「ああ、ヘルティアーマ王国の国王陛下なら、初めに攻撃した。既に死んでいるかもしれないが、そうだな、先ほどの王子のような男が、処置をしていたが、女が倒れた瞬間に、国王陛下の元から離れた。上手く助けられたのなら、もう一度、集中攻撃を仕掛けるか?やれ!」
闇の術者達の攻撃は、どうやら三班に分かれているようだ。
一班と二班は、敵の術者を攻撃しているが、三班はホワイトゾーンを狙っている。
全般的に狙っていた攻撃は、一部に集中した。
妖獣も駆け回る。
もしかしたら、ヘルティアーマ王国の術者は、皆、怪我をしているのかもしれない。
妖獣は手加減なく、襲いかかり、明らかに危害を加えた形跡が見える。
「白旗でも掲げてくれれば、こちらとしても攻撃を止めることができるのだが、無謀な戦いなのに、止めようとしないのだ。全く、全滅でもしたいのかと思うぞ」
アクセレラシオン様も、この戦いは、もう止めてしまいたいと思っているようだ。
「王都に向かった術者は、国に強制送還されているだろう」
「そうなのですね」
それなら、お母様もお兄様も生きている。
お父様は光の魔術師だから、戦いには出ていない。
仲間がいなくなれば、こちらの仲間と合流した可能性が高い。
「ちなみに、いつから戦っているのですか?」
「まるっと二日は経ったな。プラス何時間だ?」
「二日以上も?」
「あのホワイトゾーンを作っている術者は、最初から光の魔術を使っていたな。なかなか強い。だが、もう限界が近いだろう」
わたしは頷いた。
アルテアお姉様は、強い。
意志も強ければ、魔力も強い。何より貪欲な人なのだ。
きっとただでは負けはしない。
「全班、ホワイトゾーンに闇魔法をぶち込んで闇に替えてしまえ」
「はっ」
皆の魔法が、ホワイトゾーンに吸い込まれていく。
光が闇に覆われて、光が消えていく。
ホワイトゾーンは、完全な闇に変わった。
その瞬間、アルテアお姉様は倒れた。
誰も近づく者はいない。
静まりかえったホールの中でヘルティアーマ王国の中で動く者はいない。
誰もアルテアお姉様を助ける者はいないの?
お姉様は、何のために戦っていたのかしら?
ヘルティアーマ王国を助けるためではないのかしら?
それなのに、誰もお姉様に近づく者はいない。
わたしは、アルテアお姉様の元に駆けていった。
漆黒の闇に包まれていたホールは、一瞬にして、明るい日差しが差し込むホールへと変わっていった。
「ミルメル、危険だ」
背後から、アクセレラシオン様が追いかけてくる。
「あれは、わたしのお姉様なの」
「そうか」
アクセレラシオン様は、わたしの隣に立って、宥めるようにわたしの頭を撫でる。
けれど、無性に悲しかった。
何故だろう。
アルテアお姉様に、優しくされたことはなかった。
いつも虐められて、いつも愛情を独り占めして、わたしには何もくれなかった人だった。
好きか嫌いかと聞かれれば、嫌いな人だ。
でも、双子の姉だ。
お姉様はなにか伝えたいことがあるかもしれない。
「アルテアお姉様」
「んっ」
意識は戻ったようだ。
「誰だ?目が見えない」
「ミルメルよ」
「ははっ、ミルメル、こんな所に隠れていたのか?闇の国にいれば、安全だな。いい国を見つけたな」
アルテアお姉様は、目を見開いたまま笑っている。
目は開いているが、目は見えないようだ。
白い肌は、炭のように漆黒に染まりひび割れて、血がひび割れた肌から滲み出ている。髪とドレスだけが白い。
その白いドレスが、血で赤く染まっていく。
視線はわたしではなく、真っ直ぐ上を向いている。
全身が闇の魔力に侵されている。
「アルテアお姉様、生きたいですか?」
「いや、このまま殺せ」
「わたしが闇を吸い取ります。そうしたら、助かるかもしれません」
「わたくしに一瞬でも触るな。ミルメルに助けられるなど、生き恥をかくくらいなら、このまま殺せ」
アルテアお姉様は、わたしの腕から逃げ出して、這って遠ざかろうとしている。
いつも優雅な姿しか見たこともなかったのに、その姿は、あまりにも惨めだ。
「それほどまでにわたしを嫌いなの?双子に生まれたのに」
「貴様と双子だと思うたびに怖気が走った。それほど、貴様が嫌いだった」
わたしは、這って逃げるお姉様を追うことは止めた。
立っているわたしの前に、ジュリアンを抱き上げたシャルマン王子が跪いた。
「ミルメル、頼む。ジュリアンを助けてくれ。ジュリアンは俺の愛する許嫁だ」
ジュリアンは目を閉じて、意識を失っている。
シャルマンとお揃いの白銀の髪とやはり白いドレスを着ている。
顔も体も腕も手も、まるで暖炉の中の薪のように、黒く変色してひび割れている。
胸が上下しているので、生きていることは分かる。
「どうか、頼む。我々は、敗北を認める。国王陛下は死んだ。指導者の首が必要ならば、俺の首をくれてやるから、ジュリアンを治してやってくれ」
わたしは、アクセレラシオン様を見上げた。
わたしの力で治せるだろうか?
「完治は無理だぞ?それでも愛せるのか?中途半端な愛ならば、このまま死なせた方が、彼女は苦しまずに済む」
「どうか、頼む。ジュリアンを。ジュリアンの笑顔を消したくはないのだ」
シャルマン王子は、一生懸命にアクセレラシオン様に頭を下げる。
「シャルマン、いいのよ」
目を覚ましたのか、ジュリアンは手を伸ばしたが、その手は挙げられているが、シャルマン王子に触れることはない。
シャルマン王子は、ジュリアンを床に寝かせると、伸ばされた手を握った。
「シャルマンが見えないの。こんな事になるならば……うううっ」
ジュリアンは、声を殺して泣いている。
戦いをした事を悔やんでいるのだろう。
白いドレスは赤く染まっていく。
「愛せるのか?」
「必ず、愛します」
「ならば、力を貸そう。彼女から離れなさい」
「はい」
ジュリアンの手を握っていたシャルマンは、手を離すと、後ろに下がった。
「シャルマン、行かないで。怖いの。側にいて」
「直ぐ横にいる。少しでも楽になれるように、お願いしたんだ。少し待っていて」
「うん」
ジュリアンは挙げていた手を下げた。
じっと横になっている。
アクセレラシオン様は、ジュリアンの前に立つと、魔術を発動させた。
闇を吸っているのだ。
わたしも一緒に、ジュリアンの体から、闇を吸っていく。
吸っても吸ってもジュリアンの闇は深かった。
「ミルメル、宮殿に戻って、地下神殿の水を汲んできてくれ」
「はい」
わたしは急いでダークホールを作ると、直ぐに地下神殿に飛んだ。
地下神殿は、人が溢れていた。
人を掻き分けて、水路に走って行く。
「ミルメルちゃん、どうしたの?目を覚ましたのね」
「ええ、デイジーお姉様、大量に水路の水を汲みたいの」
「分かったわ、こちらにいらっしゃい」
デイジーお姉様はわたしの手を握ると、急いで水路に面した場所で、飲み物を配っている支給の男性の元に連れて行ってくれた。
「水がたくさんいるそうなの」
「では、桶で宜しいでしょうか?」
「はい」
男性は桶に水をたっぷり汲んでくれた。
「重いですよ」
「はい、しっかり持って行きます」
手に持つと、やはり重い。
「ミルメルちゃん、きっとコップがいるわ」
「はい」
デイジーお姉様は、カップを桶の中に入れてくれた。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
わたしはダークホールで、アクセレラシオン様の横に立った。
「その水を飲ませてくれ」
「はい」
「腕や顔にもかけてやってくれ」
「分かりました」
この水は精霊の水だ。
病を治して、怪我も治す。
桶を床に置いた。
それから、デイジーお姉様が入れてくれたカップを取ると、ジュリアンに飲ませた。
ジュリアンは水を飲み干して、「もっとください」と懇願してきた。
飲まず食わずで、魔術を発動させていたのだろう。
もういっぱい水を汲むと、それを飲ませた。
カップを使って、水を汲むと、顔を濡らせていく。
ヒンヤリとするのか、水と一緒に血が流れて行く。ドレスから出ている首、手や足を水で清めていく。
本当はドレスを脱がせて、全身を濡らした方がいいのだけれど。
「アクセレラシオン様、ドレスの上からかけてもいいですか?」
「ああ、いいが足りるのか?」
「また取りに行ってきます」
あるだけの水をジュリアンにかけて、カップはシャルマン王子に持ってもらった。
桶を持って、地下神殿に飛び、水路から水を汲む。
重い。
できるだけたくさん汲んで、また飛ぶ。
シャルマン王子からカップをもらうと、また水を飲ます。
薬を飲むように、ジュリアンは水を飲んで、それから、体に水をかける。
背中も治るように、斜めにして、かける。
満遍なく水がかかると、アクセレラシオン様は、「終わりだ」と言った。
まだ肌は黒い。
「生きられるほどの闇は取った。これ以上は罰だ。その身で反省することだ」
「ありがとうございます」
シャルマン王子は、土下座している。
「どうぞ、頭を堕としてください」
「彼女の心に生きる意欲を与えるのは、誰がするのだ?」
「それは」
「其方の仕事ではないのか?闇の術者と戦って、生を授けてもらったのだ。その体でも愛して、死が訪れる日が来るまで、共に生きよ」
「ありがとうございます」
シャルマン王子は、頭を床に擦りつけるように、下げている。
「しっかり生きなさい。それから、彼女を抱き上げなさい」
「はい」
シャルマン王子は、びしょ濡れのジュリアンを抱き上げた。
「祖国を思い浮かべなさい」
「はい」
「二度と殺戮はするな」
「二度と間違いが起きないように致します」
「二度目はないぞ」
「はい」
スッと二人の姿が消えた。
桶の中には、カップ一杯分の水が残っていた。
お姉様は、床に倒れていた。
死んでしまったのかしら?
「アクセレラシオン様、このお水をお姉様に与えても宜しいでしょうか?」
「その水を飲めば、安らかな死は訪れないがいいのか?」
「生きていて欲しいの」
「ならば、与えよ」
「はい」
そう生きていて欲しい。
お姉様がわたしを嫌いでも、わたしはお姉様を恨んではいない。
どんな姿でも生きてさえいれば、きっといいことがあると思うの。
だから、生きて。
わたしは倒れているお姉様の体を支えながら、カップの水を口元に持って行く。
少しずつ、水を飲ませた。
喉が動いている。
水が飲みたかったのね。
アルテアお姉様の体は、焼け焦げた薪のようになっているけれど、美しい白銀の髪は健在だ。
一杯の水が、アルテアお姉様の闇をどれほど取ってくれるのか分からないけれど、わたしにできる最善だ。
治療は拒むだろう。
アルテアお姉様はとても頑固だから、わたしが触れていることも気に入らないはずだ。
水を飲ませると、そっと寝かせた。
闇の術者が、ヘルティアーマ王国の貴族や騎士団の元に訪れている。
亡くなったり、怪我をしたりしている者を体が動く者が支えて、ダークホールで祖国に送り届けている。
アクセレラシオン様は、一人の男性を連れてきた。
「マクシモム王太子」
「僕はもう王太子ではないのだ。この戦争を止めようと父上と喧嘩をして、後継を剥奪された。後継者はシャルマンだ。僕は父上を殺すつもりでいたが、先に殺してくれたことを感謝します」
マクシモム王太子、マクシモム様は、優しげな顔をしていた。
「僕は祖国を出て、テスティス王国の医者になりたいと思っているんだ」
「アクセレラシオン様は、お許しになりましたか?」
「自分の足で歩いてこいと言われたよ。先ずは、アルテアを国に届けよう。それから、歩いて、もう一度、テスティス王国を目指そうと思う」
「それなら、お姉様は他の誰かに託して、このままこの地にいればいいのに。お医者様は、一人しかいないのよ?」
わたしはアクセレラシオン様を見上げた。
『折角の光の魔術師なのよ?治癒魔法も使えるのよ。ここで逃がしてしまうのは、惜しいわ』
『だが、試練も必要だ』
『国王陛下と喧嘩をしたことが、もう試練よ。ヘルティアーマ王国の国王陛下は、こんな罪深い戦争を起こした張本人よ』
わたしとアクセレラシオン様は視線を合わせて、心の中で会話をしている。
『アクセレラシオン様は頑固ね』
『頑固だと?』
『そうよ。お医者様が増えれば、民が喜ぶわ』
『そう来たか』
『逃がしちゃ駄目よ』
アクセレラシオン様は大きな溜息を漏らした。
「では、マクシモム、我が国に来ることを認める。医師として、民のために力になって欲しい」
「認めていただきまして、ありがとうございます。生涯、医師として生きて行きます」
マクシモム様はアクセレラシオン様に深く頭を下げた。
マクシモム様は、嬉しそうな顔をしている。
彼の笑顔は、初めて見たような気がした。
わたしも嬉しかった。
いつも何か堪えているようなお顔をしていたのだから、王太子という重い冠を脱げたのなら、わたしのように自由に生きて欲しい。
「では、誰か、この娘を連れて行ってくれ」
アクセレラシオン様が声を上げると、傷を負った騎士が連れられてきた。
「これは、アルテア様ですか?」
「闇を浴びすぎたのだ。故郷で、光の魔術師に光の魔術をあててもらうと、多少は良くなるだろう。時間はかなりかかると思うが」
アクセレラシオン様は、騎士に応急処置の方法を伝えると、アルテアお姉様を抱き上げるように告げた。
騎士は躊躇いながら、アルテアお姉様に触れて抱き上げた。
「故郷を思い浮かべなさい。そうだね。ヘルティアーマ王国の王都、王宮がいいか?」
「はい」
次の瞬間、騎士に抱き上げられたアルテアお姉様は、姿を消した。
この先、アルテアお姉様に会うことはないだろう。
見た目に美しくなくても、アルテアお姉様なら、胸を張って生きて行くだろう。
アルテアお姉様は、心が強いお方だから。
どんな姿をしていても、自分を見失ったりしないはずだ。
ダークホールを作り、目を開けたら、わたしを抱きしめているアクセレラシオン様がいた。
「来るなと言ったであろう」
「来るなとは言ってないわ。それに、すごく会いたかったのよ」
「俺も会いたかった」
「ほらね、わたしとアクセレラシオン様は、繋がっているんですもの」
「そうだったな」
わたしは極上の笑みを向けて、アクセレラシオン様を抱きしめた。
「仕方がない。危険がないように、俺の近くにいてくれ」
「もちろん、離れるつもりはないわ」
わたしは地面に下ろされた。
国王陛下と側近達が、苦笑を浮かべていた。
ちょっと恥ずかしかったかしら?
でも、これくらい強引にならないと、アクセレラシオン様の元には来られなかった。
現状を把握するために、辺りを見回す。
ここは、どうやら大広間のようだ。
舞踏会は、いつも壁側に立っていたけれど、今も壁側に立っているようだ。
目の前には、闇の魔術で攻撃している者達が大勢並んでいる。
そっと隙間から前方を見ると、真ん中辺りに、ホワイトゾーンができているが、ずいぶん闇に染まっている。
あのホワイトゾーンはアルテアお姉様が作っているのかしら?
わたしが目覚めたのは朝だと、マローが言っていたのに、この部屋は闇に染まっている。
かろうじて、ホワイトゾーンの灯りで、光を放っている状態だ。
何時間、アルテアお姉様は、ホワイトゾーンを作っているのかしら?
闇の術者はかなりいる。
その術者は、妖獣召喚して、オンより大きな獣を出して、攻撃している。
妖獣が攻撃している間にも、術者は術を発動させている。ヘルティアーマ王国の術者は、殆ど倒れているように見える。
圧倒的に、テスティス王国の方に利がある。
よく見ると、やはりアルテアお姉様がいた。
その隣に立つのは、第二王子の婚約者と言われていたジュリアン様だ。
二人で、ホワイトゾーンを維持しているようだ。
公爵令嬢のジュリアン様は、控え目で、アルテアお姉様と魔力の戦いをしたことがなかったのに、それほど光の魔術師が足りないのだろうか?
マクシモム王太子や第二王子の姿が見えない。
戦うなら、王子達だと思っていたけれど、何かあったのだろうか?
お父様の姿も見られない。
そう思っていると、ジュリアン様が倒れられた。
「あっ」
「闇の魔術を吸い込み過ぎたのだろう」
「死んでしまうの?」
「運が悪ければ、死ぬこともある」
「そう」
わたしは悲しんではいけないと思った。
ヘルティアーマ王国は、たくさんの国を滅ぼしてきた国だ。
非難されることがあっても、同情されることはないだろう。
「ジュリアン」
ジュリアン様に駆けつけたのは、シャルマン第二王子だと思う。
二人は、仲がいいと有名だった。
シャルマン王子は、ジュリアンを抱き上げると、壁際に寝かせて救命措置をしているようだ。
この戦いは、ヘルティアーマ王国が降参するまで続けられるのだろう。
もう戦える者も少ないのに、まだ勝てると思っているのだろうか?
なんと愚かな国だろう。
まだ国王陛下は存命なのだろうか?
「アクセレラシオン様、ヘルティアーマ王国の国王陛下だけを倒したら、この戦いは終わるのではありませんか?」
人数的にも力的でも、ヘルティアーマ王国は負けている。
これ以上の戦いは不毛に思えて、アクセレラシオン様に聞いてみた。
「ああ、ヘルティアーマ王国の国王陛下なら、初めに攻撃した。既に死んでいるかもしれないが、そうだな、先ほどの王子のような男が、処置をしていたが、女が倒れた瞬間に、国王陛下の元から離れた。上手く助けられたのなら、もう一度、集中攻撃を仕掛けるか?やれ!」
闇の術者達の攻撃は、どうやら三班に分かれているようだ。
一班と二班は、敵の術者を攻撃しているが、三班はホワイトゾーンを狙っている。
全般的に狙っていた攻撃は、一部に集中した。
妖獣も駆け回る。
もしかしたら、ヘルティアーマ王国の術者は、皆、怪我をしているのかもしれない。
妖獣は手加減なく、襲いかかり、明らかに危害を加えた形跡が見える。
「白旗でも掲げてくれれば、こちらとしても攻撃を止めることができるのだが、無謀な戦いなのに、止めようとしないのだ。全く、全滅でもしたいのかと思うぞ」
アクセレラシオン様も、この戦いは、もう止めてしまいたいと思っているようだ。
「王都に向かった術者は、国に強制送還されているだろう」
「そうなのですね」
それなら、お母様もお兄様も生きている。
お父様は光の魔術師だから、戦いには出ていない。
仲間がいなくなれば、こちらの仲間と合流した可能性が高い。
「ちなみに、いつから戦っているのですか?」
「まるっと二日は経ったな。プラス何時間だ?」
「二日以上も?」
「あのホワイトゾーンを作っている術者は、最初から光の魔術を使っていたな。なかなか強い。だが、もう限界が近いだろう」
わたしは頷いた。
アルテアお姉様は、強い。
意志も強ければ、魔力も強い。何より貪欲な人なのだ。
きっとただでは負けはしない。
「全班、ホワイトゾーンに闇魔法をぶち込んで闇に替えてしまえ」
「はっ」
皆の魔法が、ホワイトゾーンに吸い込まれていく。
光が闇に覆われて、光が消えていく。
ホワイトゾーンは、完全な闇に変わった。
その瞬間、アルテアお姉様は倒れた。
誰も近づく者はいない。
静まりかえったホールの中でヘルティアーマ王国の中で動く者はいない。
誰もアルテアお姉様を助ける者はいないの?
お姉様は、何のために戦っていたのかしら?
ヘルティアーマ王国を助けるためではないのかしら?
それなのに、誰もお姉様に近づく者はいない。
わたしは、アルテアお姉様の元に駆けていった。
漆黒の闇に包まれていたホールは、一瞬にして、明るい日差しが差し込むホールへと変わっていった。
「ミルメル、危険だ」
背後から、アクセレラシオン様が追いかけてくる。
「あれは、わたしのお姉様なの」
「そうか」
アクセレラシオン様は、わたしの隣に立って、宥めるようにわたしの頭を撫でる。
けれど、無性に悲しかった。
何故だろう。
アルテアお姉様に、優しくされたことはなかった。
いつも虐められて、いつも愛情を独り占めして、わたしには何もくれなかった人だった。
好きか嫌いかと聞かれれば、嫌いな人だ。
でも、双子の姉だ。
お姉様はなにか伝えたいことがあるかもしれない。
「アルテアお姉様」
「んっ」
意識は戻ったようだ。
「誰だ?目が見えない」
「ミルメルよ」
「ははっ、ミルメル、こんな所に隠れていたのか?闇の国にいれば、安全だな。いい国を見つけたな」
アルテアお姉様は、目を見開いたまま笑っている。
目は開いているが、目は見えないようだ。
白い肌は、炭のように漆黒に染まりひび割れて、血がひび割れた肌から滲み出ている。髪とドレスだけが白い。
その白いドレスが、血で赤く染まっていく。
視線はわたしではなく、真っ直ぐ上を向いている。
全身が闇の魔力に侵されている。
「アルテアお姉様、生きたいですか?」
「いや、このまま殺せ」
「わたしが闇を吸い取ります。そうしたら、助かるかもしれません」
「わたくしに一瞬でも触るな。ミルメルに助けられるなど、生き恥をかくくらいなら、このまま殺せ」
アルテアお姉様は、わたしの腕から逃げ出して、這って遠ざかろうとしている。
いつも優雅な姿しか見たこともなかったのに、その姿は、あまりにも惨めだ。
「それほどまでにわたしを嫌いなの?双子に生まれたのに」
「貴様と双子だと思うたびに怖気が走った。それほど、貴様が嫌いだった」
わたしは、這って逃げるお姉様を追うことは止めた。
立っているわたしの前に、ジュリアンを抱き上げたシャルマン王子が跪いた。
「ミルメル、頼む。ジュリアンを助けてくれ。ジュリアンは俺の愛する許嫁だ」
ジュリアンは目を閉じて、意識を失っている。
シャルマンとお揃いの白銀の髪とやはり白いドレスを着ている。
顔も体も腕も手も、まるで暖炉の中の薪のように、黒く変色してひび割れている。
胸が上下しているので、生きていることは分かる。
「どうか、頼む。我々は、敗北を認める。国王陛下は死んだ。指導者の首が必要ならば、俺の首をくれてやるから、ジュリアンを治してやってくれ」
わたしは、アクセレラシオン様を見上げた。
わたしの力で治せるだろうか?
「完治は無理だぞ?それでも愛せるのか?中途半端な愛ならば、このまま死なせた方が、彼女は苦しまずに済む」
「どうか、頼む。ジュリアンを。ジュリアンの笑顔を消したくはないのだ」
シャルマン王子は、一生懸命にアクセレラシオン様に頭を下げる。
「シャルマン、いいのよ」
目を覚ましたのか、ジュリアンは手を伸ばしたが、その手は挙げられているが、シャルマン王子に触れることはない。
シャルマン王子は、ジュリアンを床に寝かせると、伸ばされた手を握った。
「シャルマンが見えないの。こんな事になるならば……うううっ」
ジュリアンは、声を殺して泣いている。
戦いをした事を悔やんでいるのだろう。
白いドレスは赤く染まっていく。
「愛せるのか?」
「必ず、愛します」
「ならば、力を貸そう。彼女から離れなさい」
「はい」
ジュリアンの手を握っていたシャルマンは、手を離すと、後ろに下がった。
「シャルマン、行かないで。怖いの。側にいて」
「直ぐ横にいる。少しでも楽になれるように、お願いしたんだ。少し待っていて」
「うん」
ジュリアンは挙げていた手を下げた。
じっと横になっている。
アクセレラシオン様は、ジュリアンの前に立つと、魔術を発動させた。
闇を吸っているのだ。
わたしも一緒に、ジュリアンの体から、闇を吸っていく。
吸っても吸ってもジュリアンの闇は深かった。
「ミルメル、宮殿に戻って、地下神殿の水を汲んできてくれ」
「はい」
わたしは急いでダークホールを作ると、直ぐに地下神殿に飛んだ。
地下神殿は、人が溢れていた。
人を掻き分けて、水路に走って行く。
「ミルメルちゃん、どうしたの?目を覚ましたのね」
「ええ、デイジーお姉様、大量に水路の水を汲みたいの」
「分かったわ、こちらにいらっしゃい」
デイジーお姉様はわたしの手を握ると、急いで水路に面した場所で、飲み物を配っている支給の男性の元に連れて行ってくれた。
「水がたくさんいるそうなの」
「では、桶で宜しいでしょうか?」
「はい」
男性は桶に水をたっぷり汲んでくれた。
「重いですよ」
「はい、しっかり持って行きます」
手に持つと、やはり重い。
「ミルメルちゃん、きっとコップがいるわ」
「はい」
デイジーお姉様は、カップを桶の中に入れてくれた。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
わたしはダークホールで、アクセレラシオン様の横に立った。
「その水を飲ませてくれ」
「はい」
「腕や顔にもかけてやってくれ」
「分かりました」
この水は精霊の水だ。
病を治して、怪我も治す。
桶を床に置いた。
それから、デイジーお姉様が入れてくれたカップを取ると、ジュリアンに飲ませた。
ジュリアンは水を飲み干して、「もっとください」と懇願してきた。
飲まず食わずで、魔術を発動させていたのだろう。
もういっぱい水を汲むと、それを飲ませた。
カップを使って、水を汲むと、顔を濡らせていく。
ヒンヤリとするのか、水と一緒に血が流れて行く。ドレスから出ている首、手や足を水で清めていく。
本当はドレスを脱がせて、全身を濡らした方がいいのだけれど。
「アクセレラシオン様、ドレスの上からかけてもいいですか?」
「ああ、いいが足りるのか?」
「また取りに行ってきます」
あるだけの水をジュリアンにかけて、カップはシャルマン王子に持ってもらった。
桶を持って、地下神殿に飛び、水路から水を汲む。
重い。
できるだけたくさん汲んで、また飛ぶ。
シャルマン王子からカップをもらうと、また水を飲ます。
薬を飲むように、ジュリアンは水を飲んで、それから、体に水をかける。
背中も治るように、斜めにして、かける。
満遍なく水がかかると、アクセレラシオン様は、「終わりだ」と言った。
まだ肌は黒い。
「生きられるほどの闇は取った。これ以上は罰だ。その身で反省することだ」
「ありがとうございます」
シャルマン王子は、土下座している。
「どうぞ、頭を堕としてください」
「彼女の心に生きる意欲を与えるのは、誰がするのだ?」
「それは」
「其方の仕事ではないのか?闇の術者と戦って、生を授けてもらったのだ。その体でも愛して、死が訪れる日が来るまで、共に生きよ」
「ありがとうございます」
シャルマン王子は、頭を床に擦りつけるように、下げている。
「しっかり生きなさい。それから、彼女を抱き上げなさい」
「はい」
シャルマン王子は、びしょ濡れのジュリアンを抱き上げた。
「祖国を思い浮かべなさい」
「はい」
「二度と殺戮はするな」
「二度と間違いが起きないように致します」
「二度目はないぞ」
「はい」
スッと二人の姿が消えた。
桶の中には、カップ一杯分の水が残っていた。
お姉様は、床に倒れていた。
死んでしまったのかしら?
「アクセレラシオン様、このお水をお姉様に与えても宜しいでしょうか?」
「その水を飲めば、安らかな死は訪れないがいいのか?」
「生きていて欲しいの」
「ならば、与えよ」
「はい」
そう生きていて欲しい。
お姉様がわたしを嫌いでも、わたしはお姉様を恨んではいない。
どんな姿でも生きてさえいれば、きっといいことがあると思うの。
だから、生きて。
わたしは倒れているお姉様の体を支えながら、カップの水を口元に持って行く。
少しずつ、水を飲ませた。
喉が動いている。
水が飲みたかったのね。
アルテアお姉様の体は、焼け焦げた薪のようになっているけれど、美しい白銀の髪は健在だ。
一杯の水が、アルテアお姉様の闇をどれほど取ってくれるのか分からないけれど、わたしにできる最善だ。
治療は拒むだろう。
アルテアお姉様はとても頑固だから、わたしが触れていることも気に入らないはずだ。
水を飲ませると、そっと寝かせた。
闇の術者が、ヘルティアーマ王国の貴族や騎士団の元に訪れている。
亡くなったり、怪我をしたりしている者を体が動く者が支えて、ダークホールで祖国に送り届けている。
アクセレラシオン様は、一人の男性を連れてきた。
「マクシモム王太子」
「僕はもう王太子ではないのだ。この戦争を止めようと父上と喧嘩をして、後継を剥奪された。後継者はシャルマンだ。僕は父上を殺すつもりでいたが、先に殺してくれたことを感謝します」
マクシモム王太子、マクシモム様は、優しげな顔をしていた。
「僕は祖国を出て、テスティス王国の医者になりたいと思っているんだ」
「アクセレラシオン様は、お許しになりましたか?」
「自分の足で歩いてこいと言われたよ。先ずは、アルテアを国に届けよう。それから、歩いて、もう一度、テスティス王国を目指そうと思う」
「それなら、お姉様は他の誰かに託して、このままこの地にいればいいのに。お医者様は、一人しかいないのよ?」
わたしはアクセレラシオン様を見上げた。
『折角の光の魔術師なのよ?治癒魔法も使えるのよ。ここで逃がしてしまうのは、惜しいわ』
『だが、試練も必要だ』
『国王陛下と喧嘩をしたことが、もう試練よ。ヘルティアーマ王国の国王陛下は、こんな罪深い戦争を起こした張本人よ』
わたしとアクセレラシオン様は視線を合わせて、心の中で会話をしている。
『アクセレラシオン様は頑固ね』
『頑固だと?』
『そうよ。お医者様が増えれば、民が喜ぶわ』
『そう来たか』
『逃がしちゃ駄目よ』
アクセレラシオン様は大きな溜息を漏らした。
「では、マクシモム、我が国に来ることを認める。医師として、民のために力になって欲しい」
「認めていただきまして、ありがとうございます。生涯、医師として生きて行きます」
マクシモム様はアクセレラシオン様に深く頭を下げた。
マクシモム様は、嬉しそうな顔をしている。
彼の笑顔は、初めて見たような気がした。
わたしも嬉しかった。
いつも何か堪えているようなお顔をしていたのだから、王太子という重い冠を脱げたのなら、わたしのように自由に生きて欲しい。
「では、誰か、この娘を連れて行ってくれ」
アクセレラシオン様が声を上げると、傷を負った騎士が連れられてきた。
「これは、アルテア様ですか?」
「闇を浴びすぎたのだ。故郷で、光の魔術師に光の魔術をあててもらうと、多少は良くなるだろう。時間はかなりかかると思うが」
アクセレラシオン様は、騎士に応急処置の方法を伝えると、アルテアお姉様を抱き上げるように告げた。
騎士は躊躇いながら、アルテアお姉様に触れて抱き上げた。
「故郷を思い浮かべなさい。そうだね。ヘルティアーマ王国の王都、王宮がいいか?」
「はい」
次の瞬間、騎士に抱き上げられたアルテアお姉様は、姿を消した。
この先、アルテアお姉様に会うことはないだろう。
見た目に美しくなくても、アルテアお姉様なら、胸を張って生きて行くだろう。
アルテアお姉様は、心が強いお方だから。
どんな姿をしていても、自分を見失ったりしないはずだ。
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