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60   ラーメ王国

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 ラーメ王国は雪深い国だ。

 大陸の北側にある山脈の多い地域だ。

 広大な土地はあるが、標高も高いから、空気も少し薄い。

 国は、貧しい。

 短いが春も夏も秋もあるが、冬の時期はとにかく長い。

 この地域が平和なのは、あまり使い道がないからだろう。

 美しいドレスを着た女性はいない。

 帝国は、まるで別世界だった。

 男性も女性も美しい。

 建物も立派で、見たこともない食べ物が溢れていた。

 帝国の料理は、美味しかった。

 一生分の贅沢をしてきたと思う。

 冬の季節になると、動物が冬眠するように、人も外にはあまり出なくなる。

 食べ物は、冬の前に備蓄された物を食べて過ごす。

 贅沢な物は、全くない。

 野鳥や野生動物の肉が干されて、備蓄されている。

 野菜も干されているので、作物が育つまでは備蓄食品で慎ましく過ごす。

 人は冬眠はしないので、建物の中で慎ましく過ごすのが一般的だ。

 父上は、子沢山だ。

 やることがないので、子供をこさえている。

 抱き合っていれば、体は温かくなる。


 我が国は寒さを凌ぐために、親子、弟妹、友人と肌を重ねる習慣がある。

 勿論、結婚するには愛は芽生えてくるが、その愛もこの寒さの中では、互いに分け合う事が一般的だ。

 俺は雪のない世界に行ってみたくて、父上に頼んで、帝国に12歳から16歳まで留学していた。

 帝国には雪はないが、触れあいもない。

 まず入学式の後に、帝国の皇女様を紹介された。

 皇女様は可愛い女の子だった。

 見たこともないドレスを着ていた。


 まだ清い身で、手を繋ぐのに半年かかった。

 二年目にやっとキスを交わすことができて、尊い皇女様の体に触れることができるようになったが、どうしても一つにはなれない。

 もどかしくても、体に触れることは可能だ。

『結婚したい』と言うと、彼女は嬉しそうにキスをしてくれる。

 なんと可愛い女の子だろう。

 我が国に嫁に来たら、父上や弟にも抱かせてやらねばならないとは、口が裂けても言えないことだが、シリピリーは俺との結婚を切望している。

 俺も結婚したいが、雪が深くて、迎えに行けない。

 もう少し待ってくれと書いたら、自分で行きますと返事が返ってきた。

 この雪では、馬車でも到着できないのだ。

 機嫌を損ねないように、言葉を選びながら、結婚の延期をしている。

「アンクル姉さん、いい?」

「ゴルド、寒いから早く」

「うん」

 俺は長女のアンクル姉さんと抱き合うのが好きだ。

 アンクル姉さんは、美人だし、胸も大きくて触り心地が、とても気持ちいい。

 何より、合体すると、凄く温かい。

 俺はアンクル姉さんを温めるために、必死に腰を振る。

 アンクル姉さんは激しく悶えて、俺にしがみついてくる。

 アンクル姉さんは、めちゃくちゃ可愛い声を出して、逝った。

 虚ろな目のアンクル姉さんに、キスを贈る。

 とっても温かくて、気持ちが良かった。

 隣では、第二夫人の子、クワトロ第二王子がメモリア第三夫人、父上の三番目のお嫁さんと抱き合っている。

 メモリア第三夫人の子、ノン王女、三歳は、たぶんクワトロの子だと思う。

 12歳で父親と言うわけにいかずに、そのまま父の子とされているが、ノンはクワトロそっくりなのだ。

 ラーメ王国は、国民も皆、親子、弟妹、友人と抱き合っている。

 一つだけ、取り締まりを行っているのは、無理矢理襲うことだけだ。

 それだけは、国で禁止されている。

 春になったら、迎えに行くと、シリピリーに手紙を書こう。

 きっと寂しがっていると思う。

 でも、ラーメ王国のこの習慣に慣れてくれるといいのだけれど。


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