34 / 71
34 国際裁判所からの使者
しおりを挟む
「国王陛下、帝国から使者が来ております」
顔を強ばらせた宰相が、突然執務室に現れた。
「ペリオドスが何かしたのか?皇帝陛下を怒らせたのか?」
私はまず帝国からの使者が来たと聞いて、最初に思いついたのは、できの悪い息子と第二夫人のジュリアンの顔だった。
あの二人なら、何かしらしたかもしれない。
「あの、国際裁判所からの使者のようです」
「なんだと?」
まさか、11年前の事故の件だろうか?
証拠になるような物は、残していないはずだ。
「お通しして宜しいですか?」
「ああ、頼む」
宰相は俺の部屋から出て行った。
落ち着け。
冷静になれ。
私は国王陛下だ。
私は自分に言い聞かせ、応接室に向かった。
廊下には、軍服を着た大勢の人がいて、何事かと思った。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、お初にお目にかかります。私は国際裁判所のカイロス・ブレザンと申します。まずは、こちらをどうぞ」
一枚の紙を提出され、それを読んでいく。
マリアナが白い結婚と証明され、ペリオドスと離婚が成立し、ドゥオーモ王国の王太子妃ではなくなった事が書かれていた。
「ご理解いただけましたでしょうか?」
「はい」
あの息子は、マリアナを抱いてもいなかったのか?
なんて、馬鹿な息子だ。
「そして、次の書類はこちらでございます」
提出された紙を受け取ると、そこには、マリアナが皇帝陛下の姪にあたり、人質として、ドゥオーモ王国に捕らわれていた事が書かれている。
罪状として、誘拐、監禁と書かれている。
「これは、どういうことだ?」
「国際裁判所は、マリアナ・プロートニク公爵令嬢が、この国に捕らわれていた理由を細かく聞きたいと申しております。即刻、帝国に向かってもらいます。そして、マリアナ・プロートニク公爵令嬢がこの宮殿で過ごしていた事実を確認させていただきます。そして、もう一件、11年前のカナール・プロートニク公爵夫人と共にノンブル侯爵家に回診に来ていたマリアナ・プロートニク公爵令嬢がどうして、一人だけ、この国に捕らわれていたのか、捜査をします。では、捜査開始」
大勢の人達が、使用人を捕まえて部屋の配置を教わり、各部屋に入り、捜査が始まった。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、では、只今をもって拘束致します」
私の体は騎士に捕らえられ、手に手錠が掛けられた。
抵抗する暇もなく、手錠をされ、私は「外せ」と声を上げることしかできなかった。
「国際裁判所の規則により、拘束された者が逃走した場合、全ての罪を認めたとして処罰します。弁明は国際裁判所で聞きますので、今から国際裁判所に出発します」
「着替えなどが欲しいが、用意する時間はもらえないのか?」
「では、使用人に頼んでいただきましょう」
カイロス・ブレザンは、メイドに声を掛けて、旅支度をするように伝えて、10分以内に戻るように付け足した。
王宮の奥の方から声が聞こえる。
「どうして、わたくしが?」
王妃の声だ。
王妃もどうやら捕らわれたようだ。
「黙っておけ」
「でも」
「ここで発言されたことも、証拠になります。どうぞお話ください」
カイロス・ブレザンは、王妃にそう声を掛けた。
王妃は黙った。
まさか?第二夫人は大丈夫だろうか?
そう心配していると、第二夫人のソフィーと、子供達も捕らえられていた。
ソフィーは賢い。
余計な事は言わないだろう。
王女達は困惑して、10歳の第二王子は涙を浮かべている。
「では、馬車に移動しましょう」
騎士がロープで我々を繋いでしまった。私が先頭になって、王宮の外に連れて行かれた。
まるで罪人だ。
王宮内が雑然としている。
「留守を頼む」
私は宰相にそう伝えるのが、精一杯だった。
国際裁判所は、公平な判断がされるが、取り調べは厳しいとは噂では聞いていたが、これほどとは思わなかった。
辻馬車のような左右に椅子のある馬車に乗せられて、背後は鉄格子がはめられ、その鉄格子を隠すために、厚手の布が掛けられた。
急に暗くなる。
「父様」
「黙っていなさい」
末の王子が不安そうな声を出したが、話した事は全て文字に起こされる。黙っている方が利口なのだ。
同時刻、ノンブル侯爵家にも国際裁判所から使いが来ていた。
ノンブル侯爵を始め、その一家は全て捕らえられた。
国際裁判所からの派遣された者達は、今から家捜しをするのだ。
顔を強ばらせた宰相が、突然執務室に現れた。
「ペリオドスが何かしたのか?皇帝陛下を怒らせたのか?」
私はまず帝国からの使者が来たと聞いて、最初に思いついたのは、できの悪い息子と第二夫人のジュリアンの顔だった。
あの二人なら、何かしらしたかもしれない。
「あの、国際裁判所からの使者のようです」
「なんだと?」
まさか、11年前の事故の件だろうか?
証拠になるような物は、残していないはずだ。
「お通しして宜しいですか?」
「ああ、頼む」
宰相は俺の部屋から出て行った。
落ち着け。
冷静になれ。
私は国王陛下だ。
私は自分に言い聞かせ、応接室に向かった。
廊下には、軍服を着た大勢の人がいて、何事かと思った。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、お初にお目にかかります。私は国際裁判所のカイロス・ブレザンと申します。まずは、こちらをどうぞ」
一枚の紙を提出され、それを読んでいく。
マリアナが白い結婚と証明され、ペリオドスと離婚が成立し、ドゥオーモ王国の王太子妃ではなくなった事が書かれていた。
「ご理解いただけましたでしょうか?」
「はい」
あの息子は、マリアナを抱いてもいなかったのか?
なんて、馬鹿な息子だ。
「そして、次の書類はこちらでございます」
提出された紙を受け取ると、そこには、マリアナが皇帝陛下の姪にあたり、人質として、ドゥオーモ王国に捕らわれていた事が書かれている。
罪状として、誘拐、監禁と書かれている。
「これは、どういうことだ?」
「国際裁判所は、マリアナ・プロートニク公爵令嬢が、この国に捕らわれていた理由を細かく聞きたいと申しております。即刻、帝国に向かってもらいます。そして、マリアナ・プロートニク公爵令嬢がこの宮殿で過ごしていた事実を確認させていただきます。そして、もう一件、11年前のカナール・プロートニク公爵夫人と共にノンブル侯爵家に回診に来ていたマリアナ・プロートニク公爵令嬢がどうして、一人だけ、この国に捕らわれていたのか、捜査をします。では、捜査開始」
大勢の人達が、使用人を捕まえて部屋の配置を教わり、各部屋に入り、捜査が始まった。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、では、只今をもって拘束致します」
私の体は騎士に捕らえられ、手に手錠が掛けられた。
抵抗する暇もなく、手錠をされ、私は「外せ」と声を上げることしかできなかった。
「国際裁判所の規則により、拘束された者が逃走した場合、全ての罪を認めたとして処罰します。弁明は国際裁判所で聞きますので、今から国際裁判所に出発します」
「着替えなどが欲しいが、用意する時間はもらえないのか?」
「では、使用人に頼んでいただきましょう」
カイロス・ブレザンは、メイドに声を掛けて、旅支度をするように伝えて、10分以内に戻るように付け足した。
王宮の奥の方から声が聞こえる。
「どうして、わたくしが?」
王妃の声だ。
王妃もどうやら捕らわれたようだ。
「黙っておけ」
「でも」
「ここで発言されたことも、証拠になります。どうぞお話ください」
カイロス・ブレザンは、王妃にそう声を掛けた。
王妃は黙った。
まさか?第二夫人は大丈夫だろうか?
そう心配していると、第二夫人のソフィーと、子供達も捕らえられていた。
ソフィーは賢い。
余計な事は言わないだろう。
王女達は困惑して、10歳の第二王子は涙を浮かべている。
「では、馬車に移動しましょう」
騎士がロープで我々を繋いでしまった。私が先頭になって、王宮の外に連れて行かれた。
まるで罪人だ。
王宮内が雑然としている。
「留守を頼む」
私は宰相にそう伝えるのが、精一杯だった。
国際裁判所は、公平な判断がされるが、取り調べは厳しいとは噂では聞いていたが、これほどとは思わなかった。
辻馬車のような左右に椅子のある馬車に乗せられて、背後は鉄格子がはめられ、その鉄格子を隠すために、厚手の布が掛けられた。
急に暗くなる。
「父様」
「黙っていなさい」
末の王子が不安そうな声を出したが、話した事は全て文字に起こされる。黙っている方が利口なのだ。
同時刻、ノンブル侯爵家にも国際裁判所から使いが来ていた。
ノンブル侯爵を始め、その一家は全て捕らえられた。
国際裁判所からの派遣された者達は、今から家捜しをするのだ。
6
お気に入りに追加
1,983
あなたにおすすめの小説
『別れても好きな人』
設樂理沙
ライト文芸
大好きな夫から好きな女性ができたから別れて欲しいと言われ、離婚した。
夫の想い人はとても美しく、自分など到底敵わないと思ったから。
ほんとうは別れたくなどなかった。
この先もずっと夫と一緒にいたかった……だけど世の中には
どうしようもないことがあるのだ。
自分で選択できないことがある。
悲しいけれど……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
登場人物紹介
戸田貴理子 40才
戸田正義 44才
青木誠二 28才
嘉島優子 33才
小田聖也 35才
2024.4.11 ―― プロット作成日
💛イラストはAI生成自作画像
【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
獣人公爵のエスコート
ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。
将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。
軽いすれ違いです。
書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる