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3 御曹司と出張
8 やっと結ばれました
しおりを挟む辞表は目の前で破かれて、ゴミ箱に捨てられた。
昨夜のやり直しをさせてほしいと言われて、亜梨子は誉に連れられて車に乗せられた。
今度は山間部に向かっている。
途中のラブホテルで営業をして、幾つかのホテルを回った。
(疲れたな・・・)
用意してきた玩具の詰め合わせは、全部、なくなった。
亜梨子の名刺ももう数枚くらいになった。
記念に一枚欲しいな。
名刺には顔写真も印刷されている。
初めてもらった名刺だから、トイレ休憩の時にこっそりお財布に入れた。
外の景色は、もう暗くて見えない。
車はカーブする坂を登っている。
やっと着いたホテルは山の中腹にあって、夜景が美しい。
「今夜は、ここに泊まるよ」
「もう営業の玩具はないですよ」
「ここには営業ではなくて、亜梨子と泊まりに来たんだよ」
「経費で落ちなくなります」
「いいから、おいで」
着替えの入ったバックを誉が持って、亜梨子の手を引く。
案内された部屋は、昨日の部屋と同じように豪華だ。
ホテルにチェックインしてから、鉄板焼きのお店に入った。
今夜は誉もお酒を注文している。
赤ワインで乾杯して、目の前で調理人が鉄板の上で調理していく。
まるで手品を見るようで、目の前で作られていく料理に、目が離せない。
空のお皿に、少しずつ、料理が並べられていく。
「ワイン、お代わりする?白ワインも梅酒も酎ハイもあるよ」
天板に水が注がれて、ジューッと音がする。水を差すと大きな蓋をかぶせて蒸し焼きにしている。お酒の肴に出された、カリカリのガーリックはお菓子みたいで美味しい。
しっかり焼いているので、独特のにおいは残らないらしい。
「誉さんは何を飲まれますか?」
「今度は白ワインを飲もうかな?」
「それなら私も」
誉がにっこり笑う。
お酒を飲み放題にしたのは知っている。
メインの料理は牛肉のサーローンだ。
前菜の野菜を食べながら、見事な料理に亜梨子は目を輝かせていた。
料理ショーだ。
珍しい京野菜を使って作られていく。
メインのお肉が終わると、茶碗蒸しまで鉄板の上で蒸されている。
「お酒のお代わりはいかがですか?」
店員に聞かれて、誉はビールを頼んだ。亜梨子は梅酒を頼んだ。
普段お酒を飲まない亜梨子だが、雰囲気が良く、料理が美味しいので、つい頼んでしまった。
梅酒は大きなグラスできたが、中には大きな丸い氷が入っていた。
お酒の量はそんなになさそうで、ホッとする。
ごはんと茶碗蒸し、お吸い物と漬物で食事は〆に入って行く。
デザートは特産のブドウのシャーベットだった。
さっぱりした口当たりで、お腹はいっぱいになった。
最後に珈琲を出されて、一服する。
心地よく酔って、誉に連れられて部屋に戻っていく。
「とても美味しかったです」
「このお店は接待でよく使うんだ。次の接待の時は、連れてきてあげる」
「接待ですか?」
「亜梨子に接待したわけではないからな」
「はい」
指と指が絡まり手を繋いで、手を引かれるだけで、幸せな気分だ。
部屋の扉が開いて、部屋の中に入ると、誉は亜梨子を抱きしめてキスをしてきた。
「今夜は抱くよ」
亜梨子は微笑んだ。
抱かれなくても、今は幸せだ。
悶々もしていない。
「誉さん、私、お風呂に入ってきます」
「一緒に入ってもいいか?」
「うん」
長い髪を結い纏めていた亜梨子は、ピンを外して長い髪を下ろした。
誉はスーツを脱いで、ハンガーに掛けている。
ついでに、亜梨子のジャケットを脱がせてハンガーにかけた。
お風呂で洗いあって、シャワーを浴びて出てきた。
初夏の夜だが、空調が効いて暑くはない。
裸のままベッドに倒れるように横になった。
ひんやりしたシーツが気持ちいい。
「亜梨子、本当にいいのか?」
「ずっと抱かれたかったの」
「僕もずっと抱きたかった」
笑みを浮かべながらキスを交わし、指先が胸ではなく蜜坪に入って行く。
「ずっと我慢していたから、自制が効かないよ」
「私、誉さんに抱かれなかったら、守君をお婿さんにするわ」
誉はクスクス笑う。
「私の初めてを奪ったのは守君だもの」
「守君は機械だよ」
「機械にずっと抱かれていたんだもの。私に快感を教えたのは守君よ」
「守君を動かしていたのは僕だけどね」
「エッチだわ」
クチュクチュと濡れた音が聞こえる。
「亜梨子、入れるよ」
「お尻だったら、別れるわ」
今度はきちんと女の子の場所に楔があたっている。
(やっと抱いてもらえる)
いっぱいに開かれて、痛みがあるが、その痛みさえ嬉しい。
「亜梨子。辛くないか?」
「嬉しいの」
やっと欲しい場所に欲しい物を入れてもらえて、亜梨子は誉にしがみついた。
体の中が満たされていく。
重なる皮膚と皮膚が気持ちいい。
すべてを受け入れて、亜梨子は誉を抱きしめた。
誉も抱きしめてくれる。
「好きだよ。亜梨子」
「私も好きです。誉さん」
誉は微笑むと、亜梨子にキスをした。
「動くよ」
「うん」
結ばれ、やっと誉は亜梨子の胸に触れた。
揉まれながら、奥を突かれると、守君に抱かれていたときより、ずっと満たされる。
「あああんっ」
「ずっと欲しかったんだろう?」
「欲しかった」
抽挿されながら、亜梨子は泣いていた。
「誉さんが欲しかった」
絶頂に向かいながら、まだ終わってほしくなくて、誉を締め付ける。
「あまり締め付けるな、我慢ができなくなる」
「でも、もっと愛して」
ぐんと奥を突かれて、ぎゅっと抱きしめられた。
体の中に熱いものが広がっていく。
亜梨子は胎内の楔を締め付ける。
「亜梨子は最高だ」
「私で気持ち良くなれましたか?」
「可愛すぎて、どうしてやろう」
王子様顔が微笑んでいて、亜梨子は誉に抱きついた。
「もっと愛して」
「欲張りなお嬢様だ」
ほろ酔いも手伝って、亜梨子は誉に甘えて何度も貫かれた。
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