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彼氏との生活が甘すぎる

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「せっ……セックス!?」
「そう」

当然のような顔をしているトーマスと、急速冷凍機に突っ込まれたハイネと。
セックス、という単語がハイネの頭を巡回し、吟味される。
性行為。恋人関係であるなら、自然とそういう流れにもなるのだろうか。いやしかし……これまでのトーマスとの付き合いで、彼がそういった雰囲気を纏ったことはなかったように思える。男同士で付き合う、ということの何が特別なことなのか、ハイネにはいまいち理解できていなかった。それでも彼と過ごすことは自分にとって悪くないし、彼もそれに満足しているなら、と安易な安心感に浸っていた。
確かにキスはした。キスはした、が。恋人というのなら何の違和感もない行為であるし、いわばスキンシップ。恋人として同居生活を送るうえで大切な行為だとも、トーマスは思っているようだし。だが、セックスはまた別じゃないか。だってそれは、愛を確かめ合うというにはあまりに獣すぎるし、そもそも相手に欲情するしないの話にも……
と、そこまで考え、ハイネは浮かび上がった根っこの疑問を凝視する。

「ま、待ってよトーマス。きみ……きみはその、オレのことを性的に見ているの?」

と、軽い気持ちで吐いた言葉で空気が凍りついた。「あ、ごめん違うんだ!」失言に気付いたハイネはすぐに取り繕うが、トーマスは表情を緩めない。

「違うんだよ、トーマス……あの、その。お、オレはこんな風にストレートに求められたことがないから……びっくりして」

嬉しいんだか、なんだか。なんとも摩訶不思議な感情が心を満たす。

「気持ち悪い、というなら言ってほしいよ。なにもセックスだけが愛情表現のすべてじゃないからね」

この言い方はトーマスの癖だ。人を操るとてもよくない癖。嫌なら遠慮なく申告してくれと言って、ハイネが嫌じゃないことに気付いてない様子は、天然なのか演技なのかハイネは半信半疑だ。もし演技だというなら彼にはドルビー・シアターの招待状が届くだろう。オスカー像との熱愛だなんて、冗談じゃない。ともあれ演技だったとしても、いまハイネに疑惑の眼差しを向ける選択は存在しない。

「そんなんじゃない!! 違うんだよ、本当に。でも、男同士のセックスが、どういうものなのか、わからなくって……」
「ああ!」
「あっちょっ……トーマス?」
「男同士ではね、ここを使うんだよ」
「はっ、え? あ、あぁ、んっちょっと……あ」

トーマスの腕に囚われたかと思えば、背中側の下半身、その双丘に間に彼の指が入り込み、普段排泄にしか使用されないその場所をぐりぐりと刺激される。腰回りが強張る。トーマスの指がそこを押し上げるたびにハイネは伸びあがって身を捩り、トーマスの胸にすがりつく格好になる。
先ほどまでのアンニュイな表情はどこへやら。イタズラっぽく笑いながらリズミカルに排泄口への刺激を続ける。ハイネはトーマスの首筋と鍛え抜かれた胸板との間に額をすりつけて目を白黒させていた。
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