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プロローグ
神チケットを使って交渉してみた
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黒い穴に落ちたと思ったら、青い空の上に浮いていた。
キョロキョロと回りを見渡すと、お世辞にも綺麗とは言い難い女性が浮かんでいるではないか!
「テルースへようこそ、異世界の人の子よ。わたくしは、この世界を管理する者。レアと申します」
「御叮嚀にありがとう御座います。冨田薫です」
軽く会釈をすると、レアはパチンと指を鳴らした。
すると、真っ白な建物の中に場所が切り替わり、テーブルと椅子が現れて座るように勧められた。
「少しお話をしましょう。お茶をどうぞ」
「ありがとう御座います」
亜空間から出されたお茶を渡され、私は口を付けた振りをしてカップをテーブルの上に置いた。
「上位神の申請により貴女の魂を保護させて頂きました。この世界で寿命を全うして頂きたく思います」
上位神とはイザナミのことだろうか。
レアの表情は柔らかいが、目が笑っていない。
厄介ごとを押し付けられて、腹立たしいのを我慢しているのだろう。
「イザナミ様よりテルースで、残った寿命88年を快適に暮らすようにと伺っております。その際に神チケットを三枚頂きました」
神チケットを見せると、レアの視線が一瞬神チケットに釘付けになったのを見逃さなかった。
イザナミを上位神と呼称したところを見る限り、神チケットはテルースの管理者であるレアにとっても、とても価値の高いものだと確信する。
「この神チケットが無くても、私は安全で快適に寿命を全うすることは可能でしょうか?」
そう問いかけると、レアの表情はパッと明るくなった。
「それは、つまり神チケットをわたくしに下さるという事かしら?」
「はい、私が安全で快適に寿命を全うできるのなら一枚お譲りします。ただ、全てお譲りするとイザナミ様が何を仰られか分かりませんので、一枚だけの譲渡になりますが宜しいでしょうか?」
探るように言葉を慎重に選びながら問いかけると、彼女は嬉しそうに頷いた。
「ええ、問題なくてよ。貴女の魂が入る身体は、リリス・ガイアという少女よ」
何もない空間に手を掲げると、男を侍らせた少女とは対比に、無理矢理頭を床に押さえつけられている黒髪の少女が映った。
「一応聞きますが、どちらに入るのですか?」
「黒髪の少女よ。リリスの魂は、何度も同じ時間を繰り返して摩耗して消え掛かっています。魂を救うために、貴女に彼女の中に入って貰いたい」
「精神が死んだということでしょうか?」
「察しが良くて助かるわ。彼女の身体は、貴女の物よ。好きに生きなさい」
「彼女の様に何度も同じ時間を繰り返すことはないのですよね?」
「その心配はありません。高位の世界から来た魂は、この世界の理から外れています。寿命を全うすれば、魂は地球に戻ります」
観察する限り、レアが嘘を吐いている様子はない。
「分かりました。では、リリス嬢の身体を貰い受けます。安全で快適に暮らせるために、リリス嬢の身体を作り替えて頂けますか? こういうものが欲しいです」
私が希望したスキルは、成長促進・鑑定眼・自動HP回復・自動MP回復・空間収納・状態異常耐性・詠唱破棄・魔導の極意・カウンター100%・並列演算・並列思考・隠蔽・隠密・武闘である。
リリスの身体を全魔法属性適合者に作り変えて貰った。
あれこれ注文を付けた結果、完成したリリスのステータスを見る。
名 前:リリス・ガイア
種 族:人
職 業:ガイア皇国の第二皇女
レ ベ ル:8
H P:112/128
M P:184/184
スキル:成長促進・鑑定眼・HP自動回復・MP自動回復・空間収納・状態異常耐性無効・詠唱破棄・魔導の極み・カウンター100%・並列演算・並列思考・思考加速・隠蔽・隠密・武闘
固有能力:学習型自立AI
称 号:全魔法属性適合者
加 護:なし
装 備:制服
持 ち 物:神チケット2枚
これだけスキルがあれば、取り合えず早々死ぬ事はないだろう。
神チケット一枚で、ここまで強化してくれるとは思わなかった。
「レア様、ありがとう御座います。これは、お礼の気持ちです」
ともう一枚の神チケットを渡した。
レアは、目を丸くして神チケットと私を交互に見ている。
「良いのですか?」
若干声が震えているが、気にしないでおこう。
「構いません。もし、寿命を全うして天に召されるまでに使う機会がなければ残りの一枚もお譲りします」
「なら、わたくしも貴女の新しい門出に祝福をしましょう。わたくしの加護と神託を授けました。困ったことがあれば、祈りなさい」
俗物的な女神様とは言葉にすまい。
私は、ラッキーと思いながらレアの申し出を受け入れた。
「では、地上に魂を送ります。よき人生を」
「はい」
私は、レアに促されて光の輪の中に入った。
リリス・ガイアの身体に入り込み、彼女の記憶を思考加速で読み取り並列思考で学習型自立AIことググル先生にガイア皇国の法律について調べた。
まずは、目の前の問題を片付けるとしよう。
キョロキョロと回りを見渡すと、お世辞にも綺麗とは言い難い女性が浮かんでいるではないか!
「テルースへようこそ、異世界の人の子よ。わたくしは、この世界を管理する者。レアと申します」
「御叮嚀にありがとう御座います。冨田薫です」
軽く会釈をすると、レアはパチンと指を鳴らした。
すると、真っ白な建物の中に場所が切り替わり、テーブルと椅子が現れて座るように勧められた。
「少しお話をしましょう。お茶をどうぞ」
「ありがとう御座います」
亜空間から出されたお茶を渡され、私は口を付けた振りをしてカップをテーブルの上に置いた。
「上位神の申請により貴女の魂を保護させて頂きました。この世界で寿命を全うして頂きたく思います」
上位神とはイザナミのことだろうか。
レアの表情は柔らかいが、目が笑っていない。
厄介ごとを押し付けられて、腹立たしいのを我慢しているのだろう。
「イザナミ様よりテルースで、残った寿命88年を快適に暮らすようにと伺っております。その際に神チケットを三枚頂きました」
神チケットを見せると、レアの視線が一瞬神チケットに釘付けになったのを見逃さなかった。
イザナミを上位神と呼称したところを見る限り、神チケットはテルースの管理者であるレアにとっても、とても価値の高いものだと確信する。
「この神チケットが無くても、私は安全で快適に寿命を全うすることは可能でしょうか?」
そう問いかけると、レアの表情はパッと明るくなった。
「それは、つまり神チケットをわたくしに下さるという事かしら?」
「はい、私が安全で快適に寿命を全うできるのなら一枚お譲りします。ただ、全てお譲りするとイザナミ様が何を仰られか分かりませんので、一枚だけの譲渡になりますが宜しいでしょうか?」
探るように言葉を慎重に選びながら問いかけると、彼女は嬉しそうに頷いた。
「ええ、問題なくてよ。貴女の魂が入る身体は、リリス・ガイアという少女よ」
何もない空間に手を掲げると、男を侍らせた少女とは対比に、無理矢理頭を床に押さえつけられている黒髪の少女が映った。
「一応聞きますが、どちらに入るのですか?」
「黒髪の少女よ。リリスの魂は、何度も同じ時間を繰り返して摩耗して消え掛かっています。魂を救うために、貴女に彼女の中に入って貰いたい」
「精神が死んだということでしょうか?」
「察しが良くて助かるわ。彼女の身体は、貴女の物よ。好きに生きなさい」
「彼女の様に何度も同じ時間を繰り返すことはないのですよね?」
「その心配はありません。高位の世界から来た魂は、この世界の理から外れています。寿命を全うすれば、魂は地球に戻ります」
観察する限り、レアが嘘を吐いている様子はない。
「分かりました。では、リリス嬢の身体を貰い受けます。安全で快適に暮らせるために、リリス嬢の身体を作り替えて頂けますか? こういうものが欲しいです」
私が希望したスキルは、成長促進・鑑定眼・自動HP回復・自動MP回復・空間収納・状態異常耐性・詠唱破棄・魔導の極意・カウンター100%・並列演算・並列思考・隠蔽・隠密・武闘である。
リリスの身体を全魔法属性適合者に作り変えて貰った。
あれこれ注文を付けた結果、完成したリリスのステータスを見る。
名 前:リリス・ガイア
種 族:人
職 業:ガイア皇国の第二皇女
レ ベ ル:8
H P:112/128
M P:184/184
スキル:成長促進・鑑定眼・HP自動回復・MP自動回復・空間収納・状態異常耐性無効・詠唱破棄・魔導の極み・カウンター100%・並列演算・並列思考・思考加速・隠蔽・隠密・武闘
固有能力:学習型自立AI
称 号:全魔法属性適合者
加 護:なし
装 備:制服
持 ち 物:神チケット2枚
これだけスキルがあれば、取り合えず早々死ぬ事はないだろう。
神チケット一枚で、ここまで強化してくれるとは思わなかった。
「レア様、ありがとう御座います。これは、お礼の気持ちです」
ともう一枚の神チケットを渡した。
レアは、目を丸くして神チケットと私を交互に見ている。
「良いのですか?」
若干声が震えているが、気にしないでおこう。
「構いません。もし、寿命を全うして天に召されるまでに使う機会がなければ残りの一枚もお譲りします」
「なら、わたくしも貴女の新しい門出に祝福をしましょう。わたくしの加護と神託を授けました。困ったことがあれば、祈りなさい」
俗物的な女神様とは言葉にすまい。
私は、ラッキーと思いながらレアの申し出を受け入れた。
「では、地上に魂を送ります。よき人生を」
「はい」
私は、レアに促されて光の輪の中に入った。
リリス・ガイアの身体に入り込み、彼女の記憶を思考加速で読み取り並列思考で学習型自立AIことググル先生にガイア皇国の法律について調べた。
まずは、目の前の問題を片付けるとしよう。
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