7 / 181
幼少期
双子の従者が出来ました
しおりを挟む
迷子事件で年の近い者を護衛させると、父から通達がありました。
大人目線では視界から消えてしまい見失いやすいという事で、私と同い年の男女が遊び相手兼護衛になった。
アリーシャ・エバンスとガリオン・エバンスの双子ちゃんです。
「初めまして、リリアン・フォン・アングロサクソンと申します。アリーシャ、ガリオン、共に遊び学び良き隣人であり良き部下であることを願います。至らぬ点があると思います。遠慮はいりません。どんどん意見なさって下さいませ」
そう挨拶したら、ポッカーンとした顔をされた。
幼女が、そんな流暢に挨拶する時点でおかしいもんね。
分かるが、それを顔に出すのはマイナス点かな。
追々、ポーカーフェイスを身に着けてくれれば良い。
「アリーシャ・エバンスです。リリアンさま、よろしくおねがいします」
「ガリオン・エバンスです。よろしくおねがいします」
ガチガチに緊張している双子に、私は手を差し出した。
頭にクエスチョンマークを浮かべている二人の手を握り握手した。
「二人共よろしくね! 読み書きと算術は出来る?」
「「出来ません」」
まだ、七歳だし仕方がないか。
「じゃあ、二人も一緒に私と勉強するわよ!!」
勉強の単語に、ガリオンが顔を顰めた。
ガリオンは勉強が嫌いなのか。
アリーシャは、逆に顔がパァッと明るくなっている。
二人共とても分かり易い。
「……ごえいってきいてたのに」
「知識がある方が、自分の進みたい道の幅が広くなるわよ」
「どういうことですか?」
「例えばこの国…イーサント国軍の兵士となった場合、隊長クラスの人間は書類を作り報告を行う義務が発生致します。その時に読み書き出来ないとなると出世コースから外れます。また、算術が出来ないと街で何かを買ったり売ったりする時に悪い商人に騙されてしまう可能性があるのですよ。腕が立つのは良い事であり、自分を売り込む材料になります。しかし、読み書きや算術が出来なければ冒険者を雇えば急場は凌げるのです。ガリオンは、将来何になりたいですか?」
「オレは……」
「ああ、私が嫁いでしまうと護衛の任も解かれるかもしれません。そうなった時に、どんな仕事をしたいですか?」
「オレは、イーサントこくのだいそうしになりたい! …です」
「大総帥になりたいなら、腕っぷしだけでは成れないわ。だから勉強するのよ。知識はあって困らないもの。一生物の宝よ! 夢を追うのは良いことだわ。でも、それに見合った努力も必要よ」
勉強の大切さが、ガリオンにも届いたのか静かに聞いている。
前世の記憶がなければ、私も勉強なんて好き好んでしたいとは思わなかっただろう。
楽な方に流れて、結果ブラック企業に勤めて過労死したのだ。
もっと勉学に励んでいれば、違った人生を歩んでいたかもしれない。
たられば話をしても無意味の堂々巡りなので止めよう。
空しくなる。
「アリーシャとガリオンは、私の護衛兼遊び相手になるわけだけど公の場以外はリリーと呼んで頂戴。私的な場所では敬語も不要よ」
「「え!?」」
「これから学友になるんだから堅苦しいのは抜き! でも、公の場ではちゃんと私を立ててくれれば良いから。外面はしっかり磨くのよ」
「あの! おそれながら、しめしがつかないとおもいます…」
段々尻すぼみになりながらも意見するアリーシャを褒めた。
「良い意見ね! 十三歳になれば、王立学園に入学する事になるわ。王立学園は優秀であれば平民でも入学できるのは有名ね。学びの園の中だけ平等になる。だからと言って礼を欠いて良いわけではない。学園は小さな国の縮図。人脈を開拓し、如何に優位に立ち振舞うかが試されるのよ。二人は順調にいけば私の幼馴染になるわ。私の護衛として王立学園に入学することになるから、外面の使い分けが出来るようにするのよ! 毎日仕事だと疲れるし、私も疲れちゃうわ。だから、公の場での振舞いと普段の振舞いは使い分け出来るようにするのよ。そうするだけで、後々役に立つもの」
「なるほど」
「じゃあ、ふだんはけいごなしでいいのか?」
「良いわよ! でも、一緒にマナーの勉強もするからね。是非とも外の面の皮は分厚くなりなさい」
巨大な化け猫を被るのよ!
「「はい」」
良いお返事ありがとう。
私と一緒にバーバリー伯爵夫人にイビリ……扱かれるのです。
これで私一人で苦行を強いられることはなくなった。
ヤッホーイと喜んだ。
大人目線では視界から消えてしまい見失いやすいという事で、私と同い年の男女が遊び相手兼護衛になった。
アリーシャ・エバンスとガリオン・エバンスの双子ちゃんです。
「初めまして、リリアン・フォン・アングロサクソンと申します。アリーシャ、ガリオン、共に遊び学び良き隣人であり良き部下であることを願います。至らぬ点があると思います。遠慮はいりません。どんどん意見なさって下さいませ」
そう挨拶したら、ポッカーンとした顔をされた。
幼女が、そんな流暢に挨拶する時点でおかしいもんね。
分かるが、それを顔に出すのはマイナス点かな。
追々、ポーカーフェイスを身に着けてくれれば良い。
「アリーシャ・エバンスです。リリアンさま、よろしくおねがいします」
「ガリオン・エバンスです。よろしくおねがいします」
ガチガチに緊張している双子に、私は手を差し出した。
頭にクエスチョンマークを浮かべている二人の手を握り握手した。
「二人共よろしくね! 読み書きと算術は出来る?」
「「出来ません」」
まだ、七歳だし仕方がないか。
「じゃあ、二人も一緒に私と勉強するわよ!!」
勉強の単語に、ガリオンが顔を顰めた。
ガリオンは勉強が嫌いなのか。
アリーシャは、逆に顔がパァッと明るくなっている。
二人共とても分かり易い。
「……ごえいってきいてたのに」
「知識がある方が、自分の進みたい道の幅が広くなるわよ」
「どういうことですか?」
「例えばこの国…イーサント国軍の兵士となった場合、隊長クラスの人間は書類を作り報告を行う義務が発生致します。その時に読み書き出来ないとなると出世コースから外れます。また、算術が出来ないと街で何かを買ったり売ったりする時に悪い商人に騙されてしまう可能性があるのですよ。腕が立つのは良い事であり、自分を売り込む材料になります。しかし、読み書きや算術が出来なければ冒険者を雇えば急場は凌げるのです。ガリオンは、将来何になりたいですか?」
「オレは……」
「ああ、私が嫁いでしまうと護衛の任も解かれるかもしれません。そうなった時に、どんな仕事をしたいですか?」
「オレは、イーサントこくのだいそうしになりたい! …です」
「大総帥になりたいなら、腕っぷしだけでは成れないわ。だから勉強するのよ。知識はあって困らないもの。一生物の宝よ! 夢を追うのは良いことだわ。でも、それに見合った努力も必要よ」
勉強の大切さが、ガリオンにも届いたのか静かに聞いている。
前世の記憶がなければ、私も勉強なんて好き好んでしたいとは思わなかっただろう。
楽な方に流れて、結果ブラック企業に勤めて過労死したのだ。
もっと勉学に励んでいれば、違った人生を歩んでいたかもしれない。
たられば話をしても無意味の堂々巡りなので止めよう。
空しくなる。
「アリーシャとガリオンは、私の護衛兼遊び相手になるわけだけど公の場以外はリリーと呼んで頂戴。私的な場所では敬語も不要よ」
「「え!?」」
「これから学友になるんだから堅苦しいのは抜き! でも、公の場ではちゃんと私を立ててくれれば良いから。外面はしっかり磨くのよ」
「あの! おそれながら、しめしがつかないとおもいます…」
段々尻すぼみになりながらも意見するアリーシャを褒めた。
「良い意見ね! 十三歳になれば、王立学園に入学する事になるわ。王立学園は優秀であれば平民でも入学できるのは有名ね。学びの園の中だけ平等になる。だからと言って礼を欠いて良いわけではない。学園は小さな国の縮図。人脈を開拓し、如何に優位に立ち振舞うかが試されるのよ。二人は順調にいけば私の幼馴染になるわ。私の護衛として王立学園に入学することになるから、外面の使い分けが出来るようにするのよ! 毎日仕事だと疲れるし、私も疲れちゃうわ。だから、公の場での振舞いと普段の振舞いは使い分け出来るようにするのよ。そうするだけで、後々役に立つもの」
「なるほど」
「じゃあ、ふだんはけいごなしでいいのか?」
「良いわよ! でも、一緒にマナーの勉強もするからね。是非とも外の面の皮は分厚くなりなさい」
巨大な化け猫を被るのよ!
「「はい」」
良いお返事ありがとう。
私と一緒にバーバリー伯爵夫人にイビリ……扱かれるのです。
これで私一人で苦行を強いられることはなくなった。
ヤッホーイと喜んだ。
0
お気に入りに追加
2,918
あなたにおすすめの小説
そう言うと思ってた
mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。
※いつものように視点がバラバラします。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
我慢してきた令嬢は、はっちゃける事にしたようです。
和威
恋愛
侯爵令嬢ミリア(15)はギルベルト伯爵(24)と結婚しました。ただ、この伯爵……別館に愛人囲ってて私に構ってる暇は無いそうです。本館で好きに過ごして良いらしいので、はっちゃけようかな?って感じの話です。1話1500~2000字程です。お気に入り登録5000人突破です!有り難うございまーす!2度見しました(笑)
公爵様は幼馴染に夢中のようですので別れましょう
カミツドリ
恋愛
伯爵令嬢のレミーラは公爵閣下と婚約をしていた。
しかし、公爵閣下は幼馴染に夢中になっている……。
レミーラが注意をしても、公爵は幼馴染との関係性を見直す気はないようだ。
それならば婚約解消をしましょうと、レミーラは公爵閣下と別れることにする。
しかし、女々しい公爵はレミーラに縋りよって来る。
レミーラは王子殿下との新たな恋に忙しいので、邪魔しないでもらえますか? と元婚約者を冷たく突き放すのだった。覆水盆に返らず、ここに極まれり……。
悪妃の愛娘
りーさん
恋愛
私の名前はリリー。五歳のかわいい盛りの王女である。私は、前世の記憶を持っていて、父子家庭で育ったからか、母親には特別な思いがあった。
その心残りからか、転生を果たした私は、母親の王妃にそれはもう可愛がられている。
そんなある日、そんな母が父である国王に怒鳴られていて、泣いているのを見たときに、私は誓った。私がお母さまを幸せにして見せると!
いろいろ調べてみると、母親が悪妃と呼ばれていたり、腹違いの弟妹がひどい扱いを受けていたりと、お城は問題だらけ!
こうなったら、私が全部解決してみせるといろいろやっていたら、なんでか父親に構われだした。
あんたなんてどうでもいいからほっといてくれ!
目を覚ましたら、婚約者に子供が出来ていました。
霙アルカ。
恋愛
目を覚ましたら、婚約者は私の幼馴染との間に子供を作っていました。
「でも、愛してるのは、ダリア君だけなんだ。」
いやいや、そんな事言われてもこれ以上一緒にいれるわけないでしょ。
※こちらは更新ゆっくりかもです。
婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います
ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」
公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。
本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか?
義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。
不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます!
この作品は小説家になろうでも掲載しています
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる