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昼食は、チャーハンと卵スープ、アボカドサラダである。
「モモちゃん、ご飯出来たから手を洗おうか」
「何で?」
直ぐに食べられると思ったのか、モモちゃんの機嫌は悪い。
「モモちゃん、おーちゃんと遊んでいたでしょう?」
「うん」
「おーちゃんも、モモちゃんもボール以外に色んなものに触っているよね? そこには目に見えないバイキンがいて、手についているんだよ。もし、手を洗わずにご飯を食べたらお腹が痛くなったり、熱が出たりするかもしれないよ。しんどい思いしても良い?」
出来るだけ分かりやすく噛み砕いた言葉を使いながら、手を洗う重要性を伝えると、モモちゃんも腹痛や発熱、しんどさを体験するのは嫌だと判断したのか、素直に手を洗ってくれた。
おーちゃんは、数粒のカリカリをエサ入れに入れてあげる。
「じゃあ、食べようか。両手を合わせて頂きます」
「いただきます?」
頂きますが何を意味しているのか分からないなりに、オウム返しに反復するモモちゃんによく出来ましたと褒める。
今は、頂きますの意味を伝える必要はない。
それよりも食べ方が汚かった。
多分、食事のマナーも一般常識も教わってこなかったのだろう。
予想はしていたが、これは酷い。
教育テレビを見せながら、教えられることは教えないとダメそうだ。
遅れている勉強も教えたいところだが、まずは集団生活が出来るくらいの一般常識は知っていた方が良いだろう。
昼食後、モモちゃんにセサミストリートを見せて様子を見ることにした。
テレビをゆっくり鑑賞するのは初めてなのか、ジッと無言で食い入るように見ている。
多分、面白いのだと思う。
放置された鶯宿は、私に遊べとじゃれついてくる。
そんな鶯宿を片手間で遊びながら、お風呂の用意をしたり、夕飯の準備をして過ごした。
モモちゃんの集中力は人並み外れていると思うほどで、何度声を掛けても返事をしない。
それもモモちゃんの潜在能力なのだろう。
興味があれば、人並み以上の集中力を発揮するのは一種の才能と呼んでも差し支えないだろう。
私は、区切りが良いところでテレビの電源を落とした。
すると我に返ったのか、モモちゃんは私の方を振り返って怯えた目をしている。
「面白かった?」
怒るわけでもなく質問をする私に、モモちゃんは目をパチクリさせている。
「ぶたないの?」
「ぶたないよ。ずっとテレビを見てて疲れたでしょう。テレビを見ちゃダメとは言わないけど、30分に1回はテレビを見ない時間を作ろうね。目が悪くなるよ」
私の言葉に、モモちゃんは混乱しているのか、疑問符を頭に浮かべている。
モモちゃんの様子からして、集中し過ぎて聞いてなかった事に対して、何度も怒られぶたれた経験があるのだろう。
それに対して、私の反応は予想外でどう反応したら良いのか分からないと言ったところだろうか。
モモちゃんの親は、躾とは名ばかりの虐待だ。
クソったれな親に地味な嫌がらせが降りかかる呪いをかけたれ。
何て心の中で『小指を机や棚に骨折するまでぶつけろ』と呪詛を吐いた。
「モモちゃんは、並外れた集中力があるから興味があるものなら直ぐに覚えちゃうかもしれないね。今は、それで良いよ。少しずつ、人の声にも耳を傾けられるようにしようね」
集中することが悪いわけではない。
寧ろ良いことだと思う。
でも、し過ぎてしまうと弊害も出てくるだろう。
こればかりは、訓練してゆっくりと『他人と合わせる』ことを覚えていくしかない。
一気にアレコレ教えたても、頭がついていかないだろう。
モモちゃんのペースに合わせて、出来るだけ焦らない様に常識を覚えて貰えるように工夫しないとと決意を新たにした。
「モモちゃん、ご飯出来たから手を洗おうか」
「何で?」
直ぐに食べられると思ったのか、モモちゃんの機嫌は悪い。
「モモちゃん、おーちゃんと遊んでいたでしょう?」
「うん」
「おーちゃんも、モモちゃんもボール以外に色んなものに触っているよね? そこには目に見えないバイキンがいて、手についているんだよ。もし、手を洗わずにご飯を食べたらお腹が痛くなったり、熱が出たりするかもしれないよ。しんどい思いしても良い?」
出来るだけ分かりやすく噛み砕いた言葉を使いながら、手を洗う重要性を伝えると、モモちゃんも腹痛や発熱、しんどさを体験するのは嫌だと判断したのか、素直に手を洗ってくれた。
おーちゃんは、数粒のカリカリをエサ入れに入れてあげる。
「じゃあ、食べようか。両手を合わせて頂きます」
「いただきます?」
頂きますが何を意味しているのか分からないなりに、オウム返しに反復するモモちゃんによく出来ましたと褒める。
今は、頂きますの意味を伝える必要はない。
それよりも食べ方が汚かった。
多分、食事のマナーも一般常識も教わってこなかったのだろう。
予想はしていたが、これは酷い。
教育テレビを見せながら、教えられることは教えないとダメそうだ。
遅れている勉強も教えたいところだが、まずは集団生活が出来るくらいの一般常識は知っていた方が良いだろう。
昼食後、モモちゃんにセサミストリートを見せて様子を見ることにした。
テレビをゆっくり鑑賞するのは初めてなのか、ジッと無言で食い入るように見ている。
多分、面白いのだと思う。
放置された鶯宿は、私に遊べとじゃれついてくる。
そんな鶯宿を片手間で遊びながら、お風呂の用意をしたり、夕飯の準備をして過ごした。
モモちゃんの集中力は人並み外れていると思うほどで、何度声を掛けても返事をしない。
それもモモちゃんの潜在能力なのだろう。
興味があれば、人並み以上の集中力を発揮するのは一種の才能と呼んでも差し支えないだろう。
私は、区切りが良いところでテレビの電源を落とした。
すると我に返ったのか、モモちゃんは私の方を振り返って怯えた目をしている。
「面白かった?」
怒るわけでもなく質問をする私に、モモちゃんは目をパチクリさせている。
「ぶたないの?」
「ぶたないよ。ずっとテレビを見てて疲れたでしょう。テレビを見ちゃダメとは言わないけど、30分に1回はテレビを見ない時間を作ろうね。目が悪くなるよ」
私の言葉に、モモちゃんは混乱しているのか、疑問符を頭に浮かべている。
モモちゃんの様子からして、集中し過ぎて聞いてなかった事に対して、何度も怒られぶたれた経験があるのだろう。
それに対して、私の反応は予想外でどう反応したら良いのか分からないと言ったところだろうか。
モモちゃんの親は、躾とは名ばかりの虐待だ。
クソったれな親に地味な嫌がらせが降りかかる呪いをかけたれ。
何て心の中で『小指を机や棚に骨折するまでぶつけろ』と呪詛を吐いた。
「モモちゃんは、並外れた集中力があるから興味があるものなら直ぐに覚えちゃうかもしれないね。今は、それで良いよ。少しずつ、人の声にも耳を傾けられるようにしようね」
集中することが悪いわけではない。
寧ろ良いことだと思う。
でも、し過ぎてしまうと弊害も出てくるだろう。
こればかりは、訓練してゆっくりと『他人と合わせる』ことを覚えていくしかない。
一気にアレコレ教えたても、頭がついていかないだろう。
モモちゃんのペースに合わせて、出来るだけ焦らない様に常識を覚えて貰えるように工夫しないとと決意を新たにした。
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一気に読んでしまいました。
琴陵姉妹の異世界日記を読んで
こちらの作品にきました。
人生リスタートの続きを書いて下さい。
桜木モモちゃん編の続きが読みたいです。
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よろしくお願いします。