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ハルモニア王国 王都
129.地獄の野営訓練
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私怨も若干混じりつつ、真面目に新人教育(仮)をスパルタで叩き上げている最中である。
どこの軍隊を育てているのか、と言われても仕方がない。
紅唐白が居ようが、ガンガン高レベルモンスターが続出している。
私がいる時点で、お察しの通りか。
索敵と隠密のレベル30以上あっても、関係なしとばかりに襲ってくる。
幸運値を分散させているのに、『意味なくね?』と首を傾げてもおかしくない状況にいるのに、『邪神の呪い』で納得できる不思議ワード。
サイエスに来た当初の私と同じく、敵を倒しても直ぐ次の敵に遭遇するという悪環境は、これぞアーラマンユの呪いだと言っても過言ではない!
あの邪神っ、いつか必ずぶっ殺してやる。
「総員、戦闘態勢を取れ! 前衛壁役、強化を発動して魔物を通させるな。付与師は、前衛に痛覚遮断・衝撃遮断・攻撃強化魔法を付与しろ。ヒーラーは、前線の負傷者を優先に治癒で回復しつつ回避に専念。魔術師は、Waterballで敵の口と鼻を塞げ! 絶対に火魔法を使うなよ。使った奴は、私がその場で地獄に叩き落とすからな!」
団体さんWelcomeな状態で、モンスターの入れ食いが朝から晩まで続いている。
全然、嬉しくはないがな!
初日で何人か脱落すると思ったのに、しぶとく全員生き残っている。
全員が冒険者登録は済ませているので、森の中で死のうが自己責任である。
彼らは、現在仮雇用だ。
死なせるわけには行かない。
「「「「「はい!」」」」」
レベル一桁の人間が、レベル三桁台のモンスターを狩りまくる現実は地獄としか言いようがない。
常に魔力を使わせ極限状態を保つ。
レベルが低いなりの戦い方を叩き込む。
火力が弱いなら頭を使って、確実に安全な方法で敵を倒す。
城壁から一番近い森で野営訓練をした。
戻ろうにもモンスターが邪魔してくれるので戻れないのだ。
結果、やけくそで野営したったわ!!
寝る時は、虫よけと魔物除けを散布し多重結界で寝床を確保しきっちり八時間の就寝。
小休憩や食事時は、拡張空間ホームを通じて決済書類をアンナに大量に押し付けられた。
Cremaの最高責任者は私だが、私でなくても決済できるようにアンナに会社を譲ったのに。
これでは、何のために後任を育てたのか分からないではないか。
拡張空間ホームをこんな使い方しないで欲しい。
「くそぉぉお! アンナの奴、私にばっか仕事を押し付けやがって。何が、『合宿の間に溜まった書類です』だ。全部アンナ一人で決済出来るものばかりじゃん。免許取得出来なかった嫌がらせか!?」
クソクソ言いながら、鬼気迫る勢いで書類を片っ端から片付けていく。
サイン+捺印が面倒臭い。
適当にしたら、時々アンナが滅茶苦茶な企画を潜り込ませているので、それも出来ない。
お蔭で速読スキルが、いつの間にか取得していた。
「お疲れ様です。ヒロコ様、外にも聞こえてますよ」
そう言いながらコーヒーを出されて、私の集中力は一気にダウンした。
赤く長い髪を一つに束ね、爽やかな笑みと共に私の一歩後ろに控える姿はまさに軍人そのもの。
美形に労わられても、全然嬉しくない。
「イーシェンか、コーヒーありがとう。明日も強化合宿は続くんだから、さっさと寝た方が良いよ」
「会頭が働いているのに、部下は休めませんよ」
イーシェンにそう指摘されて、私は一理あるなと頷いた。
「私の事は気にしないで。いざとなればドーピングしてでも、この演習を完遂させるから」
しなかったら、アンナにどんな嫌味を言われるか分からない。
「行き成り戦闘訓練でしたから、命が幾つあっても足りませんよ……」
イーシェンは、遠い目をして言った。
「私も同じ心境だよ。何で私よりもレベルの高い奴らが、うようよ出くわすのかなぁ。キヨちゃんが居てくれなかったら、合宿初日で全滅してた」
私の膝ですよすよと眠る紅唐白を撫でながら、思いっきり苦い顔で溜息を吐いた。
「そうですね。全滅しかけそうになる度に、雷で相手を動けなくさせて頂きましたから。流石は、太陽神の神使様ですね」
と返された。
天照大御神の信者ゲットだぜ。
「キヨちゃんがいる時点で、最低限の身の安全は確保されているからなぁ。多少手荒な訓練をしても問題ないって事だろうね。人を気遣えるだけの余裕があるなら、もう少し厳しくしても良いかな?」
「それは勘弁して下さい」
「嘘だよ。でも、まあ……それは襲ってくるモンスター達に言ってくれ」
風呂も入れない一週間の野営合宿は、無事終了した。
何故か精鋭の軍隊並みに成長した新人を見て、アンナが目を輝かせて第二弾の野営合宿を計画しようとして大喧嘩したのだった。
どこの軍隊を育てているのか、と言われても仕方がない。
紅唐白が居ようが、ガンガン高レベルモンスターが続出している。
私がいる時点で、お察しの通りか。
索敵と隠密のレベル30以上あっても、関係なしとばかりに襲ってくる。
幸運値を分散させているのに、『意味なくね?』と首を傾げてもおかしくない状況にいるのに、『邪神の呪い』で納得できる不思議ワード。
サイエスに来た当初の私と同じく、敵を倒しても直ぐ次の敵に遭遇するという悪環境は、これぞアーラマンユの呪いだと言っても過言ではない!
あの邪神っ、いつか必ずぶっ殺してやる。
「総員、戦闘態勢を取れ! 前衛壁役、強化を発動して魔物を通させるな。付与師は、前衛に痛覚遮断・衝撃遮断・攻撃強化魔法を付与しろ。ヒーラーは、前線の負傷者を優先に治癒で回復しつつ回避に専念。魔術師は、Waterballで敵の口と鼻を塞げ! 絶対に火魔法を使うなよ。使った奴は、私がその場で地獄に叩き落とすからな!」
団体さんWelcomeな状態で、モンスターの入れ食いが朝から晩まで続いている。
全然、嬉しくはないがな!
初日で何人か脱落すると思ったのに、しぶとく全員生き残っている。
全員が冒険者登録は済ませているので、森の中で死のうが自己責任である。
彼らは、現在仮雇用だ。
死なせるわけには行かない。
「「「「「はい!」」」」」
レベル一桁の人間が、レベル三桁台のモンスターを狩りまくる現実は地獄としか言いようがない。
常に魔力を使わせ極限状態を保つ。
レベルが低いなりの戦い方を叩き込む。
火力が弱いなら頭を使って、確実に安全な方法で敵を倒す。
城壁から一番近い森で野営訓練をした。
戻ろうにもモンスターが邪魔してくれるので戻れないのだ。
結果、やけくそで野営したったわ!!
寝る時は、虫よけと魔物除けを散布し多重結界で寝床を確保しきっちり八時間の就寝。
小休憩や食事時は、拡張空間ホームを通じて決済書類をアンナに大量に押し付けられた。
Cremaの最高責任者は私だが、私でなくても決済できるようにアンナに会社を譲ったのに。
これでは、何のために後任を育てたのか分からないではないか。
拡張空間ホームをこんな使い方しないで欲しい。
「くそぉぉお! アンナの奴、私にばっか仕事を押し付けやがって。何が、『合宿の間に溜まった書類です』だ。全部アンナ一人で決済出来るものばかりじゃん。免許取得出来なかった嫌がらせか!?」
クソクソ言いながら、鬼気迫る勢いで書類を片っ端から片付けていく。
サイン+捺印が面倒臭い。
適当にしたら、時々アンナが滅茶苦茶な企画を潜り込ませているので、それも出来ない。
お蔭で速読スキルが、いつの間にか取得していた。
「お疲れ様です。ヒロコ様、外にも聞こえてますよ」
そう言いながらコーヒーを出されて、私の集中力は一気にダウンした。
赤く長い髪を一つに束ね、爽やかな笑みと共に私の一歩後ろに控える姿はまさに軍人そのもの。
美形に労わられても、全然嬉しくない。
「イーシェンか、コーヒーありがとう。明日も強化合宿は続くんだから、さっさと寝た方が良いよ」
「会頭が働いているのに、部下は休めませんよ」
イーシェンにそう指摘されて、私は一理あるなと頷いた。
「私の事は気にしないで。いざとなればドーピングしてでも、この演習を完遂させるから」
しなかったら、アンナにどんな嫌味を言われるか分からない。
「行き成り戦闘訓練でしたから、命が幾つあっても足りませんよ……」
イーシェンは、遠い目をして言った。
「私も同じ心境だよ。何で私よりもレベルの高い奴らが、うようよ出くわすのかなぁ。キヨちゃんが居てくれなかったら、合宿初日で全滅してた」
私の膝ですよすよと眠る紅唐白を撫でながら、思いっきり苦い顔で溜息を吐いた。
「そうですね。全滅しかけそうになる度に、雷で相手を動けなくさせて頂きましたから。流石は、太陽神の神使様ですね」
と返された。
天照大御神の信者ゲットだぜ。
「キヨちゃんがいる時点で、最低限の身の安全は確保されているからなぁ。多少手荒な訓練をしても問題ないって事だろうね。人を気遣えるだけの余裕があるなら、もう少し厳しくしても良いかな?」
「それは勘弁して下さい」
「嘘だよ。でも、まあ……それは襲ってくるモンスター達に言ってくれ」
風呂も入れない一週間の野営合宿は、無事終了した。
何故か精鋭の軍隊並みに成長した新人を見て、アンナが目を輝かせて第二弾の野営合宿を計画しようとして大喧嘩したのだった。
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