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始まりの町
22.悪夢再び
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容子厳選のマットで、久しぶりに熟睡した。
腕時計で時間を確認すると、丁度7時になった頃だった。
3人用テントにダブルのマットを敷いて寝られるのは、存外贅沢な気もする。
1人で使用すると考えたら大きすぎるが、容子の事だ。
大は小を兼ねると切り返してくるだろう。
さて、容子達は寝ているし、今日はお姉ちゃんが食事を作ってあげましょう!
音を立てないようにテントから出て、トイレ用のテントで寝間着から普段着に着替える。
水色のYシャツに白パンツ、黒のスニーカーという出で立ちは、どこから見ても冒険者には見えない。
「この恰好で移動すると、怪しさ満点だよね」
根本的にこの世界の服ではないのだ。
シャツとパンツが、一番周りから浮きにくいという理由だけで選んでいるに過ぎない。
「セブールに入ったら、ケチらず現地の服や防具を購入した方が良いのかもしれないなぁ」
果たして、容子がこの世界の服や防具を見てどんな反応を示すのか薄々予想は付くけれど。
文句が出ても、命あっての物種なのだ。
自前で作れるまでは、色々と妥協して貰うしかないだろう。
私はトイレ用テントからに出て、周囲一面に念のため虫よけと魔物除け薬を振りかける。
良品を使用したので、数日はモンスターも虫も寄り付かないだろう。
テーブルと桶を出し、水魔法で桶に氷水を溜める。
歯磨きと洗顔をしたのち、清掃をして基礎化粧品を塗りたくった。
魔法が使えるようになり良かった事と言えば、肌の調子が良いくらいだろうか。
多少なりとも、ストレス解消できる相手がいるからだろうか?
化粧をしても見せる相手も居なければ、気取る相手もいない。
どうせ汗で取れるのだ。
紫外線カットのクリームと口紅だけで十分だろう。
喪女だから、これで良いのだ。
汚れた水は、その辺に捨てておく。
アイテムボックスから洗剤とスポンジを取出して、桶を軽く洗って新しい水を張っておいた。
容子が起きたら、それで顔を洗って貰おう。
朝食は何にしようかな~。
容子が作ってくれた一週間分の食料を出せば済む話なのだけども、食費が二人分ともなれば、セブールまでは持たない。
作れるときは作るべし。
料理スキルないが、簡単なものなら作れる。
まあ、何とかなるでしょう。
丼ぶり・サラダ用の皿を二つずつ出して、ザラザラザラとコーンフレークを入れる。
私が愛用しているドライフルーツたっぷりのコーンフレークだ。
3割引きシールが貼られたヨーグルドをテーブルに置き、手でちぎったレタスと生ハムを盛り付ける。
ネズミの国ハロウィン限定のランチョンマットを敷いて、丼ぶり・サラダを設置して完成だ。
「……お湯を沸かすか」
テーブルを見て、何だか味気ない気持ちになる。
アイテムボックスからティーポットセットを取出し、水魔法と火魔法の混合魔法で熱湯を作って入れた。
マグカップには、フリーズドライされた野菜スープを入れてお湯を注げば即席スープの完成である。
サクラ用にデザート皿に、コンフレークを入れておいた。
朝食としては十分だろう。
……あれ? 私調理してなくね?
まあ、良いか。
美味しく食べれば問題なし!
お湯が冷める前に、容子とサクラを起こそう。
「容子、サクラご飯だよー」
テントのカーテンをめくり声を掛けると、サクラはすぐ起きてピョンピョンと私の方に飛び跳ねてきた。
可愛いやつめ。
「容子、朝だよ。スープ冷めるよ!! おーきーてー」
容子は、布団を抱き枕にして涎を垂らして寝ている。
寝汚さを今更どうこう言うつもりはないが、一応危険地帯で寝ていることを容子は自覚するべきである。
私は、スーッと息を吸い込み声を張り上げる。
「起きろっつってんだろうがよ!」
胸倉を掴みバシバシバシと往復ビンタを三回したら、逆ギレされた。
「いたっ、痛いぃ! ちょっ、朝っぱらから何すんのよ!」
「何度声掛けても起きないからでしょう。朝飯用意したから早く着替えて顔洗え」
容子の頬が少し赤くなっているが、治癒をかけるまでもないので放置。
容子が、食卓に着くまでに掛かった時間は約20分。
お湯が冷める前に、熱湯入りのティーポットをアイテムボックスに収納した私は偉い。
「もうちょっと、優しく起こしてくれても良いじゃない」
「十分優しいと思うけど? 誰かさんと違って弱っている腰を重点的に攻撃してこないだけマシよね」
ジロリと睨めば視線が泳いでいる。
やっぱり態とやっていたのか。
今度から、容子の起こし方は往復ビンタに決定だ!
アイテムボックスからティーポットを取出し、それぞれのコップに注ぐ。
「熱いから気を付けてね」
ヨーグルトをコンフレークの上に均等に載せていると、
「これが朝食ってしょぼくない?」
とボソッと言われた。
「お前、目くそ鼻くそっていう諺があるだろう。この間、私にお茶漬けと冷凍から揚げを出したお前に言われたくない。黙って食え」
ガリザリとコーンフレークを噛み砕く音が、静かな森の中で異様な音を立てている。
この世界の硬いパンよりはマシか。
「容子の言われた通り、部屋にあったママゾンの箱を片っ端から収納したけどさ。あんたの武器ってなんなの?」
「ガスガンのドラゴンフライとエアガンのM85」
「それ絶対R18指定の奴でしょう」
「殺傷能力高いよ! 乱発出来るし、遠距離攻撃でズババンといけちゃう優れもの」
ぶるんっと豊満な胸を揺らしながら、キメ顔で言うセリフじゃない。
「おい、ちょっと待て。容子、射撃スキルないでしょう。先日、射撃スキルを所持していなかった私に残弾数についてネチネチネチネチネチネチしつこく無駄遣いしたと罵ったことお覚えで? 何で、お前が、無駄弾使う発言しているの?」
理不尽と容子を睨めば、彼女は事もなげにこう言った。
「この世の理は理不尽に満ち溢れているのだよ」
自分の事棚に上げて、それを言うのか。
我が妹ながら、本当に嫌な奴だ。
「私は剣術1があるから、接近戦で戦える。でも、容子は戦闘系スキルを所持していないんだよ。後方でドラゴンフライとM85を使われたら、接近戦している私まで銃の餌食になるでしょうが!!!」
「宥子は、テーザー銃とHK416Cカスタムを使いこなす練習すればいいだけでは? 索敵使って、敵の位置を特定場所に射程内から、どちらかがズドーンすれば問題なくない? 近接戦になった時は、私はサクラちゃんと一緒に木の上にでも非難するから存分に暴れてよ」
私は狂戦士ですか?
容子の言う事は、一理ある。
近接戦で容子を守りながら戦うのは無理だ。
何言っても、多分彼女は聞き入れないだろう。
何も言うまい。
容子の奔放には諦めた。
「分かった。分かったよ。ポイント入手したら、速攻で射撃は取得してね」
「了解」
「まずは、これらを片づけようか」
テントやテーブル、椅子はそのままアイテムボックスに収納した。
簡易トイレは、土魔法で穴を掘り埋めておいた。
野宿地を出発して10分。
索敵をフル活用していたのに、悪運様相変わらず良い仕事してくれる
有難迷惑って言葉を知らないのだろうか?
キラービーの大群と遭遇した。
遠距離云々じゃねぇよ!
鑑定でレベルを見ると、平均レベルが13~15と低いが、大群となればこっちが殺られる。
足手まといが1人いるので、逃走したくても、まず無理だ。
邪神が、モンスターを嗾けている気がするのは気のせいじゃないと思いたい。
「容子、キラービー達がこっちに気付いた! 連射出来るんだよね? 身代わり人形持ってる?」
「勿論! 連射出来るから安心して。宥子は、HK416Cカスタムで一匹ずつ片づけて」
「了解!」
容子の撃ち漏らしたキラービーをHK416Cカスタムで撃ち落としていく。
射撃1あるだけでも、当たる確率が上がり、身体のどこかには当たるようになった。
羽に当たれば地面に落ちて始末し易いのだが、そう簡単にはいかないのが現実だ。
ダース単位でアイテムボックスから弾を出し、足元に積み上げる。
ババババッと凄い速度で弾が減っているが、愚昧は撃ち漏らし多すぎる。
腹や足に当たったものは、怒ってこっちに近づいてくるので近距離で頭を狙い撃つ。
私は、数を減らすことに専念した。
キラービーとの戦闘は、一時間ほど続いた。
敵の数も後数匹になり助かったと思ったら、女王蜂が登場した。
「ですよねー! こうなると思ったよっ。容子は、女王蜂に向かって乱射! サクラは、容子に治癒。私は、雑魚を片付けてから加勢する」
「りょ!」
サクラも分かったというように、私の肩から容子の肩へ移動し治癒をかけている。
私の言いたいことが、ちゃんと伝わったようだ。
容子の奮戦もあって、キラービー達は一定の距離までしか近付けないようだ。
耳障りな羽音に苦虫を噛み潰しながら一発ずつテーザー銃で撃ち落とす。
最後に残った女王蜂は、レベル42と油断ならない相手だ。
レベル差を考えれば、絶望的だが負ける気はしない。
大量のキラビーのお陰で射撃の熟練度が上がった。
「科学の力を舐めんなぁあっ!」
テーザー銃を脳天叩き込み、高圧電流を流したら感電したのかピクピクと痙攣している。
鑑定で確認すると、女王蜂は状態異常・麻痺になっていた。
「よし、容子。これで止め刺してこい」
アイテムボックスから取り出した包丁を容子に手渡した。
「私が、殺るの? 女王蜂が、途中で動き出したら私死ぬんだけど」
「今は、麻痺で動けないから大丈夫。経験値欲しいんでしょう。魔法使えるようになりたいんでしょう。止めをさせば、多く経験値得られるかもしれないよ。ゲームを模した世界だけに」
私がそう言うと、容子は嫌そうな顔をしながら包丁を手にして女王蜂の頸を斬り落とした。
頸を斬り落とすまで時間を要し、いつ女王蜂の麻痺が解けるのか冷や冷やしたが、倒せたので結果オーライと言う事で良しとしよう。
容子の乱射でHPが削られていたこともあり、私たちは勝利することが出来たと言っても過言ではないだろう。
死骸がドロップ品に変わり、容子に100円ショップで購入した洗濯籠にドロップ品を入れるよう指示を出した。
蜂蜜や毒針、羽なんかが沢山ドロップされている中、一際大きな石が転がっていた。
オパールみたいで綺麗だ。
鑑定すると女王蜂の心臓と出た。
ロイヤルゼリーや蜂の子(死骸)も手に入り、容子はウヘヘヘと下衆い笑みを浮かべている。
散らばったお金も集め終えて、アイテムボックスに収納すると戦利品は以下の通りとなった。
蜂の羽×1068枚
蜂の子(死骸)×302匹
ロイヤルゼリー×102個
毒針×534個
黄色の魔石(小)×32個
青い魔石(小)×28個
赤い魔石(中)×3個
赤い魔石(大)×1個
女王蜂の心臓×1個
金貨153枚
銀貨89034枚
銅貨28032枚
日本円で総額93,367,200円か。
二人+一匹で戦って、得たお金としては安すぎる。
素材が、どれくらいの値で売れるか期待したいところだ。
赤い魔石(大)は、恐らく女王蜂の魔石だろう。
一体どのくらいの価値があるのか気になる。
キラービーは羽が2枚だったから、534匹倒したことになるのか。
改めて見ると、えげつないな。
容子のM85とドラゴンフライがあって良かった。
弾も爆買いしていたから、無駄撃ちしても何とか生き残れた。
虫よけと魔物除けの薬を蒔いて一息吐くことにした。
さてさて、ステータスはどうなっているのやら。
腕時計で時間を確認すると、丁度7時になった頃だった。
3人用テントにダブルのマットを敷いて寝られるのは、存外贅沢な気もする。
1人で使用すると考えたら大きすぎるが、容子の事だ。
大は小を兼ねると切り返してくるだろう。
さて、容子達は寝ているし、今日はお姉ちゃんが食事を作ってあげましょう!
音を立てないようにテントから出て、トイレ用のテントで寝間着から普段着に着替える。
水色のYシャツに白パンツ、黒のスニーカーという出で立ちは、どこから見ても冒険者には見えない。
「この恰好で移動すると、怪しさ満点だよね」
根本的にこの世界の服ではないのだ。
シャツとパンツが、一番周りから浮きにくいという理由だけで選んでいるに過ぎない。
「セブールに入ったら、ケチらず現地の服や防具を購入した方が良いのかもしれないなぁ」
果たして、容子がこの世界の服や防具を見てどんな反応を示すのか薄々予想は付くけれど。
文句が出ても、命あっての物種なのだ。
自前で作れるまでは、色々と妥協して貰うしかないだろう。
私はトイレ用テントからに出て、周囲一面に念のため虫よけと魔物除け薬を振りかける。
良品を使用したので、数日はモンスターも虫も寄り付かないだろう。
テーブルと桶を出し、水魔法で桶に氷水を溜める。
歯磨きと洗顔をしたのち、清掃をして基礎化粧品を塗りたくった。
魔法が使えるようになり良かった事と言えば、肌の調子が良いくらいだろうか。
多少なりとも、ストレス解消できる相手がいるからだろうか?
化粧をしても見せる相手も居なければ、気取る相手もいない。
どうせ汗で取れるのだ。
紫外線カットのクリームと口紅だけで十分だろう。
喪女だから、これで良いのだ。
汚れた水は、その辺に捨てておく。
アイテムボックスから洗剤とスポンジを取出して、桶を軽く洗って新しい水を張っておいた。
容子が起きたら、それで顔を洗って貰おう。
朝食は何にしようかな~。
容子が作ってくれた一週間分の食料を出せば済む話なのだけども、食費が二人分ともなれば、セブールまでは持たない。
作れるときは作るべし。
料理スキルないが、簡単なものなら作れる。
まあ、何とかなるでしょう。
丼ぶり・サラダ用の皿を二つずつ出して、ザラザラザラとコーンフレークを入れる。
私が愛用しているドライフルーツたっぷりのコーンフレークだ。
3割引きシールが貼られたヨーグルドをテーブルに置き、手でちぎったレタスと生ハムを盛り付ける。
ネズミの国ハロウィン限定のランチョンマットを敷いて、丼ぶり・サラダを設置して完成だ。
「……お湯を沸かすか」
テーブルを見て、何だか味気ない気持ちになる。
アイテムボックスからティーポットセットを取出し、水魔法と火魔法の混合魔法で熱湯を作って入れた。
マグカップには、フリーズドライされた野菜スープを入れてお湯を注げば即席スープの完成である。
サクラ用にデザート皿に、コンフレークを入れておいた。
朝食としては十分だろう。
……あれ? 私調理してなくね?
まあ、良いか。
美味しく食べれば問題なし!
お湯が冷める前に、容子とサクラを起こそう。
「容子、サクラご飯だよー」
テントのカーテンをめくり声を掛けると、サクラはすぐ起きてピョンピョンと私の方に飛び跳ねてきた。
可愛いやつめ。
「容子、朝だよ。スープ冷めるよ!! おーきーてー」
容子は、布団を抱き枕にして涎を垂らして寝ている。
寝汚さを今更どうこう言うつもりはないが、一応危険地帯で寝ていることを容子は自覚するべきである。
私は、スーッと息を吸い込み声を張り上げる。
「起きろっつってんだろうがよ!」
胸倉を掴みバシバシバシと往復ビンタを三回したら、逆ギレされた。
「いたっ、痛いぃ! ちょっ、朝っぱらから何すんのよ!」
「何度声掛けても起きないからでしょう。朝飯用意したから早く着替えて顔洗え」
容子の頬が少し赤くなっているが、治癒をかけるまでもないので放置。
容子が、食卓に着くまでに掛かった時間は約20分。
お湯が冷める前に、熱湯入りのティーポットをアイテムボックスに収納した私は偉い。
「もうちょっと、優しく起こしてくれても良いじゃない」
「十分優しいと思うけど? 誰かさんと違って弱っている腰を重点的に攻撃してこないだけマシよね」
ジロリと睨めば視線が泳いでいる。
やっぱり態とやっていたのか。
今度から、容子の起こし方は往復ビンタに決定だ!
アイテムボックスからティーポットを取出し、それぞれのコップに注ぐ。
「熱いから気を付けてね」
ヨーグルトをコンフレークの上に均等に載せていると、
「これが朝食ってしょぼくない?」
とボソッと言われた。
「お前、目くそ鼻くそっていう諺があるだろう。この間、私にお茶漬けと冷凍から揚げを出したお前に言われたくない。黙って食え」
ガリザリとコーンフレークを噛み砕く音が、静かな森の中で異様な音を立てている。
この世界の硬いパンよりはマシか。
「容子の言われた通り、部屋にあったママゾンの箱を片っ端から収納したけどさ。あんたの武器ってなんなの?」
「ガスガンのドラゴンフライとエアガンのM85」
「それ絶対R18指定の奴でしょう」
「殺傷能力高いよ! 乱発出来るし、遠距離攻撃でズババンといけちゃう優れもの」
ぶるんっと豊満な胸を揺らしながら、キメ顔で言うセリフじゃない。
「おい、ちょっと待て。容子、射撃スキルないでしょう。先日、射撃スキルを所持していなかった私に残弾数についてネチネチネチネチネチネチしつこく無駄遣いしたと罵ったことお覚えで? 何で、お前が、無駄弾使う発言しているの?」
理不尽と容子を睨めば、彼女は事もなげにこう言った。
「この世の理は理不尽に満ち溢れているのだよ」
自分の事棚に上げて、それを言うのか。
我が妹ながら、本当に嫌な奴だ。
「私は剣術1があるから、接近戦で戦える。でも、容子は戦闘系スキルを所持していないんだよ。後方でドラゴンフライとM85を使われたら、接近戦している私まで銃の餌食になるでしょうが!!!」
「宥子は、テーザー銃とHK416Cカスタムを使いこなす練習すればいいだけでは? 索敵使って、敵の位置を特定場所に射程内から、どちらかがズドーンすれば問題なくない? 近接戦になった時は、私はサクラちゃんと一緒に木の上にでも非難するから存分に暴れてよ」
私は狂戦士ですか?
容子の言う事は、一理ある。
近接戦で容子を守りながら戦うのは無理だ。
何言っても、多分彼女は聞き入れないだろう。
何も言うまい。
容子の奔放には諦めた。
「分かった。分かったよ。ポイント入手したら、速攻で射撃は取得してね」
「了解」
「まずは、これらを片づけようか」
テントやテーブル、椅子はそのままアイテムボックスに収納した。
簡易トイレは、土魔法で穴を掘り埋めておいた。
野宿地を出発して10分。
索敵をフル活用していたのに、悪運様相変わらず良い仕事してくれる
有難迷惑って言葉を知らないのだろうか?
キラービーの大群と遭遇した。
遠距離云々じゃねぇよ!
鑑定でレベルを見ると、平均レベルが13~15と低いが、大群となればこっちが殺られる。
足手まといが1人いるので、逃走したくても、まず無理だ。
邪神が、モンスターを嗾けている気がするのは気のせいじゃないと思いたい。
「容子、キラービー達がこっちに気付いた! 連射出来るんだよね? 身代わり人形持ってる?」
「勿論! 連射出来るから安心して。宥子は、HK416Cカスタムで一匹ずつ片づけて」
「了解!」
容子の撃ち漏らしたキラービーをHK416Cカスタムで撃ち落としていく。
射撃1あるだけでも、当たる確率が上がり、身体のどこかには当たるようになった。
羽に当たれば地面に落ちて始末し易いのだが、そう簡単にはいかないのが現実だ。
ダース単位でアイテムボックスから弾を出し、足元に積み上げる。
ババババッと凄い速度で弾が減っているが、愚昧は撃ち漏らし多すぎる。
腹や足に当たったものは、怒ってこっちに近づいてくるので近距離で頭を狙い撃つ。
私は、数を減らすことに専念した。
キラービーとの戦闘は、一時間ほど続いた。
敵の数も後数匹になり助かったと思ったら、女王蜂が登場した。
「ですよねー! こうなると思ったよっ。容子は、女王蜂に向かって乱射! サクラは、容子に治癒。私は、雑魚を片付けてから加勢する」
「りょ!」
サクラも分かったというように、私の肩から容子の肩へ移動し治癒をかけている。
私の言いたいことが、ちゃんと伝わったようだ。
容子の奮戦もあって、キラービー達は一定の距離までしか近付けないようだ。
耳障りな羽音に苦虫を噛み潰しながら一発ずつテーザー銃で撃ち落とす。
最後に残った女王蜂は、レベル42と油断ならない相手だ。
レベル差を考えれば、絶望的だが負ける気はしない。
大量のキラビーのお陰で射撃の熟練度が上がった。
「科学の力を舐めんなぁあっ!」
テーザー銃を脳天叩き込み、高圧電流を流したら感電したのかピクピクと痙攣している。
鑑定で確認すると、女王蜂は状態異常・麻痺になっていた。
「よし、容子。これで止め刺してこい」
アイテムボックスから取り出した包丁を容子に手渡した。
「私が、殺るの? 女王蜂が、途中で動き出したら私死ぬんだけど」
「今は、麻痺で動けないから大丈夫。経験値欲しいんでしょう。魔法使えるようになりたいんでしょう。止めをさせば、多く経験値得られるかもしれないよ。ゲームを模した世界だけに」
私がそう言うと、容子は嫌そうな顔をしながら包丁を手にして女王蜂の頸を斬り落とした。
頸を斬り落とすまで時間を要し、いつ女王蜂の麻痺が解けるのか冷や冷やしたが、倒せたので結果オーライと言う事で良しとしよう。
容子の乱射でHPが削られていたこともあり、私たちは勝利することが出来たと言っても過言ではないだろう。
死骸がドロップ品に変わり、容子に100円ショップで購入した洗濯籠にドロップ品を入れるよう指示を出した。
蜂蜜や毒針、羽なんかが沢山ドロップされている中、一際大きな石が転がっていた。
オパールみたいで綺麗だ。
鑑定すると女王蜂の心臓と出た。
ロイヤルゼリーや蜂の子(死骸)も手に入り、容子はウヘヘヘと下衆い笑みを浮かべている。
散らばったお金も集め終えて、アイテムボックスに収納すると戦利品は以下の通りとなった。
蜂の羽×1068枚
蜂の子(死骸)×302匹
ロイヤルゼリー×102個
毒針×534個
黄色の魔石(小)×32個
青い魔石(小)×28個
赤い魔石(中)×3個
赤い魔石(大)×1個
女王蜂の心臓×1個
金貨153枚
銀貨89034枚
銅貨28032枚
日本円で総額93,367,200円か。
二人+一匹で戦って、得たお金としては安すぎる。
素材が、どれくらいの値で売れるか期待したいところだ。
赤い魔石(大)は、恐らく女王蜂の魔石だろう。
一体どのくらいの価値があるのか気になる。
キラービーは羽が2枚だったから、534匹倒したことになるのか。
改めて見ると、えげつないな。
容子のM85とドラゴンフライがあって良かった。
弾も爆買いしていたから、無駄撃ちしても何とか生き残れた。
虫よけと魔物除けの薬を蒔いて一息吐くことにした。
さてさて、ステータスはどうなっているのやら。
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