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始まりの町
14.どっと疲れました
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宿に着き看板娘から部屋の鍵を受け取り、
「起きてくるまで部屋に近寄らないで」
と頼んだ。
今から自宅に寝に帰って、戻ってくる時どれくらい時間が経過しているか分からないからだ。
内鍵があるとはいえ、下手に干渉されて居ないと分かれば面倒臭いことになる。
宛がわれた部屋に入り内鍵をして、漸く自宅への帰還が出来た。
「ただいまー」
「この馬鹿姉!! 何が1週間くらいだ。もう12日だ! 3日前に作った二人分の夕飯が無駄になったじゃないの。翌日、私のお腹に消えたけど! 二日続けて同じもの食べさせられるのは勘弁してよねっ」
容子は、ギューギューッと私の腰にしがみついてきた。
海老反りになる私。
「ぎゃぁああっ! 痛い痛いっ。止めて! 遅れたのは、色々事情があるんだよ。不可抗力だぞ、妹よ」
バシバシと容子の背中を叩き、ベリッと引っぺがした。
帰る度にエビ反り抱き着きは止めてくれ。
私の腰痛が悪化するではないか。
「何があったか話すから、リビングに移動しよう。ご飯も食べたいし」
「お茶漬で良い?」
命がけで働いてきた姉に対して茶漬けって……テラ酷す。
「私は、夕飯まだなんだよ。お腹にたまるものが食べたい」
「今何時だと思ってんの? 15時だよ。まだ夕飯作ってないし。冷凍のから揚げチンしてあげるがから、それで我慢しな」
「はぁい」
から揚げだけでは腹は膨れない。
だが、ここで文句言えば嫌がらせ飯になってしまう。
怒らせて被害を被るのは避けたいので、私は口を噤むことにした。
「シャワー浴びてくるわ」
本当はゆっくりお風呂に入りたいが、疲れているし早く寝たい。
「その間に用意しとくよ。10分以内に上がって来てね」
「了解」
ショルダーバッグをソファーに置いて、風呂場へ向う。
シャワーを浴びていると、ギャーッと容子の悲鳴が聞こえてきた。
慌てて頭と身体を洗い、風呂場から飛び出てリビングに直行すると、サクラを掌に乗っけて頬ずりしている容子がいた。
「……さっきの悲鳴は何?」
「いやぁ、あまりにも可愛くって。これスライム? 何かピンクで可愛いんですけど!」
このツルツルもちもち感が堪りません。
ぬふふふっと変な笑いをする容子にドン引きだ。
「ヒールベビースライムって種族だよ。今日、菓子パン食べているとき出て来て餌付けしたら契約させられた」
「へー、甘いの好きなんだね。じゃあ、クッキーとか食べるかな?」
私の言葉なんて殆ど聞いちゃいない。
契約した=宥子のペットになった=容子のペットという脳内変換でもしたのだろうか?
私のご飯そっちのけで容子は、サクラにお菓子を与えることしか頭にないようだ。
一応、用意はしてくれていたみたいだけど。
お茶漬けの素がご飯の上にかかっているだけで、から揚げすらテーブルの上にない。
「妹よ、私のから揚げは? 後お茶」
「自分で用意しなよ。私は、サクラちゃんにご飯あげるので手が離せないの」
うん、分かってた。
あんた、爬虫類とか大好きだもんね。
あの蛇ちゃん達に頬ずりするくらい好きだもの。
サクラの感触は、容子の好みにド直球だと分かってた。
でも、命がけで戦って帰って来た姉ちゃんのご飯の用意はしてくれても良いんじゃないか?
文句言っても凹まされるだけなので、急須にお茶を入れつつレンジでから揚げを暖めた。
冷蔵庫から缶ビールを出そうとしたが、何故か発泡酒しかない。
「ビールは?」
「ああ、高いから発泡酒で我慢して」
「ビール買えるくらいのお金はあるでしょう?」
「あるけど、異世界で活動していくんだから装備にお金かかるじゃん。節約出来るところはしないと! だから、今後は発泡酒ね」
異論は認めないと容子の笑顔が怖い。
「うぃっす」
反論したら、ご飯が更に質素になるのでお口チャック。
「サクラを契約した時に、サクラの感情が流れ込んできたんだけど。赤白ちゃんと紅白ちゃんからは何も感じないんだよねぇ」
ゲージを見るが、二匹とも住処に籠って出てこない。
「嫌われてるんじゃないの?」
容子は、そう言いながらサクラにせっせとクッキーを与えている。
サクラも美味しいのか、時折身体を震わせながら食べていた。
発泡酒を片手に、から揚げを食べつつ、お茶漬けをかっ食らう。 やっぱりY社のビールか、S社のビールが飲みたかった。
一通り食べ終えて片付けも済ませて、容子に声を掛ける。
「そろそろサクラを返してくれない? ひと眠りしたらサイエスに出かけるから」
チッと舌打ちが聞こえたが知らない。
サクラを受け取り、蛇達にお休みと声を掛けるが無反応。
ちょっと悲しい。
こんな時こそ寝るに限る!
自室に戻り十分過ぎるくらい寝た私を容子が叩き起こしに来るまで後10時間。
「起きてくるまで部屋に近寄らないで」
と頼んだ。
今から自宅に寝に帰って、戻ってくる時どれくらい時間が経過しているか分からないからだ。
内鍵があるとはいえ、下手に干渉されて居ないと分かれば面倒臭いことになる。
宛がわれた部屋に入り内鍵をして、漸く自宅への帰還が出来た。
「ただいまー」
「この馬鹿姉!! 何が1週間くらいだ。もう12日だ! 3日前に作った二人分の夕飯が無駄になったじゃないの。翌日、私のお腹に消えたけど! 二日続けて同じもの食べさせられるのは勘弁してよねっ」
容子は、ギューギューッと私の腰にしがみついてきた。
海老反りになる私。
「ぎゃぁああっ! 痛い痛いっ。止めて! 遅れたのは、色々事情があるんだよ。不可抗力だぞ、妹よ」
バシバシと容子の背中を叩き、ベリッと引っぺがした。
帰る度にエビ反り抱き着きは止めてくれ。
私の腰痛が悪化するではないか。
「何があったか話すから、リビングに移動しよう。ご飯も食べたいし」
「お茶漬で良い?」
命がけで働いてきた姉に対して茶漬けって……テラ酷す。
「私は、夕飯まだなんだよ。お腹にたまるものが食べたい」
「今何時だと思ってんの? 15時だよ。まだ夕飯作ってないし。冷凍のから揚げチンしてあげるがから、それで我慢しな」
「はぁい」
から揚げだけでは腹は膨れない。
だが、ここで文句言えば嫌がらせ飯になってしまう。
怒らせて被害を被るのは避けたいので、私は口を噤むことにした。
「シャワー浴びてくるわ」
本当はゆっくりお風呂に入りたいが、疲れているし早く寝たい。
「その間に用意しとくよ。10分以内に上がって来てね」
「了解」
ショルダーバッグをソファーに置いて、風呂場へ向う。
シャワーを浴びていると、ギャーッと容子の悲鳴が聞こえてきた。
慌てて頭と身体を洗い、風呂場から飛び出てリビングに直行すると、サクラを掌に乗っけて頬ずりしている容子がいた。
「……さっきの悲鳴は何?」
「いやぁ、あまりにも可愛くって。これスライム? 何かピンクで可愛いんですけど!」
このツルツルもちもち感が堪りません。
ぬふふふっと変な笑いをする容子にドン引きだ。
「ヒールベビースライムって種族だよ。今日、菓子パン食べているとき出て来て餌付けしたら契約させられた」
「へー、甘いの好きなんだね。じゃあ、クッキーとか食べるかな?」
私の言葉なんて殆ど聞いちゃいない。
契約した=宥子のペットになった=容子のペットという脳内変換でもしたのだろうか?
私のご飯そっちのけで容子は、サクラにお菓子を与えることしか頭にないようだ。
一応、用意はしてくれていたみたいだけど。
お茶漬けの素がご飯の上にかかっているだけで、から揚げすらテーブルの上にない。
「妹よ、私のから揚げは? 後お茶」
「自分で用意しなよ。私は、サクラちゃんにご飯あげるので手が離せないの」
うん、分かってた。
あんた、爬虫類とか大好きだもんね。
あの蛇ちゃん達に頬ずりするくらい好きだもの。
サクラの感触は、容子の好みにド直球だと分かってた。
でも、命がけで戦って帰って来た姉ちゃんのご飯の用意はしてくれても良いんじゃないか?
文句言っても凹まされるだけなので、急須にお茶を入れつつレンジでから揚げを暖めた。
冷蔵庫から缶ビールを出そうとしたが、何故か発泡酒しかない。
「ビールは?」
「ああ、高いから発泡酒で我慢して」
「ビール買えるくらいのお金はあるでしょう?」
「あるけど、異世界で活動していくんだから装備にお金かかるじゃん。節約出来るところはしないと! だから、今後は発泡酒ね」
異論は認めないと容子の笑顔が怖い。
「うぃっす」
反論したら、ご飯が更に質素になるのでお口チャック。
「サクラを契約した時に、サクラの感情が流れ込んできたんだけど。赤白ちゃんと紅白ちゃんからは何も感じないんだよねぇ」
ゲージを見るが、二匹とも住処に籠って出てこない。
「嫌われてるんじゃないの?」
容子は、そう言いながらサクラにせっせとクッキーを与えている。
サクラも美味しいのか、時折身体を震わせながら食べていた。
発泡酒を片手に、から揚げを食べつつ、お茶漬けをかっ食らう。 やっぱりY社のビールか、S社のビールが飲みたかった。
一通り食べ終えて片付けも済ませて、容子に声を掛ける。
「そろそろサクラを返してくれない? ひと眠りしたらサイエスに出かけるから」
チッと舌打ちが聞こえたが知らない。
サクラを受け取り、蛇達にお休みと声を掛けるが無反応。
ちょっと悲しい。
こんな時こそ寝るに限る!
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