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第三百二十一話 カズキ、空間魔法を使って家を創る その7
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「ちょっと魔法を調整させてください」
大半の家具が【次元ハウス+ニャン】への入り口を通らない事が発覚したのを受け、カズキは魔法を改良すると宣言した。
「それは構わないけど、やるなら明日からになさい。いくら魔力が全快しているとはいえ、魔力枯渇を引き起こしたのは今日なんだから」
「・・・・・・わかりました」
直ぐにでも始めようとしていたカズキは、先回りしたエルザに釘を刺され不承不承に頷いた。
今なら詠唱で【次元ハウス+ニャン】を何度か発動しても、感覚的に倒れる事はないとわかっているのだが、それはカズキにしかわからない事。世話になりっぱなしのエルザに制止されては、我を通す事など出来る筈もなかった。
「よろしい。じゃあ続きは明日以降、カズキの準備が出来たら教えてくれる?」
「わかりました」
そんな話をしてからカズキの準備が整ったのは、それから三日後。今回も立ち会うのはエルザ、フローネ、クレアであった。
「先ずはどう変わったのか教えてもらえる?」
「わかりました」
エルザの言葉にカズキが答えた瞬間、その場にいた三人と二匹の視界が一瞬にして切り替わる。
「・・・・・・ここは【次元ハウス+ニャン】の中よね? いくつか聞きたい事はあるのだけど、扉を通らなくても移動できるようになったの?」
「はい。こうすれば荷物を運ぶ手間が省けると思ったので」
「確かにこれなら重い物を運ぶ必要はありませんね! じゃあ次の質問です! 部屋がこの前よりも大きくなっているのは何故ですか?」
エルザに次いで言葉を発したフローネが言う通り、前回彼女たちが見た部屋よりも今回の部屋の方が広かった。具体的に言うと2倍くらい。
「意図したわけじゃないのですが、魔法を完成させたら何故か部屋の広さが倍になってました」
「そうなんですか。まあ、家具の大きさを考えたら、こちらの方が圧迫感がなくていいかもしれませんね」
「そうね。じゃあ最後の質問」
フローネの言葉に同意したエルザが部屋の反対側を指差す。そこにあったのは、前回来た時には存在しなかった、次の部屋へと続くのであろう扉だった。
「あー、あれはですねえ・・・・・・」
言葉で語るよりも直接見た方が早いと思ったカズキは、身振りで二人を促すと扉の前まで歩いていき、ドアノブに手を掛けた。
「なんでこんな事になったのか全く分からないんですが・・・・・・」
そして、その言葉と共に扉を開放すると、何もない空間が果て無く続いていた。
「「・・・・・・これは?」」
「御覧の通り、延々と続くだけの空間です。これもやはり、魔法が完成したらこうなってました」
「そう・・・・・・。因みにだけど、この空間に何かを造る事って出来たりするの?」
「やった事はないですけど、たぶん問題ないと思います」
「そうなのね。じゃあ何か思いついたらお願いしてもいい?」
「構いませんよ」
「ありがとう」
言質を取ったエルザは翌日に大浴場を。更にその翌日にはバス・トイレ付の個室を造らせる事に成功する。
基本的に彼女が生活しているのは王城なので、それと遜色ない環境がいつでも利用できるのならば、やはり利用したいと思うのが人間という生き物だからだ。
大半の家具が【次元ハウス+ニャン】への入り口を通らない事が発覚したのを受け、カズキは魔法を改良すると宣言した。
「それは構わないけど、やるなら明日からになさい。いくら魔力が全快しているとはいえ、魔力枯渇を引き起こしたのは今日なんだから」
「・・・・・・わかりました」
直ぐにでも始めようとしていたカズキは、先回りしたエルザに釘を刺され不承不承に頷いた。
今なら詠唱で【次元ハウス+ニャン】を何度か発動しても、感覚的に倒れる事はないとわかっているのだが、それはカズキにしかわからない事。世話になりっぱなしのエルザに制止されては、我を通す事など出来る筈もなかった。
「よろしい。じゃあ続きは明日以降、カズキの準備が出来たら教えてくれる?」
「わかりました」
そんな話をしてからカズキの準備が整ったのは、それから三日後。今回も立ち会うのはエルザ、フローネ、クレアであった。
「先ずはどう変わったのか教えてもらえる?」
「わかりました」
エルザの言葉にカズキが答えた瞬間、その場にいた三人と二匹の視界が一瞬にして切り替わる。
「・・・・・・ここは【次元ハウス+ニャン】の中よね? いくつか聞きたい事はあるのだけど、扉を通らなくても移動できるようになったの?」
「はい。こうすれば荷物を運ぶ手間が省けると思ったので」
「確かにこれなら重い物を運ぶ必要はありませんね! じゃあ次の質問です! 部屋がこの前よりも大きくなっているのは何故ですか?」
エルザに次いで言葉を発したフローネが言う通り、前回彼女たちが見た部屋よりも今回の部屋の方が広かった。具体的に言うと2倍くらい。
「意図したわけじゃないのですが、魔法を完成させたら何故か部屋の広さが倍になってました」
「そうなんですか。まあ、家具の大きさを考えたら、こちらの方が圧迫感がなくていいかもしれませんね」
「そうね。じゃあ最後の質問」
フローネの言葉に同意したエルザが部屋の反対側を指差す。そこにあったのは、前回来た時には存在しなかった、次の部屋へと続くのであろう扉だった。
「あー、あれはですねえ・・・・・・」
言葉で語るよりも直接見た方が早いと思ったカズキは、身振りで二人を促すと扉の前まで歩いていき、ドアノブに手を掛けた。
「なんでこんな事になったのか全く分からないんですが・・・・・・」
そして、その言葉と共に扉を開放すると、何もない空間が果て無く続いていた。
「「・・・・・・これは?」」
「御覧の通り、延々と続くだけの空間です。これもやはり、魔法が完成したらこうなってました」
「そう・・・・・・。因みにだけど、この空間に何かを造る事って出来たりするの?」
「やった事はないですけど、たぶん問題ないと思います」
「そうなのね。じゃあ何か思いついたらお願いしてもいい?」
「構いませんよ」
「ありがとう」
言質を取ったエルザは翌日に大浴場を。更にその翌日にはバス・トイレ付の個室を造らせる事に成功する。
基本的に彼女が生活しているのは王城なので、それと遜色ない環境がいつでも利用できるのならば、やはり利用したいと思うのが人間という生き物だからだ。
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