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第三百二十話 カズキ、空間魔法を使って家を創る その6

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「それじゃあ、家具を運び入れましょうか」

 物思いに耽っていたエルザは、我に返るとそう言って【次元ハウス+ニャン】を出て行った。

「外の倉庫に行くわよ」

 慌てて後に続いたカズキとフローネが元の部屋に戻ると、エルザが二人に声を掛けて歩き出した。
 因みに外の倉庫は武具庫の隣にあって、ここには使わなくなった日用品や家具などが保管されている他、城外からの荷物の受入検査も行っている。エルザとフローネが発注した商品の受け取り場所もここで、昨日の夕方には商品が届いたと連絡を受けていた。

「先ずは大きいのから行きましょうか」

 エルザはそう言うと、慣れた様子で倉庫の中を歩き出した。やがて辿り着いたのは、ショールームの様に様々な家具が置いてある部屋だった。

「ここにある物は好きに使っていいと言ってくれたわ」

 この部屋に置いてあるのは全てがソフィアの私物である。とは言っても献上されたり、経済を回す目的で買ったりしたものが大半なので、ほぼ全てが未使用品だという話だった。
 
「まあ、ここにあるのは叔母さんの趣味からは外れているし、放っておくと倉庫の増築が必要になってしまうから、遠慮なく持っていくといいわ」

 聞けば、倉庫の増築をしないようにする為、定期的に譲渡会が開かれているらしい。とはいえ、一度こうした大物を手に入れてしまえば滅多に交換しようとは思わないものなので、ここ最近は譲渡会を開いても大して在庫が減らないとの事だった。

「そういう事なら・・・・・・」

 本当に遠慮する必要がないとわかったカズキは、ナンシーやクレアの反応を見ながらソファやベッドを選び始めた。インテリアの良し悪しなどカズキには全く分からないので、カズキの判断基準は猫が気に入るかどうか。その一点に尽きる。その他の事は、家具を見てアレコレと意見を交換しているエルザとフローネに丸投げだ。

「・・・・・・こんな所かしら?」
「はい。必要な物は全て揃ったと思います」

 二人が満足したのはそれから一時間後。その間カズキが何をしていたかと言えば、届いていたキャットタワーを作ったり、段ボールっぽいハウスを作ったりと、実に楽しそうに時間を潰していた。

「じゃあこれらを運び込みましょうか。カズキ、入り口を開けてくれる?」
「はい」

 エルザの言葉に答えてカズキが高さ2メートル、幅1メートル程の大きさの【次元ハウス+ニャン】への入り口を開く。

「「「・・・・・・あ」」」

 その入り口に問題がある事に気付いたのは三人同時だった。この部屋にある家具は殆どがキングサイズなので、入り口の扉を通れない物の方が多かったのだ。
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