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第三百十八話 カズキ、空間魔法を使って家を創る その4

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 カズキが復調したのはそれから30分後。魔力枯渇で倒れてからは一時間が経った。
 これが一般的な魔法使いなら魔力が完全回復するまで丸一日は身動きが取れなくなり、その後数日は倦怠感が続くなど、日常生活に支障をきたしたりする。
 この時間は魔力量が多いほど短くなるという事が知られているが、世界でも有数の魔力量を誇るエルザでも回復には半日。完全に復調するには更に丸一日掛かる事を考えると、カズキが如何に規格外だという事がわかるだろう。
 
「これもカズキの言う召喚特典なのかしらね?」
「そうかもしれませんね」

 召喚特典(はじめは転生チートと言っていたが、エルザに「あなたは死んでないでしょ」と言われ変更した)とは日本の図書館でラノベを呼んでいたカズキが言いだした言葉で、異世界に召喚された人間が特殊なスキルや魔法、或いはアイテムを授かる事を指す。
 この世界に召喚されたカズキの場合は、彼を探し当てた女神レミアが邪神と戦う為の力――規格外の魔力と特殊な魔法――を与えたと、カズキ本人を含む誰もが思っていた。
 実際には女神の加護ではなく、ただ単にカズキ個人の才能の賜物なのだが、女神に直接確認する術もなく、日本では普通――と言うには家庭環境がアレだが――に暮らしていたとカズキが言っていたので、皆がカズキの言った事を鵜呑みにしているのだ。

「ところで・・・・・・」

 フローネは話をしながら、いや、カズキを膝枕をしている時から気になっていたモノに視線を移す。そこにあったのは、カズキが魔法を完成させた直後に出現した、高さ2メートル、幅1メートル程の大きさの、見ようによっては扉にも見える空間の揺らぎだった。

「成功したのよね?」
「はい。それは間違いなく」

 同じく気になっていたエルザが尋ねると、カズキはそれを証明するかのように扉の前に立ち、手を伸ばして、ドアを手前に開けるような仕草をする。
 そして、いつの間にかカズキの腕の中に納まっていたナンシーと一緒に扉の中に姿を消したかと思うと、少しして戻ってきた。

「安全が確認出来たので、僕の後についてきてください」
「みぃあ!」

 カズキの言葉に従い、エルザ、フローネ、クレアが順に扉の中に入る。

「「「・・・・・・」」」

 そうして入った先は、謎に柔らかい光に満ちた、100平方メートルほどの部屋だった。
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