308 / 346
第三百八話 カズキ、初めての海へ その9
しおりを挟む
「野郎ども! サハギンの脅威は完全に去った! 今日からまた、存分に漁に勤しんでくれ!」
「「「「おおー!」」」」
リーザの港にアーネストの野太い声が響いた。それに応じて、やはり野太い声の男達が我先にと停泊している船に乗り込んでいく。
一昨日、昨日と念のために海のパトロールを行い、その結果サハギンの脅威が完全に取り除かた事が確認されたため、港町リーザにいつもの活気が戻ってきたのだ。
「これでやっと、本来の目的を果たす事が出来るわね」
「そうだな。アイツらも張り切って漁をするだろうから、今日一日で城に持ち帰る分は余裕で集まる。勿論、全部買い取ってくれるんだろ?」
「ええ。カズキに聞いたら氷漬けにして持って帰るのは問題ないって言ってたから。帰りはちょっとした騒ぎになりそうだけどね」
ソフィアはアーネストに答えると、魚の運搬を軽い調子で請け負ったカズキを見る。ナンシーやクレア相手に屈託のない笑顔を浮かべている様子を見て、カズキが人知を超えた魔法を使うとは誰も思わないだろうと考えながら。
「 確かにな! ワイバーンに続いて、今度は魚の群れが城に飛んで行くってわけだ! そりゃあ騒ぎになるだろうぜ!」
「目立ちたくないって言う割に、やる事が一々派手なのよね。変なところで抜けてるっていうか」
「そりゃ仕方ねえよ! 右も左もわからない世界に来て、いきなり世界の命運を託されたんだからな! 余裕があるように見えて、実はいっぱいいっぱいなんだろうぜ!」
「ええ、その通りなんでしょうね。だからこそ、今回は息抜きをしてもらいたかったのだけど・・・・・・」
「来て早々にサハギン退治だもんな。邪神が絶賛活躍中だから、仕方ねえっちゃ仕方ねえんだが・・・・・・。良し!」
「・・・・・・何か思いついたの?」
「ああ。昨日仕掛けた網の引き上げに同行させようと思ってな。昨日まではカズキに操船を任せていたが、今日は全部俺がやる。その間はボーっとしてるも良し、気が向いたら手伝うも良しだ」
「・・・・・・そうね。良いんじゃないかしら」
どう考えてもカズキを漁師の道に引きずり込もうとしているようにしか思えなかったが、ソフィアはアーネストの意見を採用する事にした。無理強いする気は無いようだし、結果的にカズキが漁に興味を持ったとしても、それは彼自身が選択した結果だからだ。
「みぃあ」
「みぃあ」
「ミャー」
「美味しいです!」
「そうそう、包丁の使い方はそんな感じだ。次は・・・・・・」
「はい! わかりました!」
まあ最終的にカズキが選んだのは、猫達に自分の料理を食べさせる為、アーネストに弟子入りする事だったのだが。
「「「「おおー!」」」」
リーザの港にアーネストの野太い声が響いた。それに応じて、やはり野太い声の男達が我先にと停泊している船に乗り込んでいく。
一昨日、昨日と念のために海のパトロールを行い、その結果サハギンの脅威が完全に取り除かた事が確認されたため、港町リーザにいつもの活気が戻ってきたのだ。
「これでやっと、本来の目的を果たす事が出来るわね」
「そうだな。アイツらも張り切って漁をするだろうから、今日一日で城に持ち帰る分は余裕で集まる。勿論、全部買い取ってくれるんだろ?」
「ええ。カズキに聞いたら氷漬けにして持って帰るのは問題ないって言ってたから。帰りはちょっとした騒ぎになりそうだけどね」
ソフィアはアーネストに答えると、魚の運搬を軽い調子で請け負ったカズキを見る。ナンシーやクレア相手に屈託のない笑顔を浮かべている様子を見て、カズキが人知を超えた魔法を使うとは誰も思わないだろうと考えながら。
「 確かにな! ワイバーンに続いて、今度は魚の群れが城に飛んで行くってわけだ! そりゃあ騒ぎになるだろうぜ!」
「目立ちたくないって言う割に、やる事が一々派手なのよね。変なところで抜けてるっていうか」
「そりゃ仕方ねえよ! 右も左もわからない世界に来て、いきなり世界の命運を託されたんだからな! 余裕があるように見えて、実はいっぱいいっぱいなんだろうぜ!」
「ええ、その通りなんでしょうね。だからこそ、今回は息抜きをしてもらいたかったのだけど・・・・・・」
「来て早々にサハギン退治だもんな。邪神が絶賛活躍中だから、仕方ねえっちゃ仕方ねえんだが・・・・・・。良し!」
「・・・・・・何か思いついたの?」
「ああ。昨日仕掛けた網の引き上げに同行させようと思ってな。昨日まではカズキに操船を任せていたが、今日は全部俺がやる。その間はボーっとしてるも良し、気が向いたら手伝うも良しだ」
「・・・・・・そうね。良いんじゃないかしら」
どう考えてもカズキを漁師の道に引きずり込もうとしているようにしか思えなかったが、ソフィアはアーネストの意見を採用する事にした。無理強いする気は無いようだし、結果的にカズキが漁に興味を持ったとしても、それは彼自身が選択した結果だからだ。
「みぃあ」
「みぃあ」
「ミャー」
「美味しいです!」
「そうそう、包丁の使い方はそんな感じだ。次は・・・・・・」
「はい! わかりました!」
まあ最終的にカズキが選んだのは、猫達に自分の料理を食べさせる為、アーネストに弟子入りする事だったのだが。
41
お気に入りに追加
334
あなたにおすすめの小説
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる