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第二百八十六話 カズキ、魔法適正を調べに資料室へ行く
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カズキが邪神と戦う事を決意したとはいえ、直ぐに邪神と戦いに行くわけではない。
この世界に来るまで真面に食事をしていなかったせいか、カズキはフローネと同じ14歳にしては発育が遅かったからだ。
その為、長旅に耐えうる体が出来上がるまでは適度な食事と運動をして、残った時間でこの世界の勉強をする事になった。
主な内容はこの世界が辿ってきた歴史や地理。そして地球には存在しなかった魔法や魔物について。
幸いカズキは地頭が良く、また、日本とこの世界の文字や言語は非常に似通っていた為か、勉強は順調に進み、一ヵ月が経つ頃にはクリスよりもこの世界に詳しくなっていた。
「みぃあ。みぃあ」
「よちよち、可愛いでちゅねー」
尚、勉強している部屋は当然の如くカズキの部屋だ。最初は他の部屋をジュリアンが用意しようとしたのだが、運動以外で産まれたばかりの仔猫たちの傍を離れるのは嫌だろうと、ソフィアとエルザが猛反対したのである。
「今日は、カズキの魔法適性を調べるわよ!」
そして、とうとうその日がやってきた。カズキの生活をサポートしてきたエルザが、本格的に身体を鍛える事にゴーサインを出したのである。
とはいえ、産まれたばかりのナンシーの名前がわかった時点で魔法使い寄りの訓練をする事は決まっていたので、そこまで激しい訓練をする予定はないのだが。
「適性というと、火とか光とかの事ですよね? どうやって調べるんですか?」
「この城の資料室に魔法適正を調べる水晶があるの。それに手を置けば、自分が何の魔法に適性があるかが分かるのよ」
「そんな便利な物があるんですね。いやぁ、楽しみだなぁ」
そんな会話をしながら歩いていくと、あっという間に資料室へと辿り着く。
「エルザ様!」
そして、いざエルザが扉を開けようとしたところで、一人のメイドが駆け寄ってきた。
「なに? どうかした?」
「騎士団に重傷者が多数! 至急、治癒をお願いしたいとの事です!」
「わかった。直ぐ行くわ」
エルザはそう言うと資料室の扉を開け、カズキに一本の鍵を手渡した。
「ここの一番奥に部屋があるわ。申し訳ないのだけれど、その鍵で部屋に入って、中の水晶で魔法適正を調べてくれる? その後は部屋にある魔法書を適当に読んでてね」
「えっ? あ、はい」
「ごめんね」
謝ったエルザは身を翻し、メイドと一緒に駆け出した。残ったのはカズキ一人である。
「行っちゃった。でも人の命が掛かってるんだから仕方ないよね」
この世界に召喚されてから初めての単独行動に寂しさを覚えながらも、カズキは言われた通りに部屋へ向かう。そして、預かった鍵で扉を開けると、部屋の中央に水晶が鎮座していた。
この世界に来るまで真面に食事をしていなかったせいか、カズキはフローネと同じ14歳にしては発育が遅かったからだ。
その為、長旅に耐えうる体が出来上がるまでは適度な食事と運動をして、残った時間でこの世界の勉強をする事になった。
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幸いカズキは地頭が良く、また、日本とこの世界の文字や言語は非常に似通っていた為か、勉強は順調に進み、一ヵ月が経つ頃にはクリスよりもこの世界に詳しくなっていた。
「みぃあ。みぃあ」
「よちよち、可愛いでちゅねー」
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そして、とうとうその日がやってきた。カズキの生活をサポートしてきたエルザが、本格的に身体を鍛える事にゴーサインを出したのである。
とはいえ、産まれたばかりのナンシーの名前がわかった時点で魔法使い寄りの訓練をする事は決まっていたので、そこまで激しい訓練をする予定はないのだが。
「適性というと、火とか光とかの事ですよね? どうやって調べるんですか?」
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「そんな便利な物があるんですね。いやぁ、楽しみだなぁ」
そんな会話をしながら歩いていくと、あっという間に資料室へと辿り着く。
「エルザ様!」
そして、いざエルザが扉を開けようとしたところで、一人のメイドが駆け寄ってきた。
「なに? どうかした?」
「騎士団に重傷者が多数! 至急、治癒をお願いしたいとの事です!」
「わかった。直ぐ行くわ」
エルザはそう言うと資料室の扉を開け、カズキに一本の鍵を手渡した。
「ここの一番奥に部屋があるわ。申し訳ないのだけれど、その鍵で部屋に入って、中の水晶で魔法適正を調べてくれる? その後は部屋にある魔法書を適当に読んでてね」
「えっ? あ、はい」
「ごめんね」
謝ったエルザは身を翻し、メイドと一緒に駆け出した。残ったのはカズキ一人である。
「行っちゃった。でも人の命が掛かってるんだから仕方ないよね」
この世界に召喚されてから初めての単独行動に寂しさを覚えながらも、カズキは言われた通りに部屋へ向かう。そして、預かった鍵で扉を開けると、部屋の中央に水晶が鎮座していた。
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