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第二百五十五話 創造神の孤独な戦い
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「マズい! 何故こんな事になったんだ!」
ラストダンジョンをカズキに力業で突破されたその神は、エルザに約3000年前に起こした事がバレているのを知り、混乱の極みに達していた。
余談だがこの神、邪神を創り、初代タゴサクを召喚させた神と同一人(神?)物である。この神は時間と空間を司っているので、好きな場所、好きな時代に自由に移動する事ができるのだ。当然、下界の様子を見るのもお手の物である。
「我は唯、この世界を乗っ取って、ドラ○エや、フ○イナルファンタジーっぽくしようとしただけなのだぞ!?」
ただ、神としての格は高いが、能力的には然程でもなかった。時間と空間を操る事に能力が極振りされているせいか、戦闘などになると、どうしても中位の神などにも劣ってしまうのである。だからエルザやクリスの住む世界の神が目を覚ました時は逃げ出したのだ。
それでも下級神よりは強いので、神(以後、ソレと称す)は出来たばかりの、それもまだ創造神しかいない世界を選んでそこで遊ぶことにした。若い神の身体を乗っ取り、その権能を使って世界を創り変えたのである。
そして本来なら10年後にレヴィアタンとベヒモスを出現させ、それに対抗できそうな漂流者(カズキの親戚の事)を異世界から拉致。10年間育てたところで、世界滅亡のシナリオを始めるつもりだったのだ(尚、勝敗は度外視である。人類側が負けたら、別の場所へ行って同じ事をすればいいからだ)。カズキの親戚だけあって、それだけのポテンシャルをあの四人は秘めていたのである。
「なのになんだあの三人は!? あんな化け物じみた漂流者が現れるような設定にはしていないというのに! ・・・・・・はっ、まさか!?」
散々喚いて冷静になったのか、ソレはつい最近、四人を探していた時の事を思い出す。
「そうだ。確かあの時は、ドラ○エやフ○イナルファンタジーに所縁のある世界から四人を探そうとして、手始めに邪神を創って放した世界を覗いたんだったな」
そこでソレは邪神が討伐された事を知り、その後も幾度となく危機に陥った世界を救った三人の存在を知った。誤算だったのは、うっかりその世界を覗いてしまった事で、その世界の神に存在を感付かれてしまった事である。
眠りについている間に世界を引っ掻き回された神々は、再度の襲来に備え、常にアンテナを張っていたのだ。
「そうだ! その時にあの世界の神々が共謀して、あの魔法使いにこの世界の事を知らせたのだ!」
ソレに恨みがあったネテスレア(ランスリードのある世界)の神々は、協力してソレの記憶に干渉し、カズキの事を『偶々召喚された男』位の認識に留める事に成功した。そして、カズキにメモリアの情報を流し、ヒヒイロカネの事をそれとなく伝えたのである。
カズキの能力を以てすれば、自力で世界を渡る事が可能だという事を、ネテスレアの神々は良く知っていたからだ。
「中位の神如きが我の邪魔をしおって! ええい! 忌々しい!」
今の今までその事を忘れさせられていた事に気付き、ソレは再び激昂した。そして、カズキ達がこの場所を突き止める前に逃走すべく、創造神の身体から抜け出そうとした。だが――
「くそっ!」
ここぞとばかりに創造神は抵抗し、ソレが抜け出すのを阻止した。今身体から抜けられてしまうと、何処かへ逃走し、同じ事を繰り返すのは目に見えているからだ。
こうなると、元々精神体とでも言うべきソレに、創造神を害する事は出来ない。それをやれば、自身もダメージを受ける事になるからだ。
ソレに一矢報いる為だけに、約3000年もの間力を貯め続けてきた創造神の執念が、ソレの力を上回った瞬間である。
「ならば、こうすれば良いのだ!」
だがソレも伊達に上位の神格を持っている訳ではない。抵抗する創造神の力を利用して、神域とでも言うべきこの場所を覆うように、強固な結界を幾重にも重ねたのである。これは、もしかしたらこの場所へ来るかもしれないカズキ達への対策であると同時に、創造神の力を無駄使いさせるためだった。
「更にこうだ!」
続いて、クリス対策に本物の金銀財宝で埋め尽くされた部屋を用意し、その部屋に入ると同時に、常に吹雪いている極寒の地へと転移する罠を設置した。どうやらソレのクリスに対する印象は、金の亡者らしい。そしてそれは、間違っていなかった。
「問題はあの二人だ」
そう言って、カズキとエルザの事を考えるソレ。だが、二人の対策を思い付く前に、ソレにとって最悪の事態が起きる。
張ったばかりの結界に強力な負荷が掛かったかと思うと、次の瞬間には消滅してしまったのだ。
「なにっ!? まさかこの場所がわかったというのか!?」
まさかの事態にパニックになったソレは、必死になってモンスターを次々と生み出し、二人(予想通り、クリスは罠に嵌まった)に嗾ける。そうして一心不乱に力を使い続け、遂に創造神の力が尽きようとする寸前、ソレは気付いた。
「きっ、貴様ぁああああああああ!」
神域内のみに創造の力を使っていたつもりが、創造神の悪あがきによって、下界にも影響が出ていた事に。
ラストダンジョンをカズキに力業で突破されたその神は、エルザに約3000年前に起こした事がバレているのを知り、混乱の極みに達していた。
余談だがこの神、邪神を創り、初代タゴサクを召喚させた神と同一人(神?)物である。この神は時間と空間を司っているので、好きな場所、好きな時代に自由に移動する事ができるのだ。当然、下界の様子を見るのもお手の物である。
「我は唯、この世界を乗っ取って、ドラ○エや、フ○イナルファンタジーっぽくしようとしただけなのだぞ!?」
ただ、神としての格は高いが、能力的には然程でもなかった。時間と空間を操る事に能力が極振りされているせいか、戦闘などになると、どうしても中位の神などにも劣ってしまうのである。だからエルザやクリスの住む世界の神が目を覚ました時は逃げ出したのだ。
それでも下級神よりは強いので、神(以後、ソレと称す)は出来たばかりの、それもまだ創造神しかいない世界を選んでそこで遊ぶことにした。若い神の身体を乗っ取り、その権能を使って世界を創り変えたのである。
そして本来なら10年後にレヴィアタンとベヒモスを出現させ、それに対抗できそうな漂流者(カズキの親戚の事)を異世界から拉致。10年間育てたところで、世界滅亡のシナリオを始めるつもりだったのだ(尚、勝敗は度外視である。人類側が負けたら、別の場所へ行って同じ事をすればいいからだ)。カズキの親戚だけあって、それだけのポテンシャルをあの四人は秘めていたのである。
「なのになんだあの三人は!? あんな化け物じみた漂流者が現れるような設定にはしていないというのに! ・・・・・・はっ、まさか!?」
散々喚いて冷静になったのか、ソレはつい最近、四人を探していた時の事を思い出す。
「そうだ。確かあの時は、ドラ○エやフ○イナルファンタジーに所縁のある世界から四人を探そうとして、手始めに邪神を創って放した世界を覗いたんだったな」
そこでソレは邪神が討伐された事を知り、その後も幾度となく危機に陥った世界を救った三人の存在を知った。誤算だったのは、うっかりその世界を覗いてしまった事で、その世界の神に存在を感付かれてしまった事である。
眠りについている間に世界を引っ掻き回された神々は、再度の襲来に備え、常にアンテナを張っていたのだ。
「そうだ! その時にあの世界の神々が共謀して、あの魔法使いにこの世界の事を知らせたのだ!」
ソレに恨みがあったネテスレア(ランスリードのある世界)の神々は、協力してソレの記憶に干渉し、カズキの事を『偶々召喚された男』位の認識に留める事に成功した。そして、カズキにメモリアの情報を流し、ヒヒイロカネの事をそれとなく伝えたのである。
カズキの能力を以てすれば、自力で世界を渡る事が可能だという事を、ネテスレアの神々は良く知っていたからだ。
「中位の神如きが我の邪魔をしおって! ええい! 忌々しい!」
今の今までその事を忘れさせられていた事に気付き、ソレは再び激昂した。そして、カズキ達がこの場所を突き止める前に逃走すべく、創造神の身体から抜け出そうとした。だが――
「くそっ!」
ここぞとばかりに創造神は抵抗し、ソレが抜け出すのを阻止した。今身体から抜けられてしまうと、何処かへ逃走し、同じ事を繰り返すのは目に見えているからだ。
こうなると、元々精神体とでも言うべきソレに、創造神を害する事は出来ない。それをやれば、自身もダメージを受ける事になるからだ。
ソレに一矢報いる為だけに、約3000年もの間力を貯め続けてきた創造神の執念が、ソレの力を上回った瞬間である。
「ならば、こうすれば良いのだ!」
だがソレも伊達に上位の神格を持っている訳ではない。抵抗する創造神の力を利用して、神域とでも言うべきこの場所を覆うように、強固な結界を幾重にも重ねたのである。これは、もしかしたらこの場所へ来るかもしれないカズキ達への対策であると同時に、創造神の力を無駄使いさせるためだった。
「更にこうだ!」
続いて、クリス対策に本物の金銀財宝で埋め尽くされた部屋を用意し、その部屋に入ると同時に、常に吹雪いている極寒の地へと転移する罠を設置した。どうやらソレのクリスに対する印象は、金の亡者らしい。そしてそれは、間違っていなかった。
「問題はあの二人だ」
そう言って、カズキとエルザの事を考えるソレ。だが、二人の対策を思い付く前に、ソレにとって最悪の事態が起きる。
張ったばかりの結界に強力な負荷が掛かったかと思うと、次の瞬間には消滅してしまったのだ。
「なにっ!? まさかこの場所がわかったというのか!?」
まさかの事態にパニックになったソレは、必死になってモンスターを次々と生み出し、二人(予想通り、クリスは罠に嵌まった)に嗾ける。そうして一心不乱に力を使い続け、遂に創造神の力が尽きようとする寸前、ソレは気付いた。
「きっ、貴様ぁああああああああ!」
神域内のみに創造の力を使っていたつもりが、創造神の悪あがきによって、下界にも影響が出ていた事に。
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