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第百六十一話 カリムのステータス
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「それでは、こちらの魔道具に触れて下さい」
「ああ」
ジュリアンの念願が叶って、最初にスキルの取得から始める事になった一行。
今はギルドマスターの執務室で、秘書が持ってきてくれた魔道具――わかりやすく言うとタブレット端末。材質はミスリルと水晶から出来ている――に手を乗せているジュリアンを見守っているところだったが・・・・・・。
「ふっふっふっ。これで私にもスキルが使えるるようになったのか。『ステータス!』」
「「「・・・・・・どうだ?」」」
「む? 何も起こらない。もしかして発音が悪かったのか? 『ステータス!』」
「これはあれだな。いわゆる失敗というやつだ」
結果は、カズキの言う通り、何も起こらなかった。
「そんなバカな! 『ステータス!』。『ステータス!』。くっ、何故なにも起こらないんだ! 『ステータス!』」
「・・・・・・故障してるんじゃないか?」
狂ったように『ステータス!』と連呼するジュリアンを見て気の毒になったのか、レオンがそんな事を言いながら魔道具に触れる。すると、魔道具から光が発生し、レオンの体を走査した後、唐突に消えた。
「・・・・・・故障はしてないようだ」
「ウガーーーーーーーーーー! うぐっ」
レオンの言葉に一縷の望みを掛けていたジュリアンは、上げて落とされた事で野生に返る。そして、直後にアルフレッドに拳骨を落とされて静かになった。
「なあ! 俺もやっていいか!?」
そんな微妙な空気の中進み出たカリムは、返事も聞かずに魔道具に手を置く。すると、レオンが試した時と同じように光が発生した。
「やった! 出来た!」
「ぐぬぬぬぬ」
「カリムは出来たか。それで、どんな感じなんだ?」
恨めしそうにカリムを見ているジュリアンを無視して、カズキが興味津々に尋ねる。
「ちょっと待って。えーと、『ステータス』だっけ? ・・・・・・うん。なんか数字とか、よくわからない事が色々書いてあるよ!」
「どうやらちゃんと見えているようだな。なら、それを解説してもらうか。・・・・・・という訳だから、カリムのステータスを表示してくれ。出来るんだろ?」
「はい、それは勿論可能です。ですがよろしいのですか? パーティメンバー内で情報を共有する事はありますが、全くの他人に見せるとなると・・・・・・」
戸惑う秘書の女性。それも当然だった。
ステータスとは個人情報そのものであり、それを見るだけで戦い方や弱点などがわかってしまう。
これが気心の知れたパーティ内ならば、戦術の組み立てや互いの弱点をカバーする為に見せ合う事もあるが、下手な相手――勇者とかモラルの低いハンターとか――に見せてしまうと取り返しのつかない事になってしまう可能性が高いからだ。
「心配してくれてるのはわかるが・・・・・・。別に構わないよな?」
「うん! だって意味がわからないもん!」
「という訳だ。遠慮せずやってくれ」
「・・・・・・畏まりました。ではもう一度、今度は手を乗せたままにして下さい」
「わかった!」
当人がいいと言っているのと、ギルドマスターも何も言ってこない――責任を取ってくれると解釈した――事から秘書は決断し、カリムが手を置いている魔道具を操作する。
すると、魔道具から前方の壁に向けて光が放たれ、プロジェクターのようにカリムのステータスが映し出された。
そこに書かれている内容はこうだ。
――――――――――――――――――――
名前:カリム・アルテミス
種族:人間
職業:魔法戦士
年齢:13
LV :59
HP :258/963
MP :21/585
ATK :1020
DEF :968
AGI :1536
INT :757
SP :118
スキル
【魔力操作:LV6】 【詠唱短縮:LV8】
【剣術:LV7】
魔法
【異世界魔法 光・風・火・闇・土:LV9】
称号
――――――――――――――――――――
「これがカリムのステータスか。所々わかる箇所もあるが、数字が何を意味してるのかが分からないな。高い程良いんだとは思うが、比較対象もないし」
「でしょ!」
「まあそこら辺は地元の人間に説明して貰えばいいだろ」
「そうですね叔父上。という訳で誰か説明してくれないか? 私がステータスを取得できる方法も考えてくれると尚いいが」
カリムのステータスを見た瞬間に立ち直ったジュリアンが、現地人の三人に説明を求める。
「ば、馬鹿な。この歳でLV59だと・・・・・・?」
「わかってはいたが、やっぱり俺より強かった・・・・・・」
「魔法戦士? 激レアな職業じゃないですか・・・・・・」
だが、当の三人はカリムのステータスを見て愕然としていた。
「ああ」
ジュリアンの念願が叶って、最初にスキルの取得から始める事になった一行。
今はギルドマスターの執務室で、秘書が持ってきてくれた魔道具――わかりやすく言うとタブレット端末。材質はミスリルと水晶から出来ている――に手を乗せているジュリアンを見守っているところだったが・・・・・・。
「ふっふっふっ。これで私にもスキルが使えるるようになったのか。『ステータス!』」
「「「・・・・・・どうだ?」」」
「む? 何も起こらない。もしかして発音が悪かったのか? 『ステータス!』」
「これはあれだな。いわゆる失敗というやつだ」
結果は、カズキの言う通り、何も起こらなかった。
「そんなバカな! 『ステータス!』。『ステータス!』。くっ、何故なにも起こらないんだ! 『ステータス!』」
「・・・・・・故障してるんじゃないか?」
狂ったように『ステータス!』と連呼するジュリアンを見て気の毒になったのか、レオンがそんな事を言いながら魔道具に触れる。すると、魔道具から光が発生し、レオンの体を走査した後、唐突に消えた。
「・・・・・・故障はしてないようだ」
「ウガーーーーーーーーーー! うぐっ」
レオンの言葉に一縷の望みを掛けていたジュリアンは、上げて落とされた事で野生に返る。そして、直後にアルフレッドに拳骨を落とされて静かになった。
「なあ! 俺もやっていいか!?」
そんな微妙な空気の中進み出たカリムは、返事も聞かずに魔道具に手を置く。すると、レオンが試した時と同じように光が発生した。
「やった! 出来た!」
「ぐぬぬぬぬ」
「カリムは出来たか。それで、どんな感じなんだ?」
恨めしそうにカリムを見ているジュリアンを無視して、カズキが興味津々に尋ねる。
「ちょっと待って。えーと、『ステータス』だっけ? ・・・・・・うん。なんか数字とか、よくわからない事が色々書いてあるよ!」
「どうやらちゃんと見えているようだな。なら、それを解説してもらうか。・・・・・・という訳だから、カリムのステータスを表示してくれ。出来るんだろ?」
「はい、それは勿論可能です。ですがよろしいのですか? パーティメンバー内で情報を共有する事はありますが、全くの他人に見せるとなると・・・・・・」
戸惑う秘書の女性。それも当然だった。
ステータスとは個人情報そのものであり、それを見るだけで戦い方や弱点などがわかってしまう。
これが気心の知れたパーティ内ならば、戦術の組み立てや互いの弱点をカバーする為に見せ合う事もあるが、下手な相手――勇者とかモラルの低いハンターとか――に見せてしまうと取り返しのつかない事になってしまう可能性が高いからだ。
「心配してくれてるのはわかるが・・・・・・。別に構わないよな?」
「うん! だって意味がわからないもん!」
「という訳だ。遠慮せずやってくれ」
「・・・・・・畏まりました。ではもう一度、今度は手を乗せたままにして下さい」
「わかった!」
当人がいいと言っているのと、ギルドマスターも何も言ってこない――責任を取ってくれると解釈した――事から秘書は決断し、カリムが手を置いている魔道具を操作する。
すると、魔道具から前方の壁に向けて光が放たれ、プロジェクターのようにカリムのステータスが映し出された。
そこに書かれている内容はこうだ。
――――――――――――――――――――
名前:カリム・アルテミス
種族:人間
職業:魔法戦士
年齢:13
LV :59
HP :258/963
MP :21/585
ATK :1020
DEF :968
AGI :1536
INT :757
SP :118
スキル
【魔力操作:LV6】 【詠唱短縮:LV8】
【剣術:LV7】
魔法
【異世界魔法 光・風・火・闇・土:LV9】
称号
――――――――――――――――――――
「これがカリムのステータスか。所々わかる箇所もあるが、数字が何を意味してるのかが分からないな。高い程良いんだとは思うが、比較対象もないし」
「でしょ!」
「まあそこら辺は地元の人間に説明して貰えばいいだろ」
「そうですね叔父上。という訳で誰か説明してくれないか? 私がステータスを取得できる方法も考えてくれると尚いいが」
カリムのステータスを見た瞬間に立ち直ったジュリアンが、現地人の三人に説明を求める。
「ば、馬鹿な。この歳でLV59だと・・・・・・?」
「わかってはいたが、やっぱり俺より強かった・・・・・・」
「魔法戦士? 激レアな職業じゃないですか・・・・・・」
だが、当の三人はカリムのステータスを見て愕然としていた。
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