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第五十四話 交渉決裂
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『時空の歪み』がある部屋に足を踏み入れたカズキは、チOオちゅーるを探すべく魔法を使った。
結果、悪魔の周囲に落ちている物の中に、大量のチOオちゅーるを発見する事となる。
当初の目的を果たしたカズキであったが、問題は悪魔の周囲に散らばっている事だった。
「ヤバイな・・・・・・」
とカズキが言ったのは、チOオちゅーるが戦闘の余波でダメになることを懸念してのものだった。
ならばと全てのチOオちゅーるに防御魔法を掛ける事を即断し、実行。
悪魔が攻撃を仕掛けてきたのは、その直後の事であった。
「とまあ、そんな訳なんだが」
カズキの話を聞いた三人は、色々と突っ込みを入れたいところを抑え、一番気になっている事を質問した。
それは、「「「結局、悪魔をどうしたの!?」」」という事である。
カズキと対峙していた筈の悪魔の姿はそこに無く、代わりにあったのは、人一人が入れそうな大きさのドラム缶だった。
恐怖から無意識に目を逸らしていた三人は、悪魔が動かなかったのではなく、動けなかったという事に、この時初めて気付いたのである。
「ああ、それか。どうやらアイツは、『時空の歪み』に干渉出来るらしくてな。どうやってチOオちゅーるをこれだけ大量に召喚したのか聞きたいから、取り敢えずあの中に閉じ込めたんだ」
この場所に来る資格を得る為だけに、次元屋の従業員になろうと画策していたカズキにとって、目の前の存在は渡りに船、鴨が葱を背負って来たと言える状況だった。
だが、話を聞こうと思った時、クレアにチOオちゅーるをねだられる。
カズキの中の優先順位は猫が一番なので、悪魔が邪魔しないように、とりあえずオリハルコン製のドラム缶を作って閉じ込めたという事だった。
「とりあえずで悪魔の身動きを封じたのですか・・・・・・」
悪魔の正体を看破したマイネが、呆然と呟く。
古代の魔法使い達を恐怖のどん底に陥れた存在も、カズキにとってはただの情報源でしかない事が判明した瞬間であった。
よく耳を澄ますと、中から金属のぶつかり合う音が聞こえてくる。
突然降りかかった理不尽な運命に、悪魔が必死に抗っているのだろう。
「それで三人はどうしてここにいるんだ? 向こうに戻る予定だったよな?」
その状態を作り出した張本人は、そちらを全く気に掛ける事もなく三人に質問する。
「実は・・・・・・」
悪魔に多少の同情をしつつ、ラクトが代表して、扉が通れなくなっている事をカズキに説明した。
「そっか。これは推測だが、俺たちがここに来る前に魔法か何かを使ったんだろうな。多分だけど、一方通行になるようなヤツ」
「「「成程」」」
カズキの見解に、三人が納得の表情を見せた。
だが問題はまだ残っている。
どうすれば、ここから出れるのか? という事だ。
「普通に考えれば、術者を倒せば魔法の効果が消えると思うんだけど・・・・・・」
「それも含めてアイツに聞いてみよーぜ?」
そう言って、カズキがナンシーとクレアをチOオちゅーると一緒に三人に託す。
話の最中に水を飲ませてもらっていた二匹は、満足したのか眠そうな顔をしていた。
「みんなはここから動かないでくれ。本当は【次元ハウス+ニャン】の中に避難した方が良いんだが、ここだと発動しないみたいだ」
扉を潜る前にカズキが推測した通り、『時空の歪み』がある場所はこの世界とは隔離された場所のようだった。
確保したチOオちゅーるを収納する為に【次元ハウス+ニャン】を発動しようとしたが、失敗に終わったのだとカズキは語る。
ラクトの計画はこの時点で破綻していたのだが、カズキが悪魔を相手にしていない事を知ったので、問題は無いように思えた。
だが、カズキにとっては大した事の無い相手でも、古代魔法文明時代に猛威を振るった存在は伊達ではない。
微かに聞こえていた金属音が止むと、不意に魔力が爆発的に広がる。
次の瞬間、オリハルコン製のドラム缶がドロドロに溶け落ち、中から悪魔が姿を現した。
先程の余裕の態度は消え失せ、全身から殺気が立ち昇っている。明らかに怒っていた。
「オリハルコンを溶かすほどの魔法を使うなんて・・・・・・」
悪魔の殺気に中てられたマイネが、そう呟きながらその場にへたり込んだ。
ラクトとフローネも同様で、普段通りなのは直接殺気を向けられているカズキだけである(ナンシーとクレアは一瞬反応したが、カズキに撫でられて夢の中へと旅立った)。
「丁度良かった。あんたに聞きたい事があるんだけど」
悪魔の怒りを意に介さず、目的を果たす為にカズキは悪魔に声を掛けた。
「ふざけるな! 貴様は許さん! 八つ裂きにして、内臓を喰らってくれる!」
当然だが、悪魔は聞く耳を持たない。激高しながら炎や衝撃波を乱れ打ちし始めた。
「・・・・・・なあラクト。アイツ、話が通じねーぞ?」
悪魔の攻撃を魔法で防ぎながら、心底不思議そうな顔をしたカズキの問いに、ラクトは溜息を吐いた。
「・・・・・・いきなりドラム缶に閉じ込められたんだから、無理もないと思うけど」
「そうか? いきなり攻撃してきたのはアイツだぞ? それを、反撃しないで閉じ込めただけなんだから、感謝して質問に答えてくれても良いと思わねー?」
「きっと、そこまで心が広くないんじゃないかな・・・・・・」
カズキの何処かズレた物言いに、ラクトは諦めたようにそう答えた。
結果、悪魔の周囲に落ちている物の中に、大量のチOオちゅーるを発見する事となる。
当初の目的を果たしたカズキであったが、問題は悪魔の周囲に散らばっている事だった。
「ヤバイな・・・・・・」
とカズキが言ったのは、チOオちゅーるが戦闘の余波でダメになることを懸念してのものだった。
ならばと全てのチOオちゅーるに防御魔法を掛ける事を即断し、実行。
悪魔が攻撃を仕掛けてきたのは、その直後の事であった。
「とまあ、そんな訳なんだが」
カズキの話を聞いた三人は、色々と突っ込みを入れたいところを抑え、一番気になっている事を質問した。
それは、「「「結局、悪魔をどうしたの!?」」」という事である。
カズキと対峙していた筈の悪魔の姿はそこに無く、代わりにあったのは、人一人が入れそうな大きさのドラム缶だった。
恐怖から無意識に目を逸らしていた三人は、悪魔が動かなかったのではなく、動けなかったという事に、この時初めて気付いたのである。
「ああ、それか。どうやらアイツは、『時空の歪み』に干渉出来るらしくてな。どうやってチOオちゅーるをこれだけ大量に召喚したのか聞きたいから、取り敢えずあの中に閉じ込めたんだ」
この場所に来る資格を得る為だけに、次元屋の従業員になろうと画策していたカズキにとって、目の前の存在は渡りに船、鴨が葱を背負って来たと言える状況だった。
だが、話を聞こうと思った時、クレアにチOオちゅーるをねだられる。
カズキの中の優先順位は猫が一番なので、悪魔が邪魔しないように、とりあえずオリハルコン製のドラム缶を作って閉じ込めたという事だった。
「とりあえずで悪魔の身動きを封じたのですか・・・・・・」
悪魔の正体を看破したマイネが、呆然と呟く。
古代の魔法使い達を恐怖のどん底に陥れた存在も、カズキにとってはただの情報源でしかない事が判明した瞬間であった。
よく耳を澄ますと、中から金属のぶつかり合う音が聞こえてくる。
突然降りかかった理不尽な運命に、悪魔が必死に抗っているのだろう。
「それで三人はどうしてここにいるんだ? 向こうに戻る予定だったよな?」
その状態を作り出した張本人は、そちらを全く気に掛ける事もなく三人に質問する。
「実は・・・・・・」
悪魔に多少の同情をしつつ、ラクトが代表して、扉が通れなくなっている事をカズキに説明した。
「そっか。これは推測だが、俺たちがここに来る前に魔法か何かを使ったんだろうな。多分だけど、一方通行になるようなヤツ」
「「「成程」」」
カズキの見解に、三人が納得の表情を見せた。
だが問題はまだ残っている。
どうすれば、ここから出れるのか? という事だ。
「普通に考えれば、術者を倒せば魔法の効果が消えると思うんだけど・・・・・・」
「それも含めてアイツに聞いてみよーぜ?」
そう言って、カズキがナンシーとクレアをチOオちゅーると一緒に三人に託す。
話の最中に水を飲ませてもらっていた二匹は、満足したのか眠そうな顔をしていた。
「みんなはここから動かないでくれ。本当は【次元ハウス+ニャン】の中に避難した方が良いんだが、ここだと発動しないみたいだ」
扉を潜る前にカズキが推測した通り、『時空の歪み』がある場所はこの世界とは隔離された場所のようだった。
確保したチOオちゅーるを収納する為に【次元ハウス+ニャン】を発動しようとしたが、失敗に終わったのだとカズキは語る。
ラクトの計画はこの時点で破綻していたのだが、カズキが悪魔を相手にしていない事を知ったので、問題は無いように思えた。
だが、カズキにとっては大した事の無い相手でも、古代魔法文明時代に猛威を振るった存在は伊達ではない。
微かに聞こえていた金属音が止むと、不意に魔力が爆発的に広がる。
次の瞬間、オリハルコン製のドラム缶がドロドロに溶け落ち、中から悪魔が姿を現した。
先程の余裕の態度は消え失せ、全身から殺気が立ち昇っている。明らかに怒っていた。
「オリハルコンを溶かすほどの魔法を使うなんて・・・・・・」
悪魔の殺気に中てられたマイネが、そう呟きながらその場にへたり込んだ。
ラクトとフローネも同様で、普段通りなのは直接殺気を向けられているカズキだけである(ナンシーとクレアは一瞬反応したが、カズキに撫でられて夢の中へと旅立った)。
「丁度良かった。あんたに聞きたい事があるんだけど」
悪魔の怒りを意に介さず、目的を果たす為にカズキは悪魔に声を掛けた。
「ふざけるな! 貴様は許さん! 八つ裂きにして、内臓を喰らってくれる!」
当然だが、悪魔は聞く耳を持たない。激高しながら炎や衝撃波を乱れ打ちし始めた。
「・・・・・・なあラクト。アイツ、話が通じねーぞ?」
悪魔の攻撃を魔法で防ぎながら、心底不思議そうな顔をしたカズキの問いに、ラクトは溜息を吐いた。
「・・・・・・いきなりドラム缶に閉じ込められたんだから、無理もないと思うけど」
「そうか? いきなり攻撃してきたのはアイツだぞ? それを、反撃しないで閉じ込めただけなんだから、感謝して質問に答えてくれても良いと思わねー?」
「きっと、そこまで心が広くないんじゃないかな・・・・・・」
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