上 下
22 / 343

第二十二話 猫たちの食糧事情

しおりを挟む
 クリスを加えて総勢五人となった一行は、ギルドのある校舎へと入った。

「ここも久しぶりだな」

 クリスが懐かしそうに言う。

「そうなのか?」
「ああ。卒業して以来だ。全然変わってない。ランキング戦の・・・」

 そこまで言いかけて、クリスはカズキを見た。

「おい、カズキ」
「ん?」
「なんでお前の名前がここに入っている?まだ三日目だぞ」

 その言葉に、皆が掲示板を見た。

「どれどれ。本当だ、武器戦闘の十位にカズキの名前が書いてあるよ」
「マジ?昨日の今日でもう載ってるのか。仕事が早いな」
「なに言ってるのよ。昨日の帰りには、もう変わっていたわよ?」
「はい。私も見ました」
「そうだったのか。興味ないから気にしてなかった」

 口々にそう言っていると、昨日の事を知らないクリスが、近くにいたラクトに話しかけた。

「えーと。ラクト君だったかな?」
「何でしょうか、クリストファー殿下!」

 『剣帝』に話しかけられて、ラクトは背筋を伸ばした。
 先程の醜態はさておき、やはりラクトからすれば雲の上の存在であるクリス。
 反射的に敬語が出てしまうのも、仕方ない事であった。

「クリスで良い。すまないんだが、昨日何があったのか教えてくれないか?」
「分かりました!」
「敬語もいらないよ。カズキと話す時と同じ感覚で構わない」

 爽やかで気さくな雰囲気を醸し出すクリスに、外野からツッコミが入った。

「出た!剣帝モード!」
「さっき土下座した所を見られてるから、今更取り繕ったって遅いのに」
「お兄様。姑息です」
「・・・・・・」

 三人の言葉に、クリスは黙り込んだ。とりわけフローネが容赦ない。
 妹にとどめを刺されたクリスは、がっくりと肩を落とした。 

「ありゃ、黙り込んじまった」
「放っておきましょう。その内元に戻るから」
「そうだな。それよりも早く行こうぜ。なんか注目を集めてるみたいだ」

 カズキの言う通り、一行は注目を集めていた。
 ここの卒業生であり、邪神を倒した英雄。この国の王子にして、世界最強の剣士として名高い『剣帝』クリストファーの顔を知らない者は、この学院の生徒にはいない。
 エルザもいるのだが、彼女は卒業後も顔を出していたので、その性格が知れ渡っている。
 関わり合いを恐れて近づかない者も多かった。

「ギルドにいる奴らもこっちを見てるな。クリスをここに置いておけば、依頼を選びたい放題じゃねえ?」
「鬼だね、カズキ」

 剣帝モードに騙されかけていたラクトが、我に返ってそう言った。

「適材適所ってやつだ。別に、いなくても問題ないからな」
「そんな事を言える人は、カズキかエルザ様くらいだよ・・・」
「いいか?今から奴らをクリスに押し付ける。みんなは壁沿いに、ギルドへ向かってくれ」

 そう言って、カズキはナンシーをエルザに託した。

「分かったわ。二人共ついて来て」

 頷いたエルザがフローネとラクトを連れて行くのを確認して、カズキはクリスに向き直った。

「さて、クリス。早速だが借りを返してくれ」

 カズキの言葉に不穏な響きを感じ取ったクリスが、咄嗟に身を翻そうとしたが果たせなかった。
 その前にカズキが手首を掴んでいたのである。

「カズキ・・・。何をする気だ?」
「言っただろ?借りを返せって」

 そう言ってから、カズキは魔法まで使って施設内に声を届けた。

「あれー?もしかして『剣帝』クリストファー様ですかー?世界を救ってくれて、ありがとうございますー。よろしければ、握手して下さいー」

 感情の籠らない声でそう言って、強引にクリスと握手をする。 
 効果はすぐに現れた。遠巻きにして様子を窺っていた生徒たちが、カズキをきっかけにしてクリス目掛けて殺到してきたのだ。

「計画通り」

 黒い死のノートを持ったお月様のような顔をして、カズキは立ち去った。

「やられた!」

 カズキの意図に気付いた時には、クリスと握手をしようとする者達で長い行列が出来ていた。
 もはや逃げ場はない。カズキやエルザなら無視して立ち去るかもしれないが、クリスはこの国の王子である。そのような振る舞いは出来なかった。

「クリストファー様!」
「剣帝様!」

 剣帝モードを発動してにこやかな表情で握手に応じるクリスを横目に、カズキはギルドで待っていた三人と合流した。

「上手くいったわね。今のうちに依頼を選びましょう?」
「そうだな。ラクトは稼げる依頼が良いんだろ?」

 クリスの方を見ていたラクトは、カズキに問われて目的を思い出した。

「うん。出来ればね。所で、クリスさんはあのままでいいの?」
「良いんだ。これ位で借りを返せるなら安いもんだろ?」
「そうね。あいつだって分かってるわよ。ラクト君が気にする必要はないわ」
「大丈夫ですよ、ラクトさん。お兄様は慣れていますから」

 三人がかりで言われ、ラクトは納得する事にした。考えるのを止めたともいうが。

「お?これなんか良いんじゃねえ?成功報酬だけど」

 カズキが手にしていたのは、ワイバーンの討伐依頼だった。討伐したパーティへの報酬は、五百万円とパーティに単位十と書いてある。単位は、仲間内で自由に分配できるらしい。

「五百万?ワイバーン退治の報酬にしては安すぎる気がするんだけど」
「そうなのか?」
「うん。相場は一千万円位だったと思うけど・・・」

 ラクトの疑問には、エルザが答えた。

「学院を卒業するには、単位が必要だからよ。報酬が少ない分、単位が十と多い訳」
「そういう事か。・・・ねーさんにひとつ聞きたいんだけど」
「なに?」
「単位って、次の学年に持ち越すのか?」
「ええ」
「やっぱりな」
「え?なにがやっぱりなの?」

 一人で納得して頷いているカズキに、ラクトが説明を求めた。

「ジュリアンが、一年生が進級に必要な単位は十って言ってただろ?」
「うん」
「じゃあ、二年から三年には?」
「単位を持ち越せるのですから、二十ではないですか?」
「僕もそう思う」

 フローネにラクトが同意する。

「そこら辺はまだ分からないが、仮にそうだとして」

 カズキはそこまで言ってから二人を見た。

「卒業に必要な単位は幾つだと思う?」
「三十?・・・な訳ないよね。それなら合格者がもっと出ている筈だし」

 ラクトは、自分の言葉を否定した。

「俺もそう思う。まあ、卒業試験がめちゃくちゃ厳しい可能性もあるけど。理由はこの依頼書だな。ワイバーンを退治して、単位を十も貰えるのはおかしいと思わないか?」
「いやいやいや、カズキの基準で考えないでよ!ワイバーンは、全員がAランク以上の冒険者パーティじゃないと依頼も受けられないのに!」
「ってナニ?」

 カズキが首を捻った。

「・・・もしかして、ランクの事を知らないの?」
「うん」
「お二人と旅してたんだよね?」
「うん」
「ライセンス持ってたよね?」
「うん」

 うんとしか言わないカズキ(ナンシーが肩に飛び乗ってきたので、構うのに忙しかった)にラクトはため息を吐いた。

「ギルドで説明とか受けなかった?」
「さあ?手続きは全部クリスに任せてたし、依頼受けるのも、俺はノータッチだったしなぁ」

 当時を思い出し、カズキはそう答えた。

「じゃあ、自分のランクも・・・?」
「知ってる訳がない」
「だよねー。ちょっと確認してみようか」

 ラクトは学生証を取り出して、一ページ目をカズキに見せた。

「ほら、名前の横にDってあるでしょ?これがランクね」

 冒険者には、実績に応じてランクが付けられる。一番上がSで、以下A~Gまでに分けられる。
 Gは駆け出しのペーペーで、フローネも当然Gである。
 Dランクは下から四番目だが、EとDの間には壁があり、長年Eで燻っている者も多い。ラクトの年齢でDランクになるのは稀で、彼の密かな誇りだった。

「どれどれ」

 ラクトの説明を聞きながら、カズキが学生証を取り出した。

「まあ、カズキなら間違いなくSランクだと思うけど」

 ラクトの声には僅かな嫉妬が滲にじんでいたが、カズキは気付かなかった。

「うん?俺のランクはDだな。ラクトと同じだ」
「嘘でしょ!?」

 何故か嬉しそうなラクト。

「見てみるか?」

 カズキから学生証を受け取ったラクトが見てみると、確かにDとなっていた。

「あれ?僕のとちょっと違うような・・・」

 疑問に思っていると、一緒に見ていたフローネが、何かに気付いたようだった。

「ラクトさん。Dの下に何か書いてあります」
「ホントだ。えーと・・・unique(ユニーク)?なにこれ」 

 ラクトの疑問には、エルザが答えた。

「Dは大賢者のD。unique(ユニーク)は、唯一無二という意味よ。邪神を倒した私たちに、称号を贈って便宜を図るとか言ってたわね。本当はWとかにしようと思ってたらしいけど、それだとバレバレでしょ?だから苦肉の策で、そうなった訳。・・・ギルドの人間はセンスが無いわね」
「そうですね。Wと言うのは、ウィザードの事ですか?」
「それと、ワイズマンも掛かってるわね。両方の意味を込めて大賢者って話よ」
「なるほど・・・」
「ちなみに、私とクリスはS。saint(聖女)とsword emperor(剣帝)ね。まあ、ギルド職員が見たらバレバレだけど、他の人はじっくり見ないでしょ?」
「「「なるほど」」」
「って、なんでカズキが知らないのかが不思議なんだけど。邪神を倒した後に貰った称号なんですよね?」

 釈然としない様子のラクトが、エルザに尋ねる。

「そうなんだけど、この子は禁断症状に苦しんでいたから」
「禁断症状・・・ですか?」

 ラクトは、カズキが邪神を倒すために、代償のある魔法でも使ったのではないかと思った。
 そうまでしなければならない程、邪神は強かったのだと。
 だが、ラクトは間違っていた。

「ええ。ナンシーと離れて五日も立っていたから」
「・・・はい?」
「ナンシーを始めとした猫たちを護る為に、カズキは戦ったの。封印では未来の猫たちに危害が及ぶかもしれないでしょ?」
「・・・・・・」

 信じられない話であったが、エルザがそう言っている以上、事実なのだろう。
 「ナンシーありがとう。世界を救ってくれて」ラクトは遠い目をしてそう呟いた。

「カズキとナンシーは離れた事がなかったの。旅の間もずっと一緒だった。私達もナンシーの可愛さに救われていたわ」

 ラクトがナンシーに感謝の祈りを捧げている間も、エルザの話は続いていた。

「そんなカズキが邪神と戦うとなった時に、初めてナンシーを置いていく決断をした」

 もしかしたら、自分は死ぬかもしれない。当時のカズキはそう思ったのであろうか。

「でも、邪神は弱かった」
「え!?」
「その反動で、カズキの緊張の糸が切れてしまったの。こんな事なら、ナンシーを連れて来るんだった。そう言いながら、かつお節をじっと見つめていたわ」
「今、とんでもない事サラッと言いませんでした!?」

 エルザはラクトの言葉を無視して話を続けた。

「そんな状態だったから、称号とか言われても覚えている筈がないのよ」

 エルザが話し終えたとみて、ラクトが手を上げた。

「質問いいですか?」
「なーに?」
「邪神って、どれ位の強さなんでしょう?」
「難しい質問ね。『勇者以外の攻撃無効』の能力が無ければ、クリスやカズキなら瞬殺?」
「全然分からないんですが・・・」

 基準が規格外すぎるので、余計混乱しただけだった。

「じゃあ、どうやって倒したんですか?攻撃が効かないんですよね」
「それは・・・」
「それは?」

 期待にラクトの胸が高鳴った。

「ローラン・フリードの新作で語られるわ!」
「ええええええ!」

 自分のペンネームが聞こえて、フローネが振り返った。
 手帳を持っている所を見ると、何やら作業をしていたようである。

「どうかしましたか?」
「ラクト君が、新作を早く読みたいって」
「お待たせして申し訳ありません。なるべく早くお届け出来るようにしますから」
「・・・期待しています」
「はい!」

 フローネは嬉しそうに返事した。
 結局、何も分からなかったラクトは、途中から姿を消したカズキが気になった。嫌な予感がする。

「ラクト、ワイバーンの依頼受けたから」

 案の定だった。
 あろうことか、ワイバーン退治である。
 しかもパーティ申請も済ませてあって、リーダーはラクトになっていた。

「・・・んで」
「どうした?」
「なんでその依頼を受けたの!?というか、受けられないはずじゃ・・・」
「ああ、そんな事か。俺のライセンスには、制限が無いんだとさ。パーティメンバーのランクも何もかも」
「さっき言った便宜の事ね。他にも色々あるみたいだから、少し楽しみだわ」
「それにしたって・・・」
「報酬も上乗せされるってさ。それに、ワイバーンの肉は美味いぞ?ナンシーの好物なんだ。そろそろ肉がなくなる所だったから、丁度良かったな」

 ワイバーンは、高級食材である。
 最初に食べたのは初代勇者と伝わっていた。邪神との戦いの影響で世界中で食物が不足した時、邪神を倒せなかった罪悪感から、能力(死に戻り)を使って食べられる魔物を探し始めたのが発端であった。
 彼の活躍によって、大勢の人々が餓死を免れたのは有名な話である。

「ナンシーって、ワイバーンの肉を食べてるんだ。僕も食べた事ないのに・・・」

 ワイバーンはドラゴンの亜種と言われている。体長十メートル前後、前肢が翼になっているのが特徴で、知能は低いと言われていた。
 高速で空を飛び、上空から一方的に炎を吐いてくる厄介な魔物である。運よく近づけても、強靭な尾を振り回し、止めに先端には毒針がある。掠っただけで即死する猛毒だが、普通はその時点で死んでいる者が大半であった。
 その為、討伐依頼が出されても受けない冒険者の方が多い。報酬が一千万円では割に合わないからだ。それなら他の依頼を受けた方が安全で効率も良い。
 では何故報酬が安いのかというと、食用として高く売れるからである。値段は討伐者の言い値で決まり、ワイバーン一匹丸ごと売れば、一生遊んで暮らせると言われている。
 問題は大きすぎて運べない事と、一日経つと急速に腐敗が進行してしまう事だ。それまでに氷漬けにすれば問題ないが、魔法使いがいないとそれも難しい。
 Aランクになり立ての冒険者が挑んでは、全滅する事でも有名である。

「ナンシーだけじゃないけどな。城にいる人たちにも分けたから。エリーやクレアも美味しそうに食べているぜ?」

 カズキがナンシーと二人で郊外に出かけた時(カズキ的にはデート)、ワイバーンに襲われた事があった。
 初めて見たその魔物を簡単に撃退したカズキは、物珍しさも手伝って、氷漬けにして城に持ち帰ったのである。
 当然、城中が大騒ぎになった。ワイバーンを一人で撃退した上に、丸ごと持ち帰ったからだ。
 価値を知らないカズキは、元手がゼロだからと気前よく皆に提供してしまった。・・・猫たちの分を除いて。

「私も食べました。とっても美味しかったです・・・」

 記憶が蘇ったのか、フローネがうっとりとした表情でそう言えば、エルザも頷いた。

「私もよ。でも一番美味しいのは、仕留めた直後に食べる事だと言われているわね。新鮮だから、生でもいけるらしいわよ?」

 ラクトは生唾を飲み込んだ。食欲が恐怖を上回りつつあるようだ。

「ワイバーンか・・・。カズキが依頼を受けちゃったから、しょうがないよね?」

 そう言いつつも、顔がニヤけるのを止められないラクト。
 そして、「そう。これは仕方ない事なんだ・・・」などと呟きだした。

「お?ラクトが自分を騙そうとしてるな」
「仕方無いんじゃない?私達だって、カズキがいなければ食べられなかったんだし」
「そうですね。お城のみんなも喜んでいましたから。・・・私もまた食べたいですし」
「ワイバーンかぁ。どんな味がするんだろうなぁ。楽しみだなぁ」
「ラクトも前向きになったみたいだし、そろそろ出発しようぜ」

カズキは妄想を垂れ流すラクトを見て、その肩を叩いた。

「はっ!僕は何を・・・。御馳走は?」
「どんな夢を見ていたのか丸わかりな台詞だな」
「そっ、そんな事ないよ!?僕はただ、一刻も早くワイバーンを食べたいだけなんだ!」
「誤魔化せてないわよ?」
「うっ。と、とにかく出発しましょう!」

 そう言って先頭に立って歩き出すラクト。
 他の三人も顔を見合わせた後に続いた。
 クリスを放置したまま・・・。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

プロクラトル

たくち
ファンタジー
1つの世界が作られた、「最後に残った物にこの世界を任せよう」 選ばれた7人の神は互いに使徒を生み出し、争いを始めた。 100年にも及ぶ戦争は決着がつかず、大規模な戦争により世界は崩壊の危機にあった。 「仕方ない世界を7つに分けようか」 神の1人が言った。長い戦いに疲弊していた7人の神は最後の力を使い世界を7つに分けルールを作った。 一、神本人同士では争わない 二、証を作り、7つの証を集めたものが勝者となる 三、証を集めるのは代行者が行い、7つ集めた者の願いを叶える 世界は崩壊を免れ、争いの火種は鎮火した。 しかし、1人の神だけは唯一の支配者となる事を諦めていなかった。 これは、願いを叶えるため代行者なり、神々への挑戦者となった1人の少年の物語。 【ご注意】 初めてのものになるので、読みづらかったり、変な所が出てきてしまうと思います。ご了承下さい。 感想や評価などしていただけたら嬉しいです それではよろしくお願いします。

【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する

土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。 異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。 その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。 心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。 ※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。 前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。 主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。 小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

料理をしていたらいつの間にか歩くマジックアイテムになっていた

藤岡 フジオ
ファンタジー
 遥か未来の地球。地球型惑星の植民地化が進む中、地球外知的生命体が見つかるには至らなかった。 しかしある日突然、一人の科学者が知的生命体の住む惑星を見つけて地球に衝撃が走る。  惑星は発見した科学者の名をとって惑星ヒジリと名付けられた。知的生命体の文明レベルは低く、剣や魔法のファンタジー世界。  未知の食材を見つけたい料理人の卵、道 帯雄(ミチ オビオ)は運良く(運悪く?)惑星ヒジリへと飛ばされ、相棒のポンコツ女騎士と共に戦いと料理の旅が始まる。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

全てを奪われ追放されたけど、実は地獄のようだった家から逃げられてほっとしている。もう絶対に戻らないからよろしく!

蒼衣翼
ファンタジー
俺は誰もが羨む地位を持ち、美男美女揃いの家族に囲まれて生活をしている。 家や家族目当てに近づく奴や、妬んで陰口を叩く奴は数しれず、友人という名のハイエナ共に付きまとわれる生活だ。 何よりも、外からは最高に見える家庭環境も、俺からすれば地獄のようなもの。 やるべきこと、やってはならないことを細かく決められ、家族のなかで一人平凡顔の俺は、みんなから疎ましがられていた。 そんなある日、家にやって来た一人の少年が、鮮やかな手並みで俺の地位を奪い、とうとう俺を家から放逐させてしまう。 やった! 準備をしつつも諦めていた自由な人生が始まる! 俺はもう戻らないから、後は頼んだぞ!

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

異世界サバイバルセットでダンジョン無双。精霊樹復活に貢献します。

karashima_s
ファンタジー
 地球にダンジョンが出来て10年。 その当時は、世界中が混乱したけれど、今ではすでに日常となっていたりする。  ダンジョンに巣くう魔物は、ダンジョン外にでる事はなく、浅い階層であれば、魔物を倒すと、魔石を手に入れる事が出来、その魔石は再生可能エネルギーとして利用できる事が解ると、各国は、こぞってダンジョン探索を行うようになった。 ダンジョンでは魔石だけでなく、傷や病気を癒す貴重なアイテム等をドロップしたり、また、稀に宝箱と呼ばれる箱から、後発的に付与できる様々な魔法やスキルを覚える事が出来る魔法書やスキルオーブと呼ばれる物等も手に入ったりする。  当時は、危険だとして制限されていたダンジョン探索も、今では門戸も広がり、適正があると判断された者は、ある程度の教習を受けた後、試験に合格すると認定を与えられ、探索者(シーカー)として認められるようになっていた。  運転免許のように、学校や教習所ができ、人気の職業の一つになっていたりするのだ。  新田 蓮(あらた れん)もその一人である。  高校を出て、別にやりたい事もなく、他人との関わりが嫌いだった事で会社勤めもきつそうだと判断、高校在学中からシーカー免許教習所に通い、卒業と同時にシーカーデビューをする。そして、浅い階層で、低級モンスターを狩って、安全第一で日々の糧を細々得ては、その収入で気楽に生きる生活を送っていた。 そんなある日、ダンジョン内でスキルオーブをゲットする。手に入れたオーブは『XXXサバイバルセット』。 ほんの0.00001パーセントの確実でユニークスキルがドロップする事がある。今回、それだったら、数億の価値だ。それを売り払えば、悠々自適に生きて行けるんじゃねぇー?と大喜びした蓮だったが、なんと難儀な連中に見られて絡まれてしまった。 必死で逃げる算段を考えていた時、爆音と共に、大きな揺れが襲ってきて、足元が崩れて。 落ちた。 落ちる!と思ったとたん、思わず、持っていたオーブを強く握ってしまったのだ。 落ちながら、蓮の頭の中に声が響く。 「XXXサバイバルセットが使用されました…。」 そして落ちた所が…。

処理中です...