惡魔の序章

後書き

　こんばんは。茅です。この後書きにまで目を通して下さり、ありがとうございます。

　この作品は、長編作品の「春」の息抜きで書いたものになります。年齢制限がある大人向けの小説を書いていると、純愛ものを書きたくなる心境になるのですよね。

　ちなみに舞台は、別作「春」のＩＦの世界です。小学生のかすかがゆきに誘拐されないルートの世界ですね。そして、かすかの苗字が出て来ましたね。行き当たりばったりで考えました。何故にさいおんじ？　笑

　 今回は、かすかといつきの恋愛模様によくが加わる物語となっています。長編作品「春」の方では、よくは未登場となります。かすかといつきに挟まれている、女子中学生のよくですが。この子は極々平凡な女の子です。ちっちゃい時のかすかを知っているという幼馴染ポジション。いつきも活躍させたいですね。よくとかすかが喧嘩した時に、かすかを諭すいつき。なんだかんだでいつきはかすかのお兄ちゃんだなって思います。

　ゆきはこの世界には存在しているのだろうか？　生存してるのかな？　と気になる所です。かすかを野放しにしとくのって、壊れたゆきでは有り得ない。そうして、ええ。出て来ましたね。出ちゃいましたね。ダークサイドのゆきが。笑

　最初の書き始めの頃、この世界のゆきは、死んでいるのかな？　と考えていたけれど。いや、あのゆきがそう簡単に死ぬ訳がないよなあと。笑

　何があっても、生きているよなあ……と思った茅です。あの例の件であの人と一緒に死んでいる線も考えたけれど、その線は薄いよなとも思いました。……だって、だってね、あのゆきだもの。笑

　「だっこ」を書き終えた時点で、「これ。何か薄味だよな……。何かが足りない。何でだろう？　ーーあ！　ゆきがいないからだ！」となりまして。前作では小学生のかすかでしたが、今作では中学生のかすかが、ゆきに誘拐されるというルートです。それで、前作との違いは、よくの存在ですね。かすかとセットで誘拐されてしまう、よくですが。前作の「春」を読まれている方は、もう大体、誘拐された後の展開がどうなるのかが分かったのではないでしょうか？　笑

　今作は短編小説として、完結となります。あれですね。別作の「春」の物語が長いので、今作の「惡魔の序章」はお試しの感覚で気軽に読める物語を意識して書いてみました。今作を読んで、気になった読者様が別作の「春」の方にも目を通して貰いたいなあと淡い期待を抱く茅です。後は、誘拐される前のかすかといつきとの平和な絡みが書きたかったというのもありますね。

　だってね。滅茶苦茶平和な後に、こういうサイコパス展開になって、舞台その物をひっくり返すという、どんでん返しをしたら、愉しくないですか？　主に私が。私がです。（強調）

　あ、それで。今作が、茅の名義での初の完結作品となりそうです。複数の連載を持ってしまって、「ーーこの作者、途中で書くのやめるんじゃねーのか？」という読者様からの疑いを払拭出来そうで何よりです。いやあ、完結。めでたい。笑

　後ね、やっぱり、ゆきという存在を投下する事で、駆け足で完結に辿り着ける事を知りました。直ぐ、ゴールが見える！　わりと偉大な存在、ゆき。笑

　壊れていないゆきも役に立つけど、壊れているゆきの方が利便性がありますね。ゆきが笑顔でゴー！　と言ったら、全ての登場人物を巻き込んだ上での待ったナシのゴー！　ですからねえ。笑

　なんだかんだで使い勝手のいいゆきです。わりとゆきに対して、愛着が出て来たのかなあ？　と思います。最初はゆきが滅茶苦茶、苦手な私でしたけど。笑

　何かね。ゆきと脳内で対話していると、ビシバシ抵抗感があって苦手意識があったんですよ。どんな時でもゆきは常時、笑顔だしね。ゆきとは正反対なかすかは、ひたすら無表情だったりします。温度差が激しい二人です。笑

　ゆきは、どの世界でもよしのがいないと、かすかラブなのは変わらないのですね。それだけ、かすかに執着し、かすかへしがみつきたい何かがあるのでしょう。ゆきにとって。

　今作の「惡魔の序章」を書いていて、思った事は、私は本当にかすかが好きなのだなと気付かされた事です。可愛くて可愛くて仕方がないのだと思います。

　あ、ゆきも愛着はありますよ？　でも、絶対にこの男には抱かれたくはないです。対等に喋れる悪友？　戦友でいられればそれで良し、です。笑

　初の完結作品となった、今作の「惡魔の序章」。いや、数日で書き終えたけれど、あっという間でした。高速で書いた即興小説。いかがだったでしょうか？　笑

　今回、バットエンドでしたが、「ーーこういったエンドもあるんだよ～」という展開が書きたかったのもあります。

　そんでもって、ゆきは通常運転の外道ですね。相変わらず、非情でかすかを自分の物にするなら、手段を選ばない。笑

　だけど、ゆきが、よくにはかすかの実母である、よしのの話をカミングアウトした事には、私も書いていて正直、驚きました。「ーーあ、ゆきがよしのの事を言った！？」ってなりましたね。うん。ゆきは、そういう事を余り口にしませんからね。笑

　てかゆきは、独占欲は強いし、わりと嫉妬深いですね。作者なのに、今更ながらにゆきのそんな一面に気付かされる私。笑

　ゆきは、拗らせると目も当てられないレベルでやばいという事が分かりました。まじで怖い。絶対に敵に回したくない。笑

　それにしても、手を動かしていて、ゆきは自動的に喋ってくれるから、非常に楽ですね。もう憑依のレベルで、私に乗り移って、口を動かしてくれる上に自発的に動いてくれるんですよ。私の中に内在しているゆきですが、私にとって、最も近くて遠い、隣人ですね。笑

　絶対、ゆきだけには、自分の魂を売りたくはないです。そうして、依存もしたくはない。唾棄すべき相手だと思って見てます。だけど、リスペクトは少なからず、してますね。笑

　私も私でなんだかんだで壊れていて、狂っていると言いますか……。サイコパスな一面はあるみたいです。まあ、だけどね。書き手なんてものは、何かしら、何処か一部が欠損していて、燻る何かが誰しもあると私は思っています。それがなかったら、筆を取っていないからです。まあ、偏見にも聞こえるかもしれませんが。笑

　かすかは、かすかで今作でも汚されていましたね。綺麗、さっぱり忘れてはいますけど。かすか本人はね。よくはどうなったのか。前作の「春」を読んでいる読者様は大体、察しはつくとは思うので、私も作者として多くは語りません。

　ちなみに、作業環境はアイパッドで書いてます。キーボードはありません。地道に指でぽちぽちと書いています。元々はね。メインの名義では、ノートパソコンで執筆してたんですけど。メインと茅の名義では書く姿勢の差別化をしたかったので、ツールを分けて書くようにしています。爆

　あ、そうそう。かすかは、友人からのリクエストで生まれた子なのですけれど。「ーーじゃあ、ゆきは？」と思った、読者様もいらっしゃるかと思いましたので、ゆきの事も書いてみようかなと思いました。ゆきはですね。モデルがいるんですよね。笑

　モデルに、こういう人が実在したら、何か嫌だなあという要素を付け加えて味付けしたのが。ーー今のゆきですね。でも、当初のゆきよりも大分、ゆきの人物像が変わった気がしますねー。私の中で、ゆきはもっともっと抵抗感があって、苦手意識が強くて、非常にとてつもなく、怖い存在でした。笑

　だけど、声は落ち着いた低い優しい声のイメージです。本の読み聞かせをしたら、子供が思わず、寝てしまうような。そんな声質ですね。笑

　ゆきは、子供好きで子供の面倒を見るのが、比較的、好きな大人だと思います。お父さんになったら、わりと子煩悩かな、と。ゆきは、よしのとの子供が欲しかったんじゃないのかなあ？　と密かに思います。ゆきもゆきで、少年時代は、複雑な母子家庭で育っていますからね。幸せな家庭像は欲しい願望は少なからず、あったのではないでしょうか？　ゆきの父親は、厳格で狡猾な男ですが、ゆき程、柔軟性はありません。かすかが二十歳の頃には、ゆきの父親は既に故人となっております。

　今作のかすかはかすかで表面上、平和な暮らしを余儀なくされる訳ですが。比較的、ゆきの都合良く動いてくれていますよね。うーむ。……かすかは、記憶を思い出す時はあるのかなあ？　あ、そうだ。かすかが記憶喪失になったのは、薬の所為ですね。薬の力を借りると、人間を洗脳出来たり、記憶を奪えたり出来るらしいです。

　前作の「春」のダイジェスト版風味になった、今作の「惡魔の序章」。あれですよね。一番の見所は、平和な高い場所から安心しきっている状態で真っ逆さまにどん底である、奈落に堕っこちる所だと思います。まさかのどんでん返し。物語の基盤をひっくり返すのは、滅茶苦茶に大好きな、茅です。

　はい。語りたい事は以上です。今作の「惡魔の序章」。楽しんで頂けましたら、幸いです。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。それではまた別の作品でお会いしましょう。茅でした。

　茅