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第1話〜10話
第2話 バイト探し
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東の小国で魔術の名門に生まれ、幼少時から大人顔負けの能力を発揮してきた少女、咲良。
様々な理由から人間界に嫌気が差し、何の準備もなく転移魔法で魔界の森へとやって来たら、レイモンド・サイナントカという、そこそこイケメンな青年に出逢った。しかもこのレイモンド君、知人から譲り受けた二階建ての家をタダで貸してくれるときた!
レイモンドの知人は老魔女だったらしいが、家の中の様子からは、とてもそんな風に感じられなかった。咲良はすぐに入居を決め、魔術が必要になったらいつでも協力すると約束した。
「わたしってば何て運がいいんだろう!」
レイモンドが帰ると、二階の新しい自室──かつての自室よりも整頓され、掃除が行き届いている──のベッドの上で大の字になり、咲良は幸せに浸った。
「レモン君にマジ感謝! レモン君マジ天使マジ神様! まあここ魔界だけど」
そういえばレイモンドの種族は何なのだろうか。人間は魔界人を悪魔、魔物などと一括りにしがちだが、実際には様々な種族が存在しているらしい。
「吸血鬼って感じはしなかったなあ、血色良かったし。霊体でもなさそうだった。妖魔とか? ハッ、まさか淫魔だったら……ヤダァもう! グフッ、ヒェヒェヒェッ!」
しばらくの間のんびりゴロゴロしていた咲良だったが、もっと現実に目を向けなくてはならない事くらいわかっていた。
「生活費稼がなきゃだよね……」
〈歌魔女の森〉から、だいたい一キロメートル離れた街中のレストラン〈ハルピュイア亭〉の一席。
「むむむ……」
青いメッシュを入れた銀髪と赤紫色の目を持つ妖魔の青年、ファヴニル・レーンは、長い事メニューブックとにらめっこしていた。
「坊や、決まったかい?」
四本腕の女性店員が、微かに苦笑を浮かべながらファヴニルの元へやって来た。
「さっきから随分と真剣に悩んでるね。いつものは頼まないのかい?」
「うーん、たまには違うものを試してみようと思って。でも……駄目だ」
ファヴニルはメニューブックを閉じて伏せ、己の敗北を認めた。
「迷っちゃって全っ然決めらんない!」
女性店員は豪快に笑い、
「じゃあやっぱり、いつものにしておきな」
「うん、そうする」ファヴニルは照れ笑いした。「呪殺鳥のステーキセット。ドリンクはアイスティーで」
「はいよ~」
女性店員が厨房の方へと去ってゆくと、ファヴニルはテーブルに頬杖を突いた。
──こういう時にスパッと決められない男って、ダサいのかなあ……?
ファヴニルは、よく一緒にこの店に来る年上の友人を思い浮かべた。彼にもお気に入りのメニューが存在するが、たまに違うものを頼む時でもすぐに決める。
──次こそ違うの頼もっと。
通路を挟んで斜め前のボックス席に座る女性二人が、こちらを見ている事に気付いた。目が合うと視線を逸らされたが、会話は耳に入った。
「可愛い。弟タイプみたいな」
「ね。何歳くらいだろ」
「一五〇くらいじゃない?」
ファヴニルは、ほんのり顔を赤らめて俯いた。
── ……一八八歳だい! 弟だっているし!
ファヴニルは〈ハルピュイア亭〉や〈歌魔女の森〉が属する第7地区の中で、五本の指に入る資産家の次男だ。マイペースで、中性的な顔立ちに残るあどけなさや、感情表現が素直でくるくると変わる表情も相まってか、実年齢よりも若く──悪く言えば幼く──見られる事が多い。
──あーあ。せっかくならカッコイイって言われたいな。それでもって、カッコイイって毎日のように褒めてくれる素敵な恋人も欲しい……。
出入口のドアが開き、ベルがガラガラと鳴り響いた。
「すいませーん! バイト募集してませんかー?」
若い女性の声が、ベルと同じくらいよく響いた。
「アルバイトぉ?」
応対したのは、二メートル以上の背丈に筋肉モリモリな牛頭の店長だ。
「皿洗いでも掃除でも四元素魔法を使った戦いでも、何でもやります!」
「いや、バイトなら今うちは間に合ってるよ。特に最後の一つは絶対必要ないし」
ファヴニルは他の客たちのように出入口の方を見やり──数秒後には恋に落ちていた。勿論、いかつい店長ではなく少女の方に。
──か……可愛い!
「なぁんだ残念……」
「すまんね、お客さんならいつでも大歓迎なんだが」
「じゃ、また今度お金持って来るわ」
少女が店を出て行くと、ファヴニルは数秒迷ってから席を立って後を追い掛けた。
──割とスパッと決められた方だよね?
「待って!」
「ん?」少女が足を止めて振り向く。
──ああ、やっぱり可愛い!
ついニヤけそうになるのを堪え、ファヴニルは続ける。
「あ、あの。今、お店の中で話を聞いていて。君、バイト探してるんだよね?」
「そうなの。如何わしいヤツと悪徳なヤツ以外で」
「そのどちらでもない、古書店のバイトなんてどう?」
「古書店!」少女の目が輝いた。「それいい! え、何処らへんのお店?」
「ここから駅方面に歩いて一〇分くらいだよ。精霊のおねーさんが経営していて、お店の名前は〈シルフィーネ〉」
「わあ、有難う! ちょっと今から行ってみる!」
ファヴニルは道案内を申し出ようとしたが、あと数分後にはテーブルに運ばれて来るであろう、呪殺鳥のステーキを思い出した。
──とっとと注文して、とっとと食べちゃえば良かったんだ! この優柔不断銀髪豚野郎!
「咲良っていうの」
「……えっ?」
「わたしの名前。咲良。親切なおにいさん、あなたは?」
──サクラ。名前まで可愛い……!
「あ……ボクはファヴニル。ファヴニル・レーン」
「へえ、カッコイイ名前ね!」
──!!
「それに苗字も覚えやすいし。実は今日、あなたとは別の親切なおにいさんに助けられたんだけど、その人の苗字が聞き慣れなくって。何だったかなあ、サイ……サイ、ホ──」
「案内するよ咲良ちゃん! 行こう〈シルフィーネ〉に!」
「遅いねえ、あの坊や」
優柔不断な銀髪の青年が注文した呪殺鳥のステーキは、熱々の鉄板の上に乗って運ばれて来たものの、徐々に冷めつつあった。
「店長、あの坊や、何処まで行っちゃったんだろうね」四本腕の女性店員は全ての腕を組み、首を捻った。「そもそも何で外に?」
「知らん。あと三分待っても戻って来んかったら肉は俺が喰うわ」
「じゃあ私サラダとアイスティー貰いっ」
様々な理由から人間界に嫌気が差し、何の準備もなく転移魔法で魔界の森へとやって来たら、レイモンド・サイナントカという、そこそこイケメンな青年に出逢った。しかもこのレイモンド君、知人から譲り受けた二階建ての家をタダで貸してくれるときた!
レイモンドの知人は老魔女だったらしいが、家の中の様子からは、とてもそんな風に感じられなかった。咲良はすぐに入居を決め、魔術が必要になったらいつでも協力すると約束した。
「わたしってば何て運がいいんだろう!」
レイモンドが帰ると、二階の新しい自室──かつての自室よりも整頓され、掃除が行き届いている──のベッドの上で大の字になり、咲良は幸せに浸った。
「レモン君にマジ感謝! レモン君マジ天使マジ神様! まあここ魔界だけど」
そういえばレイモンドの種族は何なのだろうか。人間は魔界人を悪魔、魔物などと一括りにしがちだが、実際には様々な種族が存在しているらしい。
「吸血鬼って感じはしなかったなあ、血色良かったし。霊体でもなさそうだった。妖魔とか? ハッ、まさか淫魔だったら……ヤダァもう! グフッ、ヒェヒェヒェッ!」
しばらくの間のんびりゴロゴロしていた咲良だったが、もっと現実に目を向けなくてはならない事くらいわかっていた。
「生活費稼がなきゃだよね……」
〈歌魔女の森〉から、だいたい一キロメートル離れた街中のレストラン〈ハルピュイア亭〉の一席。
「むむむ……」
青いメッシュを入れた銀髪と赤紫色の目を持つ妖魔の青年、ファヴニル・レーンは、長い事メニューブックとにらめっこしていた。
「坊や、決まったかい?」
四本腕の女性店員が、微かに苦笑を浮かべながらファヴニルの元へやって来た。
「さっきから随分と真剣に悩んでるね。いつものは頼まないのかい?」
「うーん、たまには違うものを試してみようと思って。でも……駄目だ」
ファヴニルはメニューブックを閉じて伏せ、己の敗北を認めた。
「迷っちゃって全っ然決めらんない!」
女性店員は豪快に笑い、
「じゃあやっぱり、いつものにしておきな」
「うん、そうする」ファヴニルは照れ笑いした。「呪殺鳥のステーキセット。ドリンクはアイスティーで」
「はいよ~」
女性店員が厨房の方へと去ってゆくと、ファヴニルはテーブルに頬杖を突いた。
──こういう時にスパッと決められない男って、ダサいのかなあ……?
ファヴニルは、よく一緒にこの店に来る年上の友人を思い浮かべた。彼にもお気に入りのメニューが存在するが、たまに違うものを頼む時でもすぐに決める。
──次こそ違うの頼もっと。
通路を挟んで斜め前のボックス席に座る女性二人が、こちらを見ている事に気付いた。目が合うと視線を逸らされたが、会話は耳に入った。
「可愛い。弟タイプみたいな」
「ね。何歳くらいだろ」
「一五〇くらいじゃない?」
ファヴニルは、ほんのり顔を赤らめて俯いた。
── ……一八八歳だい! 弟だっているし!
ファヴニルは〈ハルピュイア亭〉や〈歌魔女の森〉が属する第7地区の中で、五本の指に入る資産家の次男だ。マイペースで、中性的な顔立ちに残るあどけなさや、感情表現が素直でくるくると変わる表情も相まってか、実年齢よりも若く──悪く言えば幼く──見られる事が多い。
──あーあ。せっかくならカッコイイって言われたいな。それでもって、カッコイイって毎日のように褒めてくれる素敵な恋人も欲しい……。
出入口のドアが開き、ベルがガラガラと鳴り響いた。
「すいませーん! バイト募集してませんかー?」
若い女性の声が、ベルと同じくらいよく響いた。
「アルバイトぉ?」
応対したのは、二メートル以上の背丈に筋肉モリモリな牛頭の店長だ。
「皿洗いでも掃除でも四元素魔法を使った戦いでも、何でもやります!」
「いや、バイトなら今うちは間に合ってるよ。特に最後の一つは絶対必要ないし」
ファヴニルは他の客たちのように出入口の方を見やり──数秒後には恋に落ちていた。勿論、いかつい店長ではなく少女の方に。
──か……可愛い!
「なぁんだ残念……」
「すまんね、お客さんならいつでも大歓迎なんだが」
「じゃ、また今度お金持って来るわ」
少女が店を出て行くと、ファヴニルは数秒迷ってから席を立って後を追い掛けた。
──割とスパッと決められた方だよね?
「待って!」
「ん?」少女が足を止めて振り向く。
──ああ、やっぱり可愛い!
ついニヤけそうになるのを堪え、ファヴニルは続ける。
「あ、あの。今、お店の中で話を聞いていて。君、バイト探してるんだよね?」
「そうなの。如何わしいヤツと悪徳なヤツ以外で」
「そのどちらでもない、古書店のバイトなんてどう?」
「古書店!」少女の目が輝いた。「それいい! え、何処らへんのお店?」
「ここから駅方面に歩いて一〇分くらいだよ。精霊のおねーさんが経営していて、お店の名前は〈シルフィーネ〉」
「わあ、有難う! ちょっと今から行ってみる!」
ファヴニルは道案内を申し出ようとしたが、あと数分後にはテーブルに運ばれて来るであろう、呪殺鳥のステーキを思い出した。
──とっとと注文して、とっとと食べちゃえば良かったんだ! この優柔不断銀髪豚野郎!
「咲良っていうの」
「……えっ?」
「わたしの名前。咲良。親切なおにいさん、あなたは?」
──サクラ。名前まで可愛い……!
「あ……ボクはファヴニル。ファヴニル・レーン」
「へえ、カッコイイ名前ね!」
──!!
「それに苗字も覚えやすいし。実は今日、あなたとは別の親切なおにいさんに助けられたんだけど、その人の苗字が聞き慣れなくって。何だったかなあ、サイ……サイ、ホ──」
「案内するよ咲良ちゃん! 行こう〈シルフィーネ〉に!」
「遅いねえ、あの坊や」
優柔不断な銀髪の青年が注文した呪殺鳥のステーキは、熱々の鉄板の上に乗って運ばれて来たものの、徐々に冷めつつあった。
「店長、あの坊や、何処まで行っちゃったんだろうね」四本腕の女性店員は全ての腕を組み、首を捻った。「そもそも何で外に?」
「知らん。あと三分待っても戻って来んかったら肉は俺が喰うわ」
「じゃあ私サラダとアイスティー貰いっ」
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