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第二章
20XX年7月X日
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お父さんとお母さんが全く口を利かなくなってから、そろそろ一箇月が経とうとしている。三人で食事をしたり、長時間同じ空間(特にリビング)で過ごす事もなくなった。
僕の方は相変わらず、野村とその仲良しグループから絶えずいじめられている。僕の悪口で盛り上がり、ニヤニヤ笑いながらこちらを見てきたり、すれ違いざまに舌打ちされたり、汚い物扱いされたり。
昨日の昼休み、図書室に行こうと廊下に出たら、教室前で山井と喋っていた野村に足を引っ掛けられ、転んでしまった。二人は腹を抱えてわざとらしいくらいに馬鹿笑いした。
その直後、担任の中先生が教室から出て来て、僕と目が合った。まずいと思ったのか、二人は笑うのをやめてそれぞれ違う方を向いた。ところが中先生は、何も言わずに歩き去ってしまった。僕が倒れているのを見たはずなのに。二人の馬鹿笑いを聞いたはずなのに。
僕が立ち上がると、野村と山井はニヤニヤ笑いながら、教室に戻って行った。その場に残された僕に、他の生徒たちの視線が刺さる。自分が僕の立場じゃなくて良かった──皆の表情はそう語っていた。
もう少し我慢すれば夏休みだ。一箇月はあいつらと顔を合わせずに済む。夏休みに入ったら、勇気を出して、お父さんとお母さんに打ち明けよう……。
僕の方は相変わらず、野村とその仲良しグループから絶えずいじめられている。僕の悪口で盛り上がり、ニヤニヤ笑いながらこちらを見てきたり、すれ違いざまに舌打ちされたり、汚い物扱いされたり。
昨日の昼休み、図書室に行こうと廊下に出たら、教室前で山井と喋っていた野村に足を引っ掛けられ、転んでしまった。二人は腹を抱えてわざとらしいくらいに馬鹿笑いした。
その直後、担任の中先生が教室から出て来て、僕と目が合った。まずいと思ったのか、二人は笑うのをやめてそれぞれ違う方を向いた。ところが中先生は、何も言わずに歩き去ってしまった。僕が倒れているのを見たはずなのに。二人の馬鹿笑いを聞いたはずなのに。
僕が立ち上がると、野村と山井はニヤニヤ笑いながら、教室に戻って行った。その場に残された僕に、他の生徒たちの視線が刺さる。自分が僕の立場じゃなくて良かった──皆の表情はそう語っていた。
もう少し我慢すれば夏休みだ。一箇月はあいつらと顔を合わせずに済む。夏休みに入ったら、勇気を出して、お父さんとお母さんに打ち明けよう……。
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