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世界
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娯楽の女神は退屈していた。
天界は平和過ぎるし、平凡過ぎる。
何の面白みもない!!
娯楽の女神は、退屈してはいないかと、天使たちに尋ねてみた。
「全然そんな事ありません!」
「毎日とても楽しいです!」
「この環境に感謝しております!」
娯楽の女神は、退屈なんですけど、と他の神々に愚痴をこぼしてみた。
「あ、そうなの? それは残念だ」
「そう言われてもね……」
「仕事しろ仕事」
すっかり不貞腐れた娯楽の女神は、自室に戻って大の字に寝そべり、歌詞も音程も滅茶苦茶な即興の歌を、それはもう大きな声で唄い始めた。
見かねた運命の女神がやって来て、娯楽の女神に台座付きの小さな水晶をを差し出した。
「これを使うとね、人間界が覗けるのよ」
娯楽の女神は、早速水晶を覗いてみた。
そこに広がるのは、十人十色の人間模様。
気の向くままに旅を始めた青年。
同性に捻くれた愛情を覚えた女性。
何か一人で叫んでいるアマチュア女性作家。
束縛から解放され、快楽に堕ちた青年。
奇妙な冒険の旅を始めた三人組。
失った愛情と友情を再び手に入れた青年。
娯楽の女神はキラキラと目を輝かせた。
人間がこんなにも面白い生き物だったとは!
久し振りの高揚感に、水晶を両手に踊り始める。
これで当分の間、退屈せずに済みそうだ。
天界は平和過ぎるし、平凡過ぎる。
何の面白みもない!!
娯楽の女神は、退屈してはいないかと、天使たちに尋ねてみた。
「全然そんな事ありません!」
「毎日とても楽しいです!」
「この環境に感謝しております!」
娯楽の女神は、退屈なんですけど、と他の神々に愚痴をこぼしてみた。
「あ、そうなの? それは残念だ」
「そう言われてもね……」
「仕事しろ仕事」
すっかり不貞腐れた娯楽の女神は、自室に戻って大の字に寝そべり、歌詞も音程も滅茶苦茶な即興の歌を、それはもう大きな声で唄い始めた。
見かねた運命の女神がやって来て、娯楽の女神に台座付きの小さな水晶をを差し出した。
「これを使うとね、人間界が覗けるのよ」
娯楽の女神は、早速水晶を覗いてみた。
そこに広がるのは、十人十色の人間模様。
気の向くままに旅を始めた青年。
同性に捻くれた愛情を覚えた女性。
何か一人で叫んでいるアマチュア女性作家。
束縛から解放され、快楽に堕ちた青年。
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失った愛情と友情を再び手に入れた青年。
娯楽の女神はキラキラと目を輝かせた。
人間がこんなにも面白い生き物だったとは!
久し振りの高揚感に、水晶を両手に踊り始める。
これで当分の間、退屈せずに済みそうだ。
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