料理人がいく!

八神

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番外編『魔法使いがいく!』

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…会議室でのやり取りなど知らない彼は城を出た後に城下町を歩いていた。


「枢機卿様!」


すると魔導協会所属の魔術師が声をかけて来た。


「…教皇様より指示が届いております」

「…教皇直々に、だと…?」


魔術師の女性はキョロキョロと人目を気にするように周りを見渡すと、小声で彼に報告する。


「はい。『これ以上の攻略作戦は不要、B国への侵攻は必要無し』との事」

「…どういうことだ?」


教皇からの言葉を聞いて彼は訝しむように真意を問う。


「えーと…どうやらB国が講和を申し入れるそうです」

「講和…?」

「条件は今回の戦争の引き金となった領土の譲渡、所有権を認めるらしいとか」


魔術師の女性はまだ不確かな情報を曖昧な感じで伝える。


「…ほう」

「後は賠償金と戦後補償、輸入輸出の一時的な優遇…ほぼ無条件での降伏に近いですね」

「…問題はこの国がそれを呑むか、だが…なるほど」

「魔導協会が間を取り持ちますので、後は枢機卿様が撤退なされば…と教皇様が仰っておられました」


キョロキョロと話を他の人に聞かれたくないのか周りを気にしながら女性は小声で話す。


「ふん、援助だか寄付だかは一体いくらになるんだかな…」

「今、報告を終えましたので…現時点をもって枢機卿様へのご依頼は達成されました」


つきましては報酬の話になりますが、ここではちょっと…と女性は流石に場所を移動したい事を告げる。


「いや、報酬の話は後でも良い…報告ご苦労だった」

「え、いや…コレは…」


彼は女性を労うように言うとチップのつもりだろうか金を手渡した。


「まだ報告が控えてるのだろう?美味い物でも食べてから行くと良い」

「あ、ありがとうございます…!」


困惑する女性に彼が笑顔で肩に手を置きながら気遣うような事を言うと、感激したようにお礼を言って頭を下げる。



「…さて、俺も美味い物を食べるための土産を用意しないとな…」


彼は城下町の商店に並ぶ商品を見ながら何が珍しい食材なのかを考え始める。


…3時間後。


色んな町や村で食材を物色した彼はとりあえず手当たりしだいに珍しいと思った物を買い込んで召喚獣を喚び出し帰路についた。


…が結局、彼が今勝手に住み付いている居候先の山小屋へと着いたのは深夜。


寝てる人を起こすまい…と彼は小屋には入らず納屋の中で就寝する事に。 
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