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番外編『魔法使いがいく!』
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「あー、あー…敵のお前らに問う!魔導師は誰だ!!」
男は拡声器を手に陣営へと近づきながら問いかけた。
「俺は『聖騎士』!そこいらの雑魚では相手にならん!魔導師!出て来い!」
「…聖騎士だって…!?」
「ど、どうする?俺たちじゃ歯が立たない…撤退すべきじゃ…!」
「うろたえるな!作戦の変更はまだ出ていない!貴様らは与えられた任務を確実に遂行しろ!」
男の名乗りにA国の兵士達がざわざわと逃げ腰になるが、『准将』と表示されている男が一喝する。
「…ほう、アレが噂の聖騎士か…今までの俺ならこの状況でその名を聞いたら恐れをなして逃げていただろうが…」
今は違う…と、彼は内なる恐怖心を払うように呟いて男の所へと歩き出す。
「貴様か?魔導師は…?いや、この状況で俺に向かってくる奴に聞くのは無粋か」
男は自分に向かってくる彼に拡声器を通して問うが直ぐに拡声器を投げ捨てて笑う。
「貴様が聖騎士か…まさかこんな馬鹿正直に正面から来るとはな」
「ふっ、俺は『聖騎士』だ。闇討ち騙し討ちなどしない…奇襲をかける時も正面から名乗りを上げてからと決まっている」
彼の嘲笑うかのような言葉に男は自分の称号を指して流儀を告げた。
「なるほど、見下げたクズではないようだ…だが、なぜこのような事を?」
「…退屈なんだよ」
彼が尋ねると男はいきなり襲いかかるような真似はせずに答える。
「聖騎士になってからというもの戦う相手がいない…周りは雑魚ばかり、強くなるという目的が無ければ鍛えるという手段すら取れなくなった…」
男の自分語りに彼は黙って聞く。
「同じ聖騎士に戦いを挑んでも受けない、賢者も魔導師も同様だ…あいつらからすれば俺と戦うメリットなどありはしないからな!」
「…だから、戦争に手を貸したのか?」
「その通り。誰も俺の挑戦を受けないのであれば俺に挑ませるしかない…強い奴と戦うのに最も手っ取り早い方法を選んだまで」
彼が問うと男は頷いて肯定した。
「…そうか。それで貴様の想定通りこうして俺が現れた…と」
「聖騎士、賢者、魔導師のいずれかであれば誰でも良かった。別にお前でなくともな」
「ふん、俺が来た事は貴様に取っては不運以外の何物でもない。だが俺の踏み台になれるんだ、喜べ」
「くっくっくっ、踏み台…ね。お前がそこまで強いのなら喜んでやるさ」
さあ俺に戦いの喜びを教えてくれよ!と叫んで男は剣を抜く。
「待て。話の腰を折り、雰囲気を妨げて申し訳ないが…この戦いにおけるルールを決めたい」
今にも飛びかからんとする男を制止するように彼は手のひらを向ける。
「…戦いにルールだと?」
「そうだ、俺が一方的に貴様に押し付ける。一つは貴様が動けなくなったら敗けを認める事…一つはこの戦いで周りを巻き込まない事…だ」
聖騎士を名乗るならこのルールぐらい守ってもらおうか。と彼は高圧的かつ一方的に告げた。
「良いだろう!気に入った!お前自身の生死が入ってないとは強気な!剣スキル『スパイラルエッジ』!」
男は提案を呑むと素早く彼の懐に入り込んでスキルを使って剣を突くように攻撃する。
「魔導スキル『シールド』」
彼がスキルを使うと男の剣が薄い膜に弾かれた。
「くっくっく、並みの術師なら集中しないと防げないであろう俺の剣を…拡散シールドで防ぐとはな…面白い!剣スキル『バスターインパクト』!」
「ふん…魔導スキル『イグノースト』」
「なに…!?」
剣を両手持ちに変え、飛びかかりながら振り下ろしてスキルを使う男に彼はつまらなそうな顔でスキルを使って防ぐ。
男は拡声器を手に陣営へと近づきながら問いかけた。
「俺は『聖騎士』!そこいらの雑魚では相手にならん!魔導師!出て来い!」
「…聖騎士だって…!?」
「ど、どうする?俺たちじゃ歯が立たない…撤退すべきじゃ…!」
「うろたえるな!作戦の変更はまだ出ていない!貴様らは与えられた任務を確実に遂行しろ!」
男の名乗りにA国の兵士達がざわざわと逃げ腰になるが、『准将』と表示されている男が一喝する。
「…ほう、アレが噂の聖騎士か…今までの俺ならこの状況でその名を聞いたら恐れをなして逃げていただろうが…」
今は違う…と、彼は内なる恐怖心を払うように呟いて男の所へと歩き出す。
「貴様か?魔導師は…?いや、この状況で俺に向かってくる奴に聞くのは無粋か」
男は自分に向かってくる彼に拡声器を通して問うが直ぐに拡声器を投げ捨てて笑う。
「貴様が聖騎士か…まさかこんな馬鹿正直に正面から来るとはな」
「ふっ、俺は『聖騎士』だ。闇討ち騙し討ちなどしない…奇襲をかける時も正面から名乗りを上げてからと決まっている」
彼の嘲笑うかのような言葉に男は自分の称号を指して流儀を告げた。
「なるほど、見下げたクズではないようだ…だが、なぜこのような事を?」
「…退屈なんだよ」
彼が尋ねると男はいきなり襲いかかるような真似はせずに答える。
「聖騎士になってからというもの戦う相手がいない…周りは雑魚ばかり、強くなるという目的が無ければ鍛えるという手段すら取れなくなった…」
男の自分語りに彼は黙って聞く。
「同じ聖騎士に戦いを挑んでも受けない、賢者も魔導師も同様だ…あいつらからすれば俺と戦うメリットなどありはしないからな!」
「…だから、戦争に手を貸したのか?」
「その通り。誰も俺の挑戦を受けないのであれば俺に挑ませるしかない…強い奴と戦うのに最も手っ取り早い方法を選んだまで」
彼が問うと男は頷いて肯定した。
「…そうか。それで貴様の想定通りこうして俺が現れた…と」
「聖騎士、賢者、魔導師のいずれかであれば誰でも良かった。別にお前でなくともな」
「ふん、俺が来た事は貴様に取っては不運以外の何物でもない。だが俺の踏み台になれるんだ、喜べ」
「くっくっくっ、踏み台…ね。お前がそこまで強いのなら喜んでやるさ」
さあ俺に戦いの喜びを教えてくれよ!と叫んで男は剣を抜く。
「待て。話の腰を折り、雰囲気を妨げて申し訳ないが…この戦いにおけるルールを決めたい」
今にも飛びかからんとする男を制止するように彼は手のひらを向ける。
「…戦いにルールだと?」
「そうだ、俺が一方的に貴様に押し付ける。一つは貴様が動けなくなったら敗けを認める事…一つはこの戦いで周りを巻き込まない事…だ」
聖騎士を名乗るならこのルールぐらい守ってもらおうか。と彼は高圧的かつ一方的に告げた。
「良いだろう!気に入った!お前自身の生死が入ってないとは強気な!剣スキル『スパイラルエッジ』!」
男は提案を呑むと素早く彼の懐に入り込んでスキルを使って剣を突くように攻撃する。
「魔導スキル『シールド』」
彼がスキルを使うと男の剣が薄い膜に弾かれた。
「くっくっく、並みの術師なら集中しないと防げないであろう俺の剣を…拡散シールドで防ぐとはな…面白い!剣スキル『バスターインパクト』!」
「ふん…魔導スキル『イグノースト』」
「なに…!?」
剣を両手持ちに変え、飛びかかりながら振り下ろしてスキルを使う男に彼はつまらなそうな顔でスキルを使って防ぐ。
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