101 / 113
番外編『魔法使いがいく!』
9
しおりを挟む
「東側か…おそらく敵兵の数は一万を超えないだろう…予想通りならMPは足りるが、予想以上なら…」
急がずに明日へと作戦を延ばすべきか…?と彼は少しの不安を抱えながら支部の建物へと入る。
「枢機卿!報告は聞きました!あの大軍勢をわずか5分足らずで無力化したそうですね!」
「ああ、先手を取れたのが幸いだったな」
興奮した様子駆け寄って来た受付嬢を軽くあしらいながら地下室のドアを開けた。
「枢機卿…と言ったか!流石は魔導協会から派遣されて来ただけはある!半日も経たずに戦況をひっくり返すとは…!」
「あなた意外とやるわね。認めてあげてもいいわよ!」
「お、お嬢様!すみません…!」
「…これから東側に展開している部隊を無力化しようと思う、王都の奪還は明日になるが問題はないか?」
…既に戦争に勝ったかのように騒ぐ大人達や少女を無視して彼は一応礼儀を守って報告する。
「ああ!問題は無い!なんなら一週間かけても大丈夫だ」
「…そうか、王都はちゃんと奪還してやる。だから捕虜の件は任せたぞ」
ちゃんと部下に周知徹底させるんだな、と彼は王様に釘を刺して建物から出た。
「…作戦完了まであとどれくらいかかりそうだ?」
港町を出た彼は魔術師や兵士が忙しそうに動いてる敵陣に戻って来て『中将』と表示されているおじさんに問う。
「このペースでいくと…昼過ぎには完了するかと」
「そうか、人員は割けそうか?」
おじさんは魔術師と兵士の共同作業を見ながら予想を立てて返すと彼が尋ねる。
「今はまだ難しいですね…必要とあらば多少の融通は利きますが…」
「…いや、いい…俺は先に東側に向かうから余裕が出来たら夕方までに人員を回してくれ」
彼が微妙に焦ってる事に気がついたのか最低限までの計算を始めるおじさんを制止してそう告げた。
「…召喚スキル『シュリオ』『ライド』」
彼は10分ほど歩いた場所でスキルを使い召喚獣に乗り込んで上空から東側の様子を確認する。
「…どうやら王都からの応援は無さそうだ…本国からの増援も…よし、無いな」
これならばもし夜に不測の事態が起こっても対応出来る…と、A国全体をグルリと見て回った彼は安心したかのように呟く。
「…あとは待つだけか…『ダウン』」
東側の村の上空で敵軍の動きが無い事を確認するとスキルを使って降り、召喚獣をストックした。
彼が村に着いて本を読んで時間を潰すこと数時間後。
「枢機卿殿!第三連隊ただいま到着致しました」
日も沈み始めた夕方に差し掛かる時間帯に『大佐 Lv15』と表示された男が敬礼しながら彼に報告する。
「そうか、ご苦労…早速作戦を開始したいが…準備は出来ているか?」
「はい!いつ行動開始しても問題ありません!」
「…ならば先ほどと同じく合図で作戦開始だ」
「サー、イエッサー!」
暗くなる前に…と、彼は男に指示を出して直ぐに村から出た。
「召喚スキル『インドラ』目標、敵全体…攻撃だ」
「ウオォォォ!!」
彼は村から出ると敵陣営の近くまで歩いてスキルを発動させる。
先程と同様に上空に展開された魔方陣から出現した召喚獣が剣を空に向かって突くと、眩い閃光が辺りを包む。
「……よし、死人はいないな」
召喚獣をストックした彼は敵陣の中に入り、倒れた兵士達がさっきと同じ状態なのを確認して合図の信号弾を放った。
…そして二度目の捕縛作戦が開始される。
急がずに明日へと作戦を延ばすべきか…?と彼は少しの不安を抱えながら支部の建物へと入る。
「枢機卿!報告は聞きました!あの大軍勢をわずか5分足らずで無力化したそうですね!」
「ああ、先手を取れたのが幸いだったな」
興奮した様子駆け寄って来た受付嬢を軽くあしらいながら地下室のドアを開けた。
「枢機卿…と言ったか!流石は魔導協会から派遣されて来ただけはある!半日も経たずに戦況をひっくり返すとは…!」
「あなた意外とやるわね。認めてあげてもいいわよ!」
「お、お嬢様!すみません…!」
「…これから東側に展開している部隊を無力化しようと思う、王都の奪還は明日になるが問題はないか?」
…既に戦争に勝ったかのように騒ぐ大人達や少女を無視して彼は一応礼儀を守って報告する。
「ああ!問題は無い!なんなら一週間かけても大丈夫だ」
「…そうか、王都はちゃんと奪還してやる。だから捕虜の件は任せたぞ」
ちゃんと部下に周知徹底させるんだな、と彼は王様に釘を刺して建物から出た。
「…作戦完了まであとどれくらいかかりそうだ?」
港町を出た彼は魔術師や兵士が忙しそうに動いてる敵陣に戻って来て『中将』と表示されているおじさんに問う。
「このペースでいくと…昼過ぎには完了するかと」
「そうか、人員は割けそうか?」
おじさんは魔術師と兵士の共同作業を見ながら予想を立てて返すと彼が尋ねる。
「今はまだ難しいですね…必要とあらば多少の融通は利きますが…」
「…いや、いい…俺は先に東側に向かうから余裕が出来たら夕方までに人員を回してくれ」
彼が微妙に焦ってる事に気がついたのか最低限までの計算を始めるおじさんを制止してそう告げた。
「…召喚スキル『シュリオ』『ライド』」
彼は10分ほど歩いた場所でスキルを使い召喚獣に乗り込んで上空から東側の様子を確認する。
「…どうやら王都からの応援は無さそうだ…本国からの増援も…よし、無いな」
これならばもし夜に不測の事態が起こっても対応出来る…と、A国全体をグルリと見て回った彼は安心したかのように呟く。
「…あとは待つだけか…『ダウン』」
東側の村の上空で敵軍の動きが無い事を確認するとスキルを使って降り、召喚獣をストックした。
彼が村に着いて本を読んで時間を潰すこと数時間後。
「枢機卿殿!第三連隊ただいま到着致しました」
日も沈み始めた夕方に差し掛かる時間帯に『大佐 Lv15』と表示された男が敬礼しながら彼に報告する。
「そうか、ご苦労…早速作戦を開始したいが…準備は出来ているか?」
「はい!いつ行動開始しても問題ありません!」
「…ならば先ほどと同じく合図で作戦開始だ」
「サー、イエッサー!」
暗くなる前に…と、彼は男に指示を出して直ぐに村から出た。
「召喚スキル『インドラ』目標、敵全体…攻撃だ」
「ウオォォォ!!」
彼は村から出ると敵陣営の近くまで歩いてスキルを発動させる。
先程と同様に上空に展開された魔方陣から出現した召喚獣が剣を空に向かって突くと、眩い閃光が辺りを包む。
「……よし、死人はいないな」
召喚獣をストックした彼は敵陣の中に入り、倒れた兵士達がさっきと同じ状態なのを確認して合図の信号弾を放った。
…そして二度目の捕縛作戦が開始される。
0
お気に入りに追加
206
あなたにおすすめの小説
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる