料理人がいく!

八神

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「…誰だお前は」

「…君こそ誰だ」


青年が家の中に入ってくると男が怪訝そうな顔をして問う。


そして青年も怪訝そうに男に対して問いかけた。


「「こいつは誰だ?」」

「「っ…!?」」


彼女に向かって質問した二人の声が被り、お互いに警戒したように顔を合わせる。


「ふふんふ~ん♪」


青年と男が一触即発な状況なのにも関わらず、彼女は我関せずで鼻歌混じりに解体済みの獲物を捌いていく。


「…俺はこの前そこの魔物のボスと戦って、死にかけのところを彼女に助けて貰ったんだ …怪しい者では無い」

「俺だって空腹で倒れ、危うく魔物に食べられそうな所を助けて貰ったんだ」

「「君(お前)もか!」」


青年が自己紹介のような説明を始め、男もそれに倣い説明するとお互いの経緯に同じタイミングで驚いた。


「…待て、今、そこの魔物のボスと戦った…と言わなかったか?」


男は今さっきの説明を思い出して疑問が生じたのか青年に問いかける。


「ああ、ここにいるアセスウルフのボスとだ」

「…この山に来てからずっと疑問に思っていたんだが…アセスウルフはこの地域には生息していなかったハズだ」

「…ソレは…俺が騎士の時の不手際が原因で…」


男の発言に青年は一瞬迷ったような反応をして正直に話した。


「騎士…?…なるほど、あの噂の山がココだったのか…」


男は青年の発言を聞いて考え込むと何かを思い出したように納得する。


「君はなぜこの山に?」


今度は逆に青年が男に質問した。


「魔導師を目指して修行のために放浪を続けてたら金が尽きてな…空腹の末にこの山で山菜か果物でも採ろうとしたら力尽きてそのまま倒れたのさ」

「魔導師…だと!?世界に数人も居ないとされる最強の職業の一つじゃないか!」


男の返答に青年は驚愕したように叫ぶ。


「へー…結構有名なの?」


全く我関せずだった彼女が会話の内容に興味を持ったのか参加してくる。


「ああ…魔導師、聖騎士、賢者は世界三大最職と呼ばれているんだ」

「最職…?なにそれ?」


青年の説明に彼女が手を止めて振り向いて聞く。


「最職というのは、『最も優れた職業』の略で…まあ分かりやすくいうなら上級職だな」

「ふーん…って事は三大最職ってのは3本指に入るくらい強いって事か」


男の説明に彼女は納得したように手を動かした。


「因みに君の料理スキルが存在していた頃は五大最職と呼ばれていたらしい」

「ああ、ソレは知ってるぞ…確か料理人と猟師だろう?」


青年の補足に更に男が補足を重ねる。


「まあ料理の付与効果は多種多様だからね」

「今は居ないが、猟師は魔物を狩る技術に長けていたらしい」


狩猟スキルとやらも習得の難しさゆえに100年ほど前に無くなったらしいが…と青年が付け足した。


「いや、狩猟スキルを使える奴なら知ってるぞ」

「なにっ!?…本当なのか?」


男の否定に青年は驚きながら聞き返す。


「ああ、まだ二人は居るハズだ…確か独学で身に付けたとか言っていたか…一人はどこかの組織のトップをやっていると聞いた」

「どこかの組織のトップか…強力なスキルが多いらしいから納得ではあるが…」

「…ところで、お前はなぜこの山に?」


話がひと段落した後に男が青年に問いかける。


「ああ、ソレは…」


青年はこの山が戦場指定され、魔物を倒すために来た所から説明し始めた。
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