2 / 113
2
しおりを挟む
「ほら返せ…洗浄スキル『浄化』」
彼女がスキルを使うとフライパン、包丁、フォーク、皿が綺麗になった。
「なっ…!一瞬で…綺麗になっただと!?初めて聞くスキルだが…一体…?」
「体が治ったんならさっさと山を降りる事だな、危ないんだろ?」
青年の疑問を全てスルーして彼女は背を向ける。
「待て!ココは危ない!」
「だろうね、あんたがそんなになるぐらいだから…危ないナニカが来たんだろうね」
彼女は『騎士 Lv23』と表示された青年を一瞥するとそのまま歩いて行った。
「っ…!…危ないと分かっている場所に、君を行かせるワケにはいかない」
「離せよ、別に危なくねえって…この山に住んでるんだから遭遇しても逃げられる」
青年に腕を掴まれるも彼女は振り払いため息混じりに言う。
「…この山に…?…事前に聞かされた情報では人は居ないと…」
「山奥だから気づかなかったんじゃねぇの?」
「そうか…なら、助けてくれたお礼に君の家までの護衛と手伝いをしよう」
「……好きにすれば?」
どうせ何を言っても通じないと思ったのか彼女は後ろをついてくる青年を見て、また前を向く。
「ソレで…何をしていたんだ?」
「山菜取り」
「山菜か…ふむ、何を採れば良い?」
「食べられそうだと思ったモノは手当たり次第」
青年の問いに興味無さそうに淡々と答える。
「そうか…こういう物とかか?」
青年は少し考えると木の根元に生えているキノコを採った。
「ん…じゃあコレ」
キノコを見もしないで適当に頷くと袋からざるを取り出して青年に渡す。
「コレとかもか?」
「聞かないと分からないの?」
そこらに自生している葉っぱを取ってわざわざ見せに来る青年に、彼女はイラついたよう睨む。
「…すまない、山菜とかは良く分からなくてな…」
「…はぁ…仕分けは後でやるから、とりあえず手当たり次第採って」
恥ずかしそうに頭を掻いた青年にため息を吐いて指示する。
「使えないモノは土の肥料にするから」
「了解だ」
彼女の指示に青年は笑って敬礼した。
それから30分ほど山菜取りをしながら進むと…血だらけの魔物を発見。
「グルル…!」
臥せったまま威嚇するように唸っている。
「!?コイツは…!まだ生きていたのか…!」
青年は魔物を見るや否や剣を抜く。
「ストーップ!」
魔物に斬りかかろうと走り出した青年を止めるように彼女が叫ぶ。
「…なっ…!?」
出鼻を挫かれたからか青年はコケそうなり、なんとか体勢を整えた。
「怪我してるじゃん…スキル『料理』」
「っ…!?君は正気か!?」
彼女が袋からフライパンを取り出すと青年が焦ったように詰め寄る。
「何かあっても守ってくれるんでしょ?」
「いや…そうだが…でも…!」
「大丈夫だって、一回だけだから…ソレにもし傷付いてもまた料理で回復させてやる」
「~~!!…とても、君が正気の沙汰だとは思えない…」
一応彼女に負けたのか青年は盾になるように前に立つ。
「…炒め物だと危ないから…揚げ物かな?フライパンスキル『瞬間加熱』」
袋からビンを取り出すと中の液体をフライパンに注ぎ入れてからスキルを唱えた。
「ちょっとコレ持ってて」
「君は本気であの魔物を癒すつもりか?」
小さいボウルを渡すと未だに説得するような事を青年が言う。
「相手が誰でも、何でも…等しくチャンスは一回、与えるべきだ」
流石に二回目は無いけどね…と呟いて彼女はボウルに山菜を入れて、袋から出した粉を塗す。
「…っと、危ないから離れて」
青年を手で退けて熱した油の中に粉を塗した山菜を全部入れて揚げていく。
「良い色…はいよー」
彼女は網で小麦色になった山菜を掬い、油を切って魔物にポイッと投げる。
「グルル…………ッ!?」
魔物は投げられた山菜のかき揚げを警戒したように匂いを嗅ぐ。
最初はソッポ向いたが…やはり気になったのか…
数秒して一つ食べ始めた。
そして美味しかったのか2つ、3つ…と結局投げられた全てを食べ切る。
すると魔物の身体を緑色の光が包み…
HPが回復して体力ゲージが赤から黄色になった。
「コレで襲って来たら君は大馬鹿者だ…」
彼女は青年の責めるような視線と言葉を無視してスキルを使いフライパンの油や網、ボウルなど片付ける。
彼女がスキルを使うとフライパン、包丁、フォーク、皿が綺麗になった。
「なっ…!一瞬で…綺麗になっただと!?初めて聞くスキルだが…一体…?」
「体が治ったんならさっさと山を降りる事だな、危ないんだろ?」
青年の疑問を全てスルーして彼女は背を向ける。
「待て!ココは危ない!」
「だろうね、あんたがそんなになるぐらいだから…危ないナニカが来たんだろうね」
彼女は『騎士 Lv23』と表示された青年を一瞥するとそのまま歩いて行った。
「っ…!…危ないと分かっている場所に、君を行かせるワケにはいかない」
「離せよ、別に危なくねえって…この山に住んでるんだから遭遇しても逃げられる」
青年に腕を掴まれるも彼女は振り払いため息混じりに言う。
「…この山に…?…事前に聞かされた情報では人は居ないと…」
「山奥だから気づかなかったんじゃねぇの?」
「そうか…なら、助けてくれたお礼に君の家までの護衛と手伝いをしよう」
「……好きにすれば?」
どうせ何を言っても通じないと思ったのか彼女は後ろをついてくる青年を見て、また前を向く。
「ソレで…何をしていたんだ?」
「山菜取り」
「山菜か…ふむ、何を採れば良い?」
「食べられそうだと思ったモノは手当たり次第」
青年の問いに興味無さそうに淡々と答える。
「そうか…こういう物とかか?」
青年は少し考えると木の根元に生えているキノコを採った。
「ん…じゃあコレ」
キノコを見もしないで適当に頷くと袋からざるを取り出して青年に渡す。
「コレとかもか?」
「聞かないと分からないの?」
そこらに自生している葉っぱを取ってわざわざ見せに来る青年に、彼女はイラついたよう睨む。
「…すまない、山菜とかは良く分からなくてな…」
「…はぁ…仕分けは後でやるから、とりあえず手当たり次第採って」
恥ずかしそうに頭を掻いた青年にため息を吐いて指示する。
「使えないモノは土の肥料にするから」
「了解だ」
彼女の指示に青年は笑って敬礼した。
それから30分ほど山菜取りをしながら進むと…血だらけの魔物を発見。
「グルル…!」
臥せったまま威嚇するように唸っている。
「!?コイツは…!まだ生きていたのか…!」
青年は魔物を見るや否や剣を抜く。
「ストーップ!」
魔物に斬りかかろうと走り出した青年を止めるように彼女が叫ぶ。
「…なっ…!?」
出鼻を挫かれたからか青年はコケそうなり、なんとか体勢を整えた。
「怪我してるじゃん…スキル『料理』」
「っ…!?君は正気か!?」
彼女が袋からフライパンを取り出すと青年が焦ったように詰め寄る。
「何かあっても守ってくれるんでしょ?」
「いや…そうだが…でも…!」
「大丈夫だって、一回だけだから…ソレにもし傷付いてもまた料理で回復させてやる」
「~~!!…とても、君が正気の沙汰だとは思えない…」
一応彼女に負けたのか青年は盾になるように前に立つ。
「…炒め物だと危ないから…揚げ物かな?フライパンスキル『瞬間加熱』」
袋からビンを取り出すと中の液体をフライパンに注ぎ入れてからスキルを唱えた。
「ちょっとコレ持ってて」
「君は本気であの魔物を癒すつもりか?」
小さいボウルを渡すと未だに説得するような事を青年が言う。
「相手が誰でも、何でも…等しくチャンスは一回、与えるべきだ」
流石に二回目は無いけどね…と呟いて彼女はボウルに山菜を入れて、袋から出した粉を塗す。
「…っと、危ないから離れて」
青年を手で退けて熱した油の中に粉を塗した山菜を全部入れて揚げていく。
「良い色…はいよー」
彼女は網で小麦色になった山菜を掬い、油を切って魔物にポイッと投げる。
「グルル…………ッ!?」
魔物は投げられた山菜のかき揚げを警戒したように匂いを嗅ぐ。
最初はソッポ向いたが…やはり気になったのか…
数秒して一つ食べ始めた。
そして美味しかったのか2つ、3つ…と結局投げられた全てを食べ切る。
すると魔物の身体を緑色の光が包み…
HPが回復して体力ゲージが赤から黄色になった。
「コレで襲って来たら君は大馬鹿者だ…」
彼女は青年の責めるような視線と言葉を無視してスキルを使いフライパンの油や網、ボウルなど片付ける。
10
お気に入りに追加
206
あなたにおすすめの小説
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる