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外伝『用心棒転生』(更新不定期)
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「すまない、少し見学したいのだが」
「見学希望ですか?どうぞどうぞ!」
少年がネットで調べた空手道場のある建物の中に入って用件を伝えると対応してくれた男の人は笑顔で招きいれる。
すると少年は壁際に座り込むと座禅を組んで目を閉じた。
「えい!えい!」
「やああー!!」
時間が経つにつれて子供の数がどんどん増え、稽古や組手の掛け声が多くなる中…少年は座禅を組んだまま目を開かない。
「…あの子は?」
「押忍!師範代、見学希望だそうです」
「見学…?その割には寝てるようにしか見えないんだけど…」
『師範代』と呼ばれたおっさんが男の話を聞くも少年を見て不思議そうな顔をする。
「来てからずっとああして座禅を組んでおりますので、もしかしたら本当に寝てるかもしれません」
「…来てからどれくらいだ?」
「三時間…といったところですね」
「三時間も…!ずっとああして座禅を?」
おっさんは少年を見ながら男の返答に驚いて更に問う。
「ずっと見ていたわけではありませんが、見ている限りではずっと座禅を組んでいます」
「…見学させていただき、感謝する。では」
男とおっさんが話している最中に少年は座禅を解いてお礼を言うと家へと帰宅した。
…そして翌日、日課の筋トレを済ませた後の昼過ぎに少年はまたしても空手道場へと向かう。
「今日も見学させてもらってよろしいだろうか?」
「お、また来たか。邪魔にならなければいつでも歓迎するよ」
「ありがたい。ではお言葉に甘えさせていただこう」
男の笑顔での返答に少年は軽く頭を下げてからお礼を言い、昨日と同じ位置に座り込んで座禅を組み目を閉じる。
…そしてソレを続けること、一週間後。
「そこの君。どうだね?見学と言わずに試合をしてみないか?なに、スパーリングと一緒で練習みたいなものだ」
少年がいつものように座禅を組んでいると師範のお爺さんが隣に座って提案をした。
「…いいのか?俺は生徒ではない。金を払ってはいないのだが…」
「構わんよ」
スッ…と目を開けてお爺さんに聞き返すと立ち上がりながら頷く。
「では、お言葉に甘えて」
「はっは…相手は自分でも構わんかね?」
「俺は選べる立場にはない。だれでも良い」
少年も立ち上がるとお爺さんが確認を取るが少年は首を左右に傾けながら返事をする。
「見学希望ですか?どうぞどうぞ!」
少年がネットで調べた空手道場のある建物の中に入って用件を伝えると対応してくれた男の人は笑顔で招きいれる。
すると少年は壁際に座り込むと座禅を組んで目を閉じた。
「えい!えい!」
「やああー!!」
時間が経つにつれて子供の数がどんどん増え、稽古や組手の掛け声が多くなる中…少年は座禅を組んだまま目を開かない。
「…あの子は?」
「押忍!師範代、見学希望だそうです」
「見学…?その割には寝てるようにしか見えないんだけど…」
『師範代』と呼ばれたおっさんが男の話を聞くも少年を見て不思議そうな顔をする。
「来てからずっとああして座禅を組んでおりますので、もしかしたら本当に寝てるかもしれません」
「…来てからどれくらいだ?」
「三時間…といったところですね」
「三時間も…!ずっとああして座禅を?」
おっさんは少年を見ながら男の返答に驚いて更に問う。
「ずっと見ていたわけではありませんが、見ている限りではずっと座禅を組んでいます」
「…見学させていただき、感謝する。では」
男とおっさんが話している最中に少年は座禅を解いてお礼を言うと家へと帰宅した。
…そして翌日、日課の筋トレを済ませた後の昼過ぎに少年はまたしても空手道場へと向かう。
「今日も見学させてもらってよろしいだろうか?」
「お、また来たか。邪魔にならなければいつでも歓迎するよ」
「ありがたい。ではお言葉に甘えさせていただこう」
男の笑顔での返答に少年は軽く頭を下げてからお礼を言い、昨日と同じ位置に座り込んで座禅を組み目を閉じる。
…そしてソレを続けること、一週間後。
「そこの君。どうだね?見学と言わずに試合をしてみないか?なに、スパーリングと一緒で練習みたいなものだ」
少年がいつものように座禅を組んでいると師範のお爺さんが隣に座って提案をした。
「…いいのか?俺は生徒ではない。金を払ってはいないのだが…」
「構わんよ」
スッ…と目を開けてお爺さんに聞き返すと立ち上がりながら頷く。
「では、お言葉に甘えて」
「はっは…相手は自分でも構わんかね?」
「俺は選べる立場にはない。だれでも良い」
少年も立ち上がるとお爺さんが確認を取るが少年は首を左右に傾けながら返事をする。
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