商人でいこう！

外伝『用心棒転生』(更新不定期)

3

 …翌日。


「ぐっ…！たったあの程度の運動でここまで酷い筋肉痛だとは…！なんとひ弱な身体だ！」



少年は目を覚まして立ち上がろうにも痛みで身体が上手く動かないらしくぎこちない動きでベットから降りた。


「…ステータスが見れない、称号も付けられない、そしてスキルや魔法すらも無い…一体なんなんだこの世界は…」


苦心の末に習得した『オーラ』さえも使えんとは…！と、少年は愚痴をこぼすように床に座り込む。


「…『世界が違えば常識も生活様式も違う。この世界での当たり前があの世界では当たり前とは限らない』か…ふっ、上等だ。これしきの七難八苦を乗り越えられずに何を守れよう」



それにまだ無理だと決まったわけでは無い！と、少年は気合を入れたように叫ぶと座禅を組んで瞑想を始める。


「魔力の源は精神力…集中して身体の奥から力を引き出す…感覚を掴むのだ…」


少年はブツブツと呟きながら深呼吸をして意識を沈めていく。


…そして4日後。



ネットで注文していたサンドバックとサプリメントが届いた。



「ビタミン、ミネラル、ヒアルロン酸、アミノ酸、コラーゲン、亜鉛、キメ肌サプリ…よし。これで必要な物は全て揃った」



大きいダンボールの中身を確認しながら少年は頷いてもう一つのダンボールからサンドバッグを取り出して部屋に設置する。



「…うむ、巻き藁や鉄と違ってこの身体でも怪我なく殴れそうだ」



ボス、ボス…と、少年がサンドバックを殴ったり蹴ったりして感触を確かめて呟いた。



「腕立ての回数を減らしてシャドーの回数を増やすか…機動力が重要になるから反復横飛びや縄跳びといったフットワークに重きを置かねば…」


その後、少年は独自に日課の筋トレメニューを考えながら紙に書き込んでいく。


…それから二週間とちょっと。


「…なんとか体力はついて来たがまだまだ最低限にも届くまい…が、そろそろ実戦の勘を取り戻さなければ」


少年は三週間前と比べると細くて貧弱だった身体付きが標準体型ほどまで育った身体を姿見で見ながら呟き、近くの空手道場へと赴いた。