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「…ユニコーンの歓迎会ってことで…よろしくね」
お姉さんやおじさんと一緒に大量の食料をコンテナから出した後に俺はそう告げてから食事開始の合図を出した。
「…凄い絵面」
「…もはや鳴き声なのか咆哮なのか分からんな」
グオオ!ウオーン!ヒヒーン!と魔物達の色んな鳴き声が混じり凄い勢いで食べ始めたのを見ながらお姉さんとおじさんがなんとも言えない表情で呟く。
「…俺達も昼飯食べよう」
「…そうだな、と言うか…馬の食事は本来なら一回では終わらないんだが…」
「…そうなの?」
「普通の馬は一回の食事ではそんなにいっぱいは食べられないの。ユニコーンは魔物だからまた別みたいだけど」
おじさんはユニコーンの食事量を見て呟き俺が聞くとお姉さんが教えてくれた。
「…今日は炭火焼きー。焼きキノコ、焼き鳥、焼き魚」
「…美味しい!おじさまってなんでも出来るのね!」
「…ただ捌いただけだ。味付けはおまかせだが…うむ、美味いな」
俺が網の上で焼いた食材をお姉さんとおじさんが皿に取り分けて食べた後に感想を言う。
「料理番組で見たうろ覚えの知識だけど上手く出来て良かった…美味い」
「キノコにバターとこのタレって相性抜群…!鶏肉も魚も美味しいし…あー、お酒欲しー!」
「…串に刺した焼き魚など久しぶりに食べる…ふ、あの頃は随分と無茶したものだ…」
「…ふう、美味い美味い…」
今回は結構手の込んだ料理だったので失敗したらどうしよう…と少し不安だったが、おじさんとお姉さんの反応を見ると無事成功したようなので俺は安心しながら食べる。
「…ごちそうさま。さて…片付けだ」
俺達が昼飯を食べ終わると魔物達は湖の中に入って水浴び?をしていたのでその間にダンボールを片付ける。
「ねえねえ、そろそろ…聞いてみて?」
片付けが終わるや否やお姉さんはソワソワした様子で確認を促してくるのでユニコーンに聞いてみることに。
「…え?あ、そうなんだ…へー…」
「なんて?やっぱり無理?」
「栄養が十分だったらいけるらしいけど、一回生え変わると次に出来るのは一週間後になるんだって」
「…たった一週間のスパンで角が生え変わるのか…新陳代謝が活発なのか?それとも再生速度が異常なのか…?」
急かすように聞いてくるお姉さんにユニコーンから聞いたままを伝えるとおじさんが腕を組んで難しい事を考えるような顔で呟く。
「…予想通り…!今は?今は生え変わる!?」
「…どう?……あ」
「!やった!ユニコーンの角だ!」
湖で泳いでいたユニコーンが近くに来ると俺の腕ほどもある大きさの角がポロリと落ちてお姉さんが大喜びしながら拾う。
「…ありがと」
「…ユニコーンも角が無ければただの白馬だな…もっとも馬と比べたらかなり大きいが」
俺が顔を撫でてお礼を言うとおじさんが角が取れたユニコーンを見ながら笑う。
「角が無くても神聖魔法は使えるんだから強さはあまり変わらないと思うわよ?」
「…神聖魔法、ね…翼があればまるでペガサスみたいだ」
「…ユニコーンが存在するんだ。ペガサスも世界のどこかに生き残りが存在していても不思議ではない」
角に頬擦りしながらにやけた顔で嬉しそうに言うお姉さんに俺がなんとも言えない顔で返すとおじさんは真剣に考え出した。
「目的は果たしたし、さっさと帰りましょ」
この貴重な品物をどう扱おうかしら…!と、お姉さんはユニコーンの角を手にあれやこれや考える。
「…言っておくが、ソレを勝手に貰うとねこばば…横領になるぞ」
「う!…そ、そうだった…!すっかり自分の物だと勘違いして…」
おじさんのため息を吐きながら呆れたような感じでの指摘にお姉さんはショックを受けたように地面に膝を着く。
「…そんなに貴重な物なの?」
「そりゃ…砕いたり削ったりして粉末状にすれば薬の材料になるし、魔力を高める魔道具や触媒用の杖とかにも使える」
魔法を扱う人からしたら喉から手が出るほどの垂涎ものよ!?と、お姉さんは価値を良く分かってない俺に若干興奮した様子であまり伝わらない説明をした。
「…そ、そうなんだ…」
「オークションに出したらどれほどの値段が付くことか…これほどの完品状態だと1000万はくだらないでしょうね」
「…そんなに?」
「…今は既に絶滅してると考えられている生物だ、ありえない話ではない」
希少価値が物凄く高いからな。と、お姉さんの言葉を疑う俺におじさんが説明する。
「…週一で生え変わる事の出来る角が一本1000万ゼベル以上か…」
あの一本で昔の月収超えるわぁ…と俺は複雑に思いながらお姉さんが大事そうに抱えている角を見ながら呟く。
…ユニコーン育てて角を売るだけで最低月収40億円ってまるで油田のごとしだな。
「…この角、欲しいなー…なんて」
「…いいんじゃない?」
「ほんと!?やったー!!」
お姉さんが上目遣いで遠慮がちに聞いてきたので軽く了承すると両手を上げて喜ぶ。
「…いいのか?今の話を聞いていただろう?」
「…角が目的で連れて来られたんだから結局口で丸め込まれると思うよ」
「…それもそうだ。あの女なら想像に容易いな」
おじさんの確認に今までのお姉さんの性格を考えて返すと腕を組んで頷き納得した。
お姉さんやおじさんと一緒に大量の食料をコンテナから出した後に俺はそう告げてから食事開始の合図を出した。
「…凄い絵面」
「…もはや鳴き声なのか咆哮なのか分からんな」
グオオ!ウオーン!ヒヒーン!と魔物達の色んな鳴き声が混じり凄い勢いで食べ始めたのを見ながらお姉さんとおじさんがなんとも言えない表情で呟く。
「…俺達も昼飯食べよう」
「…そうだな、と言うか…馬の食事は本来なら一回では終わらないんだが…」
「…そうなの?」
「普通の馬は一回の食事ではそんなにいっぱいは食べられないの。ユニコーンは魔物だからまた別みたいだけど」
おじさんはユニコーンの食事量を見て呟き俺が聞くとお姉さんが教えてくれた。
「…今日は炭火焼きー。焼きキノコ、焼き鳥、焼き魚」
「…美味しい!おじさまってなんでも出来るのね!」
「…ただ捌いただけだ。味付けはおまかせだが…うむ、美味いな」
俺が網の上で焼いた食材をお姉さんとおじさんが皿に取り分けて食べた後に感想を言う。
「料理番組で見たうろ覚えの知識だけど上手く出来て良かった…美味い」
「キノコにバターとこのタレって相性抜群…!鶏肉も魚も美味しいし…あー、お酒欲しー!」
「…串に刺した焼き魚など久しぶりに食べる…ふ、あの頃は随分と無茶したものだ…」
「…ふう、美味い美味い…」
今回は結構手の込んだ料理だったので失敗したらどうしよう…と少し不安だったが、おじさんとお姉さんの反応を見ると無事成功したようなので俺は安心しながら食べる。
「…ごちそうさま。さて…片付けだ」
俺達が昼飯を食べ終わると魔物達は湖の中に入って水浴び?をしていたのでその間にダンボールを片付ける。
「ねえねえ、そろそろ…聞いてみて?」
片付けが終わるや否やお姉さんはソワソワした様子で確認を促してくるのでユニコーンに聞いてみることに。
「…え?あ、そうなんだ…へー…」
「なんて?やっぱり無理?」
「栄養が十分だったらいけるらしいけど、一回生え変わると次に出来るのは一週間後になるんだって」
「…たった一週間のスパンで角が生え変わるのか…新陳代謝が活発なのか?それとも再生速度が異常なのか…?」
急かすように聞いてくるお姉さんにユニコーンから聞いたままを伝えるとおじさんが腕を組んで難しい事を考えるような顔で呟く。
「…予想通り…!今は?今は生え変わる!?」
「…どう?……あ」
「!やった!ユニコーンの角だ!」
湖で泳いでいたユニコーンが近くに来ると俺の腕ほどもある大きさの角がポロリと落ちてお姉さんが大喜びしながら拾う。
「…ありがと」
「…ユニコーンも角が無ければただの白馬だな…もっとも馬と比べたらかなり大きいが」
俺が顔を撫でてお礼を言うとおじさんが角が取れたユニコーンを見ながら笑う。
「角が無くても神聖魔法は使えるんだから強さはあまり変わらないと思うわよ?」
「…神聖魔法、ね…翼があればまるでペガサスみたいだ」
「…ユニコーンが存在するんだ。ペガサスも世界のどこかに生き残りが存在していても不思議ではない」
角に頬擦りしながらにやけた顔で嬉しそうに言うお姉さんに俺がなんとも言えない顔で返すとおじさんは真剣に考え出した。
「目的は果たしたし、さっさと帰りましょ」
この貴重な品物をどう扱おうかしら…!と、お姉さんはユニコーンの角を手にあれやこれや考える。
「…言っておくが、ソレを勝手に貰うとねこばば…横領になるぞ」
「う!…そ、そうだった…!すっかり自分の物だと勘違いして…」
おじさんのため息を吐きながら呆れたような感じでの指摘にお姉さんはショックを受けたように地面に膝を着く。
「…そんなに貴重な物なの?」
「そりゃ…砕いたり削ったりして粉末状にすれば薬の材料になるし、魔力を高める魔道具や触媒用の杖とかにも使える」
魔法を扱う人からしたら喉から手が出るほどの垂涎ものよ!?と、お姉さんは価値を良く分かってない俺に若干興奮した様子であまり伝わらない説明をした。
「…そ、そうなんだ…」
「オークションに出したらどれほどの値段が付くことか…これほどの完品状態だと1000万はくだらないでしょうね」
「…そんなに?」
「…今は既に絶滅してると考えられている生物だ、ありえない話ではない」
希少価値が物凄く高いからな。と、お姉さんの言葉を疑う俺におじさんが説明する。
「…週一で生え変わる事の出来る角が一本1000万ゼベル以上か…」
あの一本で昔の月収超えるわぁ…と俺は複雑に思いながらお姉さんが大事そうに抱えている角を見ながら呟く。
…ユニコーン育てて角を売るだけで最低月収40億円ってまるで油田のごとしだな。
「…この角、欲しいなー…なんて」
「…いいんじゃない?」
「ほんと!?やったー!!」
お姉さんが上目遣いで遠慮がちに聞いてきたので軽く了承すると両手を上げて喜ぶ。
「…いいのか?今の話を聞いていただろう?」
「…角が目的で連れて来られたんだから結局口で丸め込まれると思うよ」
「…それもそうだ。あの女なら想像に容易いな」
おじさんの確認に今までのお姉さんの性格を考えて返すと腕を組んで頷き納得した。
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